買い物カゴに入れた瞬間、人生が変わった私
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:佐藤千畝(ライティングゼミ・ゼミ4月コース)
娘と2人、買い物をしていた私。
「ふうん、それを選びましたか」
買い物カゴの中を見つめ、思わず私はそう口に出しつぶやいていた。
「これね、今、すごく流行っているの!」
娘は、カゴの中に入れた商品を手に取り、私に説明してくれた。
「ユーチューバーがね、これ、美味しいって言っていたの」
「ついに、ついに、出会っちゃった! 私ってば、ラッキーだよね!」
娘の肩は、左右に波打つようにビートを刻む。
彼女は身体全身で、うれしさを表現していた。
商品を見つけた彼女は、踊っちゃうほどに大興奮したようだった。
私は、彼女の幸運のその商品にもう一度目を向けてみた。
見ると、私には、どこにでもある【ただのスナック菓子】のように見えた。
娘には幸せになるアイテムだったのね。
娘の好きなユーチューバーと、私との接点が、全くと言っていいほど無いだけなのだ。
私にとっては、知らない人。
何なら、たった今、娘の口から聞いた、初めてのユーチューバーの名前。
さっきまで知らなかった人の勧めるモノに、私はどう反応するのが正解なのか?
まあ、ともかく、娘はすごく喜んでいるのだから。親の私としては、ユーチューバーさんありがとう的な存在という認識、新たにインプットされた事には間違いなかった。
聞いて名前すらすぐに忘れてしまった、今は名無しのユーチューバーさんに、私は大いに感謝した。娘の笑顔を見せてくれてありがとう! ってね。
最近は、すぐに人の名前を忘れてしまうなあ、とくに自分の興味がないことに対しては。
次の日、TVに映し出された姿に、娘の目は、まばたきさえも忘れてしまった魚のように、パッチリと目を見開いたまま、食い入るように映像を見つめ続けていた。そこに映しだされていたのは、私の中では、今は名無しのユーチューバーさん。
「これ! 私が昨日ゲットしたお菓子! 売り切れで、かなりの貴重品だって!」
娘の肩は、左右にまた、波のように大きく揺れ動く。
「売り切れで、貴重品だね」
オウム返しに娘の言葉を繰り返す私、大人っていつもこう。
興味のないことには、オウム返し。いつの間にか習得した技だよね。
しかしながら、連日話題になっているユーチューバーさんのおススメのお菓子、少しだけ興味を持ってしまった私は、自分の心の揺れを感じていた。
娘の選んだ、なんの変哲もない(ように私は見える)お菓子。
少しばかり私にも、素敵と思える価値がついたように感じた瞬間だった。
「少し、興味があるのだけど」
私が素直な気持ちを娘へ伝えると、それじゃあ、お菓子の封を開けよう! 娘はにっこりと微笑んだ。
娘は、貴重なお菓子の袋をゆっくりと、慎重に開封する。
「じゃーん! 開けましたー!」
娘が丁寧に開けたお菓子、その中身は、やはり私にはただのお菓子にしか見えなかったのだ。
二度見、三度見したけどね、けれど、私にはどう見ても、ただのお菓子だった。
パッケージを開けてしまったからか? 中身で勝負して欲しいところなのだが。
その中身は、もう、何というか、何の変哲もないただのお菓子だったのだ。
シンプルイズ、ベスト!! ある意味、潔さ的にはグレイト!
付加価値って、ありますよね。
自分の気持ちが乗ると、相乗効果で、その商品の価値もぐんっと上がるっていう。
娘の評価と、私の評価。
今回は、同じお菓子に対して。娘の評価は、100点満点以上だったようだ。
私には50点ぐらいだったかなあ? まあ、可もなく、不可もなく、というのが正直な感想だった。
「もう感動! 最高! 写真、撮っておこうよ!」
100点満点以上の娘の行動は、さらに次につながる。楽しそうだなあ。
それは、映えるのか? ただのお菓子にしか見えない私は、うっかりと不穏な気持ちが声に出てしまいそうだったが、言葉はどうにか出さずに持ちこたえた。
娘の幸福、親としては優しく見守りたいものだ。
「感動したね! 写真、よく撮れたね!」
お菓子に対しては何ひとつ褒めていない、私は気づき苦笑いしてしまった。
感動とは、行動した中で【自分の心が動いた】ことに気付く事だ。
自分の心が、ビックリしたり、ワクワクしたり。
日常の中で自分の心の動きを感じ取り、心が動かされたなあと気付く。
心が動いた自分、その存在に気付くことが、生きているな、幸せだなって感じられる瞬間なのだと私は気付かされたのだ。
娘にとっての幸運のお菓子は、娘の心がワクワクし、感動した存在。
そのお菓子を通して、感動する娘を見て幸せになれた私。
まあ、結果、親子で感動したのだから、ハッピーでよかったじゃないか。
彼女と同じお菓子を食べながら、彼女の好きを共感した私は、納得した途端、とても幸せな気持ちになれたのだった。
何の変哲もない、ただのお菓子。
けれど、私の心を大いに動かしたきっかけは、その何の変哲もないお菓子だったのだ。
***
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