メディアグランプリ

ランチはオアシス


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

コオリヤマ(ライティング・ゼミ9月コース)
 
 

「それはできない」
 
はらぺこの私はびっくりした。
季節は夏。目的のうどん屋さんに来るために15分自転車をこいできました。
もう汗だくです。
暑いのは苦手なのに、自分の体に鞭打って何をしてるんでしょう? 私は。
お腹が減ったのなら、家でご飯を食べればいいだけなのに、なぜ人は外で外食をするんだ
そこに飯があるからと誰かが言ったとか言ってないとか。
ご飯を食べるのは生命を維持する行為なのに、暑い日に15分自転車をこぐという自分の寿命を縮めてしまう。this is 矛盾です。
食べたい。ご飯を、そうまでして食べたい。自分に感服します。体、大好きだよ。長生きしてね。
 
心もとないハンカチタオルで汗を拭いながら、お店へ。
小さい商店街。目的のお店は路面店の八百屋さんの店内に近い通路を、お客さんじゃないよ感を全力をだして進み、必殺初見殺しのわかりにくい店舗。さらに汗をかいてしまいました。
 
ハンカチタオルなど、もうびしょびしょ水道で水を含ませてきたのかと言うくらい。ええ、お気づきでしょうが肥満体です私。そして肩で息をしている変態ランチ男です
 
初めて入るお店。作りはそこそこ新しい。きれいなのれんを払い引き戸をあけました。汚いのれんがいいお店の証だなんて知らないよ! みたいなきれいなのれんです。
 
中は白いカウンターがあり、木製のテーブル席が3つ。カウンターに通された私はネットで仕入れた事前情報を元に注文をする。
 
そんな私が頼むのは冷かけのうどんでした。そのうどんにトッピングで海老天をつけて欲しいとリクエスト。
冷やかけうどんに海老天、最高じゃないですか。想像するだけで美味しそうでしょ。
 
でも、そこで店主は私にNoを突きつけました。それはできないと。
(イメージです。実際は、あー冷かけに海老天はやってないのよ、ぐらいな感じです)
 
冷や掛けに海老天は合わないよと。店主をよくみると、どことなくこだわりが強そうな江戸っ子な感じがしていました。
 
こんなにしっかり言ってくれる店はなかなかいらっしゃらないので、少しびっくりしてしまいました。
自分へのうどんに思い入れが強いのだろう。郷に入っては郷に従え。郷ひろみ。HIROMI GO。二億四千万の瞳で、店主を見つめます。
 
マスターが言うには別皿の方が絶対に良いと。俺っちにまかせときゃいいんだよ! と江戸っ子店主(脳内)。
江戸っ子に勧められるがまま、冷やかけ+海老天別皿をいただくことになりました。
 
こちとらお腹ペコペコ汗ダラダラの極限状態。お冷を体に流し込み一旦落ち着かせます。
 
パチパチパチパチ。
 
海老天を揚げる音がしてきました。おのずと期待感が増します。
音楽フェス会場に歩いていく途中、演奏が少しずつ聞こえてくる高揚感に似ている。ワクワク。
 
おまち! とマイク越しに言わんばかりに目の前に江戸っ子自慢のうどんと海老天セットが出されました。
 
私の目の前にある、冷やかけ、海老天はとっても美味しそう。
江戸っ子、ありがとう。美味しそうだよ。
 
ひやかけのお出汁は、しっかり冷えている。ぬるい汁物が苦手な私はきっとぬるい冷かけも苦手に違いないので、冷えたお出汁がすこぶる嬉しい。
うどんは腰強めで食べ応えがありつつ、つるんと入ります。そして、海老天を酒の肴のように、さくとかじる。時には冷かけに沈めてかじる。お酒が欲しい。
 
あまりの勢いで海老天の尻尾まで平らげてしまいそうだったが、行きつけのバーのマスターに彼女が欲しいなら海老の尻尾はやめておけとアドバイスをもらっていたのを思い出してやめておいた。
このサクとした海老天が冷かけにのって出てきたらバーのマスターのアドバイスは復習できなかったであろう。これで彼女ができるはず。
 
揚げている音からはじまったフェス。ヒット曲を連発したかのような祭りのあとでございます。
 
お店が作る料理の1番おいしい食べ方は、お店の人にお任せした方が絶対良い。
素人がランチという戦場で無知という木刀を持って行き倒れるところでした。
このお店の師匠にベストの食べ方を指南していただきました。
 
汗だくだった私の口はさっぱりして大満足。
江戸っ子も、あたたかいうどんだったら、海老天のせれば最高だけどねと会話をしてくれました。
とっても信頼できるうどん屋さんだと思いました。
 
江戸っ子店主も良い人。クーラーとは違う清涼感が私を満たし、ほんのり心もあたたかくなりました。
 
15分かけて来た甲斐がありました。
15分かけて帰らなければなりませんが、私は来た時と違う。
美味しいお店を見つけた充実感、満足した胃袋。精神的にも身体的にもきっと回復したはず。
 
ランチタイムは社会の歯車になりきって疲れに疲れた砂漠のような私たちに、ふらっ現れるオアシス。
1時間のオアシスでみんな笑顔になれる。なれないときもあるけど。
今日は江戸っ子うどんオアシスでしたが、明日はどんなオアシスを見つけるだろう。
 
さて、帰って、仕事しよ。

 
 
 
 
***
 
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2024-10-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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