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明日が来なくなる前に


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:かず(ライティングゼミ・9月コース)
 
 
ずっと明日があると思っていた。
 
明日やればいいや。もうちょっと時間に余裕ができてから。もっとお金が貯まってから。
 
ずっとそうやっていろいろなことを先延ばしにしてきた。ある意味、未来に期待していたのだと思う。今よりも未来の自分はいろいろなことができるようになっているだろう。時間もお金も余裕があって、今よりもっと賢くなっていて。今の自分ではできないこと、時間や手間がかかるようなことでも、未来の自分はもっと楽に片手間でできてしまうのだろう。そういう風にどこかで期待していて、今日できることをずるずるずるずる先延ばしにしてきたのだ。
 
子供の頃、大人にこう訊ねられた人は少なくはないだろう。
「大きくなったら何になるの」
と。
 
だから子供は未来に期待を膨らませながら大きくなったらあれもしたい、こんな風になりたいと成長していくのだろう。
 
子供の頃はそれでよかったのだと思う。私も大人になったらもっと字が綺麗に書けるだろう。ピアノももう何年かすれば弾きたい曲が弾けるようになるかもしれない。大人になれば、大人にまでならなくてももう少し大きくなれば、今よりもっといろいろなことが当然できるようになっているものだと信じ切っていた。
 
だが、大人になってずいぶん経つが、いまだに綺麗な字は書けていないままである。幼い私が憧れた曲も弾けることなくずいぶん前にピアノはやめてしまった。
 
そしていつの頃からか以前よりも衰えてきていることがあることに気づき始める。
 
傷の治りは遅くなった。体力も落ちているのは明白である。ピアノはいつの頃からか鍵盤を弾くこと自体が重く感じられるようになった。子供の頃には想像もしなかったことである。
 
そして人生も折り返し地点の年齢に差し掛かって、思っているよりはるかに人生は短いこと、そして後半は前半に比べてはるかに大変であろうことが見えてきている。
そして今さらもうできないことが少しずつ増えてきていることも。
 
大体、現在の年齢だけで、なんとなく今を折り返し地点だと思っているが、明日が来る保証なんてないのだ。これには誰一人例外はない。
 
だが、それでも人生の前半にはなかったものが、今の私の手元にはある。知識と経験。実際、子供の頃、若かった頃よりできるようになっていることもかなり多いのだ。子供の頃の自分、若かった頃の自分が積み重ねてくれていた努力、経験、知識、そういう物が今の私の血となり肉となっている。
 
残りの限られた時間の中で、何を優先するのか、何に自分の命を使うのか。今日やらないと、明日はもっと今より状況が悪くなっているかもしれない。暗い未来を想定したくはないが、そう考えたほうが先延ばしという癖は影をひそめる。
 
明日という日が永遠に来なくなる前に、今日したいことは今日してしまう。会いたい人に会い、食べたいものを食べ、行きたいところに行く。単純なことなのにいつからこんなにややこしく考えるようになったのか。
自分に明日が来ても会いたい人に明日は来ないかもしれない。食べたいものはもう明日は食べられなくなるかもしれない。今さえよければいいというのとは違う。今しかできないことが、今回が最後のチャンスかもしれないことが、自覚してないだけで結構あるのだ。
 
新しい年が始まったばかりで、新年の目標を立てる人も多いであろう。やりたいことリストを作ってどんどん行動に移していくのも楽しいものである。もしかしたらこれが最後のチャンスなのかもしれない。そんなことを頭の片隅にでも置きながら毎日を生きると自ずと何を優先すべきか見えてくるのではないか。
 
「今日が人生最後だとしたら、今日やることは本当にやりたいことだろうか」
スティーブ・ジョブズのこの言葉を知ったのはもう何年も前である。その頃よりは自分の人生は良い方向へ行っていると思うが、それでもまだまだしたくないこと、すべきことに追われている毎日である。
 
 「まだ若いから、まだ経験を積んでいないから」は、いつの間にか「もうこんな年だからに」かわり、そんなことを思っていると一生言い訳をしたまま何もせずに終わってしまう。
いずれにせよ何か行動を起こせるのは常に「今」しかない。そんなことを考えながら今年一年のやりたいことリストを書きだしていく。
 
今年はどんな一年にするのか。自分の人生はどんな人生にするのか。
人が人生の終わりに後悔するのは挑戦しなかったことだという。もう二度と戻らない今日という日を、来ないかもしれない明日に先延ばしすることはやめにして、今やりたいことを今挑戦し続けるほかはない。
 
 
 
 
***

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