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漢方が生活の一部だと夫婦は円満になるのかもしれない


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記事:志村幸枝(ライティング・ゼミ1月コース)
 
 
「俺は死ぬかもしれない」
夫は初めて患った痔の痛みに耐えきれずに言いました。
 
「や、死なへん」
私は20数年にわたる漢方相談の経験上、痔で死ぬことはないと断言しました。
まったく大袈裟なオジサンですこと。
でも、痛みの閾値が低い彼は必死で訴えます。
日頃店頭で痔の相談はちょいちょいありますが、そういえば、痔の実態を私は知りません。勉強会なんかで画像を見ることはあっても、リアルな痔はお目にかかれない。告白すると、自分も産後は痔になった経験がありますが、見ることはできなかったんですよね。(おい、見たかったんかい)
 
こんな機会は滅多にありませんから、漢方相談店店長としての好奇心と探求心がむくむくと湧いてきました。漢方相談という仕事をより深めるには実践が一番。自分や家族などが不調になったときは実はチャンスなんです。
 
「どれどれ、見せてみいいな」
前かがみになってこわごわ覗いてみました。
すると、びっくり! 想像を絶する大きさのものがそこにはありました。
わかりやすく葡萄で例えます。藤稔(ふじみのり)ってわかりますか?
これはめちゃ大粒の葡萄で、直径が500円玉くらいあるのですが、彼のそこにあったのは、藤稔に迫る大きさの巨峰でした。身近な食べ物で例えるとわかりやすく想像しやすいですね。(想像させてゴメンナサイ)
 
勇気を出してみるものです。じっくり遠慮なく観察できるのは家族ならではですし、現実を知ることで、これからの痔の漢方相談が、より親身なものになりうる。この時の夫と私はいわゆる、win-winというやつですね。痔を通じて私たちの目的意識が一つになった瞬間です。「何とか最善で改善しなければ!」とスイッチが入りましたから。
 
その翌日には漢方薬を処方。すぐさま「痔最善改善計画」がスタートしました。
私は自分の漢方経験値を上げるべく、また、藤稔がもうこれ以上育たないように、せっせと漢方薬を用意し、外用薬を塗ることに。夫が自分で塗ることもできましたが、ここまでくると、使命感すら芽生え、「私がやらなくては! 観察しなくては!」という気持ちでいっぱいでした。最初は観察すること自体に少しは抵抗があったのに、毎日見ていると、慣れてきます。各分野のお医者さんもそんな感じなんでしょうね。
 
その後、藤稔はどうなったかというと、巨峰、キングデラを経由しつつも、なんと、わずか2週間で、デラウエアになりました。はい、もちろん全部葡萄のことです。
説明不要かと思いますが、藤稔>巨峰>キングデラ>デラウエア、ということですね。
 
そしてついに、3週間後には完全消失しました。
夫は快調に、私は漢方経験値が、また一つ上がりました。テッテレー。
ありがとう藤稔! 
 
夫の漢方話はまだあります。もう一つお付き合いください。もう葡萄的なものは出しませんから、安心してくださいね。(葡萄的なもの:想像したくない類のもの)
 
出会ったころ、彼はかなり年季の入った慢性鼻炎でした。ジーンズのポケットには点鼻薬がいつも入っていて、いつもそこだけが白く色落ちしているくらい。お尻のポケットにいつもお財布を入れていると、そこだけが白くなる感じといえばイメージしていただけますでしょうか。
 
そんな彼は、慢性的な鼻づまりのせいで、お料理の味がほとんどわからなかったらしく、やらかいか、固いかで、おいしさを決めていたというのです。(おい、なんだと?)
それは結婚してだいぶ経ってから言われたことで、その告白は衝撃的でした。
 
毎日3回食べるとしたら、1年で1095回。それを毎日「やらかい、固い」で食べていたなんて。私は食べることが大好きで、「生きる喜び」の一つだと思っているくらいです。
彼は人生を共にする相手ですから、その喜びは共有したいじゃないですか。だから本当の「おいしい」を味わって欲しいと思い、これまたせっせと漢方を処方しました。鼻づまりは命には関わらないものですが、その改善は人生をより鮮やかなものにしてくれるはず、と思って。
 
こっちはいうと、残念ながら、正直そこまでスッキリとはしていません。
改善プロジェクトは現在進行形で、絶不調のころに比べると、小マシになった感じです。
やっぱり、藤稔ほどのインパクトある不快症状ではないので、「治したる!」という気持ちがそこまで高まらないんでしょうね。はたまた、慢性鼻炎との付き合いが長すぎて、絆めいたものすらあるのでしょうか。使用頻度は明らかに減ったものの、若かりし頃はジーンズのポケットが定位置だった点鼻薬は、今は通勤カバンの一番稼働している内ポケットに鎮座。つまりは一番いいポケット。なんとなくジェラシーすら感じます。
そこを漢方で食い込みたいと思うのは乙女心でしょうか。
いつの日か慢性鼻炎をすっかり治して、いつも彼に付きまとっている(?)点鼻薬を追い出します。
 
 
 
 
***

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