令和の現代で家事が苦手なズボラ嫁はなぜ罪悪感を感じてしまうのかを考えた話
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記事:アオノスミレ(ライティング・ゼミ1月コース)
「邪魔だから何もしなくていいぞ」
休日の朝。夫のその一言に、思わず固まる私である。
その訳はこうだ。
3月に入り、寒さが和らいできた。水の冷たさも真冬ほどではない。寒い時期の水を使う掃除は色々大変だ。暖かくなってきた今は、普段掃除をサボっていたところを掃除するのにいい季節なのかもしれない。
「暖かくなってきたから、普段掃除しないところを掃除するぞ」と、張り切る夫。
「私はどこを掃除したらいい?」と聞く私。
夫から返ってきた答えが、「邪魔だから何もしなくていいぞ」であった。
邪魔。この言葉にう〜んとなる私である。なぜだろう。この心に広がるモヤモヤ感。ズボラな私の日々の掃除は、確かに雑である。もしや夫は、私の掃除に不満を持っていたのだろうか?
「あのさ。もしかして、今まで私の掃除が不満だった?」
「そんなことはないぞ。最低限できているんだから、問題ないだろう」
夫が言うには、自分が掃除をしたくなったから掃除をするだけで、別に私の家事に不満があるわけではないらしい。一人暮らし歴が長く、几帳面な性格の夫。大雑把にざーっと掃除する私に対して、細かなところまで、キチンと掃除する夫。夫は家事をするのが、結構好きな男子である。
そんな訳で、私がのんびりコーヒーを飲んでいると、風呂場は隅々まで掃除され、シンクはピカピカに磨き上げられ、床もキチンと拭き上げられていく。家中、ピカピカである。
しかし、モヤモヤする。居心地が悪い。変な罪悪感がある。私の心の中には、夫にそんなことをさせてはいけないとの思いがある。
時は令和である。昭和ではない。家事など、性別に関わらず、得意な方、できる方がやればいいだけではないか。しかし、モヤモヤする。
既婚者の女友達に相談してみた。
「何、それ惚気?」
「めっちゃ羨ましい。うちの旦那なんて何もしないよ」
いや、そういうことではないのだ。贅沢な悩みに思えるかもしれないが、こちらは変な罪悪感で心がモヤモヤしているのだ。ここは一度、心の中にある罪悪感を分析してみようではないか?
まず、一つ目に思いつくのは、『母親からのおかしな刷り込み』である。
私の母は、嫁姑問題で昔大変だったらしい。そのため母は、娘の私には、自分のように嫁ぎ先で恥をかかないようにと、料理を始めとする家事全般を厳しく指導した。その結果、大人になった私は家事が嫌いになってしまった。皮肉なものである。そして「男の人に家事なんて」という気持ちが心のどこかにあるのだが、これは娘が嫁ぎ先で恥をかかないようにと頑張りまくった母からの刷り込みである。
二つ目は『夫より稼げていない劣等感』から来るものだと思う。
私には過敏性腸症候群という持病がある。フルタイムで働くのは、体調面から厳しいため、パートでゆるく働いている。そのため、年収が夫よりも大幅に低い。夫より稼げていないので、せめて家事でカバーしようと頑張ったのだが、無駄であった。手の込んだ料理を作ろうとすれば失敗し、苦手な掃除も頑張らねばとイライラして、夫に当たり散らした。夫と話し合ったところ、「変に頑張ってイライラされて、当たり散らされる方が嫌だ」と言われた。もっともな話である。そもそも夫は、私に家事能力も経済力も求めていない。夫が私に求めるのは、毎日ご機嫌で楽しく暮らして、一緒に楽しくゲームができればいいなくらいである。なんか、私は勝手に自分を責め、ハードルを上げていたのではないだろうか。
なるほどな。この変な罪悪感は、母からの刷り込みと稼げていない自分からの劣等感から来るのか。
うちの母も余計なことをしやがってと思うのだが、母が私を育てていた頃は専業主婦が主流の時代であった。まさか、こんなに共働きが主流になるとは、まさか家事代行サービスや便利家電がこうも一般的になるとは、誰も思っていなかったのである。ある意味、仕方がない。
稼げていない自分への劣等感もあるが、稼げていないのはあくまで現時点である。今後、体調が落ち着けば、またフルタイムで働けるようになるかもしれない。夫婦2人である訳だし、どちらかが不調な時は、どちらかがカバーすればいいだけの話だ。
相手が嫌がっているならやめる必要があるが、うちの夫は細々した家事が好きなのである。家事をするというのは、仕事で行き詰まった時の気分転換にもいいらしい。
相手が感じていることは、相手に聞いてみないと分からない。おかしな価値観で、勝手にこうすべき、こうしなくてはと決めつけ、相手の好意を潰すのはやめたいなと思う。してくれたことにはキチンと感謝を示そう。
さて、夫婦2人で過ごす休日。夫がピカピカに掃除してくれた家で、夫が作ってくれたお昼ご飯を食べながら、のんびりまったりするズボラ嫁であった。
***
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