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「神宿る島」を見守る人たち~世界遺産はやっぱりすごかった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:川内夏絵(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「神宿る島」と言われる島が、福岡県宗像市にある。2017年7月に世界遺産に登録された。「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群というその遺産は、世界遺産に登録されるまで、決められた人しか島に入れない沖ノ島の存在が大きな焦点になっていた。結局、世界遺産になっても沖ノ島には、観光客は入れないという決まりは守られた。それで良かったと私は思っている。
 
映像で見る沖ノ島は神秘的だ。遣唐使が廃止されるまで、国家的祭祀が行われた沖ノ島では、奉献品が島にそのまま残されていた。その素晴らしい文化的伝統の物証は、九州本土の宗像大社の神宝館で見ることができる。沖ノ島で見つかったものは、すべて国宝というからぜひ見に行きたい! というわけで、私たち夫婦は、5月の連休明けに出かけることとした。私は、熊本に実家がある。福岡県の太宰府には毎年のように出かけていたのに、宗像大社の存在すら知らなかった。世界遺産に登録される話を聞いて以来、行きたいと思い始めた。人って、現金なものである。
 
なかなか実現できずに、ようやく今年行くことができた。行って良かった。私は、来年も行きたいと思っている。なぜなら、その「神宿る島」を守ってきた人たちに感動したからだ。
神宝館は、有料だが見る価値がある。というか、絶対行くべき施設だ。奉献品がほぼ完全な形で発見され、保管展示をされている。当時の日本の最高級品を見ることができる。その精巧さにほれぼれしてしまうのだ。もちろん、宗像大社も素晴らしい。私がここで宗像大社と言っているのは、宗像大社辺津宮である。
 
宗像大社は、三姉妹の女神をお祀りしている神社で、沖ノ島の沖津宮、大島の中津宮、そして九州本土にある辺津宮でそれぞれ女神をお祀りし、三宮を合わせて宗像大社なのだ。私たちが実際に参拝できるのは、大島の中津宮まで。それでも、不満ではない。辺津宮から大島の中津宮に行くには、船で約25分の旅となる。
私たちが、福岡に旅をしたとき、あいにくの雨模様。そのため、天候が回復する最終日に大島へ渡ることとした。
当日、雨こそ降らなかったが、すごい時化で、船は上下に揺れた。船の窓に波がざっぶーんとかかり、気分が悪くなる人もいた。やっとの思いで、大島に到着。大島のターミナルから、レンタサイクルで宗像市在住の友人に教えてもらったとおりに島めぐりを楽しんだ。
大島には、「神宿る島」沖ノ島を遙拝する場所がある。沖津宮遙拝所と呼ばれるその場所から、天気が良ければ遠く沖ノ島をおがめるという。沖ノ島を紹介するテレビ番組で、その遙拝所で祈る女性たちが出ていた。彼女たちは、漁に出る旦那さんや息子さんの無事を祈る。
大島は、「神宿る島」への信仰を守る人たちが住んでいるので、「神守る島」とも呼ばれている。なんだか素敵な響きだ。
私は、旅の間、ほんわかした不思議な気分になっていた。2泊3日の行程の旅行で、最初は門司港に宿泊し、2日目で宗像市に宿をとった。旅の最終日に、大島に渡った。残念ながら沖ノ島を見ることはできなかったが、今回の旅で多くの出会いがあった。それは、今回立ち寄った世界遺産に関係した施設や大島の人たちだ。出会った人みんなが、沖ノ島を大切にし、島に宿る神への崇拝も深いのだ。
 
帰りの船まで時間があったので、地元の人にほかの名所を聞いてみた。すると教えてくれたのは、平安時代の武士の墓だった。ある有名な人物の先祖の墓と言われていて、行ってみることにした。
その帰り道のことだ。急に、私たちの横で軽トラックが止まった。
狭い道を通るのだと思い、私たちは速やかに道路の脇に寄った。すると、軽トラのおじいちゃんが運転席から、私たちに何枚かの写真を手渡した。その前に地元の言葉で何か話しかけていたが、イマイチ分からず適当に答えていた。すると、写真を見せてくれたのだ。そうして「それあげる」と言うのだ。「あ、ありがとうございます」と、私たちは丁重に頭を下げて、少し話をして、おじいちゃんを見送った。
写真は4枚くらいで、沖ノ島を撮影したものだった。ほかにも中津宮の鳥居の写真など、なかなか綺麗な風景写真である。二人で顔を見合わせて笑って、大島港へと向かった。自転車を返し、ターミナルの2階の展望デッキに行くこととなった。2階には、素敵なカフェがあり、コーヒーやアイス、お酒や軽食もいただける。船が揺れるといけないので、ソフトクリームを食べることとした。眺めの良いおしゃれなカフェで、しばらくカフェの女性とたわいのないおしゃべりをした。
感じの良い女性だったので、話が弾み、カフェにあった大島産のひじきも購入した。気持ち良い人たちとの出会いが、旅の余韻をさらに心地良いものにしていった。
 
「神守る島」の人たちは、実に優しく、沖ノ島への思いが深い人たちだった。
世界遺産に登録されたのは、そういう崇拝の文化的伝統の物証なのだ。そして、それを守ってきた人たちの思いが、関連遺産群に行くと伝わってくるから不思議なのだ。そういうことも含めて、世界遺産なのだと強く感じた。そこにいる人たちが、伝統を守っている。そして私たち観光客が、それを垣間見る。そして、何かを感じる。傍観者だけど、なんだか満足できる世界遺産の旅となった。

 
 
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2018-06-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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