メディアグランプリ

もし「『イロモネア』に参加できますよ?」と言われ参加するとしたら、あなたは芸人側か? 審査員側か?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:かめ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「えっ? 東京に行くの? 芸人になりたいとか?」
地方から上京するときに、なぜかみんなからそう言われた。
でも、考えてみてもわからない。
私の中に、「お笑い」という要素が見当たらないのだ。
私は新潟県出身だが、今でこそケーブルテレビなどの番組が簡単に観られるが、少し前までは、そんなことはなかった。
「東京とかから来た人は『新潟うつ』になっちゃうんだよね~」
妹の分析によると、テレビのチャンネル数の多いところから来た人々は、新潟でのチャンネル数の少なさに、気分が滅入ってしまうことがあるらしい。
地方というのは、ファッションなどだけではなく、お笑いに関しても情報量が少ないのだ。
そして、県民性もあるかもしれない。
わりといろんなことを真に受ける新潟県民。
おもしろいことを言われると、
「そうなんですね~」
と、納得。
関西人のようなツッコミは、年配者になるほど期待できない。あるいは、理解が追い付かず、スルーされる。
ではなぜ私は、
「東京へ行く」=「お笑いをやる」
と周りから思われたのだろう。
おそらく、女優、ミュージシャン、お笑いなどの選択肢のうち、すぐ思いつく楽しそうなもの、最も需要のあるものが「お笑い」なのだろう。
 
科学技術が進歩している今、人でなくてもいいもの、そういうものが増えている。
けれどきっと、そうなればなるほど、人は人との関わりを求めるだろう。
人との間で
「笑う」
ということを大切にしていくのだろう。
 
と、いうわけで、わからないとばかりも言っていられない。
「イロモネア(ウンナン極限 ネタバトル ザ・イロモネア~笑わせたら100万円~)」を例に、考えてみよう。
まずこの番組のルールは、番組ホームページによるとこうだ。
「一発ギャグ」「ショートコント」「モノマネ」「モノボケ」「サイレント」の5つのジャンルから挑戦者が1つを選択し、会場から選ばれた5人を審査員として笑いを獲る。
1ジャンルをクリアするごとに、その賞金額は増えていくが、失敗すると賞金はなしとなる。
5ジャンルクリアして得られる最高額100万円を目指す、というものだ。
「一発ギャグ」「ショートコント」「モノマネ」については、どれだけそのストックを持っていられるか?
「モノボケ」は瞬発力、機転を利かせられるか?
「サイレント」は自分の体をうまく使って見せられるか?
のように思う。
やろうとするとどれも、私にはむずかしそうだ。
そう、私がお笑いに対して抱いている感情は、
「おもしろい」
よりもむしろ、
「すごい」
というものだ。
笑ってもらえるかどうかという観客の反応に対する折れない強靭な心、笑ってもらうための飽くなき探求心、そして、その場の空気に即座に対応できる瞬発力と頭の回転の速さ、他者に対する観察力。
これらは、訓練すれば培われるものなのだろうか。
ちょっと時間がかかりそうなので、ならば審査員としてなら参加はできまいかと考えてみる。
審査員は、笑うか笑わないか、それだけでいい。
番組としては、みんな笑い上戸だったらいいというわけでもないだろう。けれど、全く反応しない、というのもまた視聴者をイライラさせてしまうのではないか。ラスト数秒でこらえられず笑う、くらいがきっとベストだ。
となると、自分の笑いのポイントについてだが……
「変なところで笑うよね?」
そう、人と、「笑い」のポイントがずれているらしい。
しかしこれもきっと慣れなのだ。
繰り返し「笑い」に触れることで、私もこの審査員としてなら「イロモネア」に参加できるのではないだろうか。
 
そもそも、私は小さい頃から、人生は壮大なにらめっこだと思っていた。
「笑うと負け」
だと思っていたのだ。
ライバルなどとはどうしても、気をはっていなければならない。後ろ側を取られると、死角に入られるといつ斬られるかわからない。
くらいに思っていた。
そうやって、自然と敵を作っていたのだ。
誰かと会ったとき、笑うことをためらっていたのだ。
しかし、職場での朝礼のとき、
「ふふっ!」
私はほかの人たちと全く違うタイミングで笑ってしまった。
しかもそれは、結構なブラックユーモアというか、きっと普通の人なら笑わない内容だった。
すると、すかさず
「そこで笑う?」
という、上司の反応。
当然だ。
しかし、一方で発言者は、
「俺、初めて自分に自信が持てた……」
と言った。
そうか、笑ってほしいのか。
その人は、仕事のできる切れ者だった。
どんなにクールを装っている人でも、やっぱり笑ってもらうということは、うれしいのか。
そう、実感した。
私は長いこと、にらめっこを続けていた。
そのルールは、
「笑うと負け」
だ。
しかし、このゲームには実は続きがある。
笑うと、負けても楽しいのだ。
笑ったあとが、なおさら楽しいのだ。
そして、笑い合って相手と仲良くなれるのだ。
また、よくよく考えてみると、にらめっこをしているときというのは、真面目くさった顔なんてしていない。
相手をどれだけ笑わせてやろうかと、精一杯の変な顔をしているのだ。
そう、気づいた。
 
人生は、にらめっこだ。
これは、笑わないということではなく、相手をどれだけ笑わせられるかということだ。
「笑いは、人をしあわせにする」
 
そのことを信じて、私は人生という壮大なにらめっこを、今まで出会った人たちと、そしてこれから出会う人たちと、ずっと、続けていきたい。
 
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2018-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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