私はお姉ちゃんだから、甘えたいし頼りたい
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:山田 楓(ライティング・ゼミ木曜コース)
「しっかりしているね」
「お姉ちゃんっぽいね」
私は人生の中で、そう言われてきた回数がとても多いと思う。
昔から仲がいい友達にもそう言われるし
新しいコミュニティで初対面の人に会うときもそう言われるので
もうふるまいとか言動とかにお姉ちゃんっぽさが
にじみ出ているのだろうと最近は思うようになってきた。
子どもの頃はしっかりしていると思われるのは良いことだと思っていたので
「私はお姉ちゃんっぽいでしょ?しっかりしてるでしょ?」と
ただ素直に喜び、誇らしい気分になっていた。
むしろもっと言って欲しいという気持ちさえあったかもしれない。
でもいつからか「お姉ちゃん」であることを窮屈に感じる自分もいた。
そういえばアルバイト先で小学生と関わらせてもらう機会があって、
そこで小学生の頃からすでに「お姉ちゃん」としてふるまっている
子どもたちがいることに驚く。
弟や妹たちに対して「〜しなさい」「〜しなくちゃ」と
声をかけている姿もよく見る。
また周りの大人からお姉ちゃんのそれぞれの名前ではなく、
〇〇くんのお姉ちゃんと呼びかけられるのが多いことにも気がついた。
私も子どもの頃はそんな風に呼ばれることが多かったなと思って
何となくだけど私は〇〇くんのお姉ちゃん、って呼びかけるのではなくて
その子自身の名前で声をかけることを意識している。
私自身は小学生の時はどうだったんだろうと思った時に
子ども時代のことを聞くタイミングとして、
就職活動において必要になる自己分析がちょうど良かった。
自分では覚えていない部分のエピソードが何かあればいいなと思って
母親に子ども時代の話を聞いてみると、面白い話が聞けた。
小学校4年生のときのことだ。
私が小学校4年生になったときに、3つ下の弟が小学校1年生として
同じ小学校に入学してきた。
金曜日になると、給食係で使った服が入った給食袋や
1週間使って汗で汚れた体操服を持って帰らないといけない
というルールがあった。
それを知っていた小学校4年生の私は何を思ったのか、
1年生の弟の教室に行って、弟が持って帰るのを忘れることを見込んで、
わざわざ弟の給食袋や体操服を家まで持って帰っていたらしい。
いや弟自身が持って帰ればええやん、とつっこんでしまいそうだが
その頃は親や先生に頼れるお姉ちゃんとして認識してもらいたい気持ちが
大きかったんだと思う。
家族で過ごしているときは特に
「お姉ちゃん」と呼びかけられ、質問される機会が多くあった。
「お姉ちゃんが修学旅行の時は何を持って行ったの」
「お姉ちゃんはどうやってテスト勉強をしていたの」
「お姉ちゃんはどうやって受験校を決めたの」
弟がそういう場面にぶち当たった時に親は初めて私に聞いてくる。
「お姉ちゃんの時はどうしていたの」と。
私はその度にイライラしてしまっていた。
私がそういう場面に出くわしている時は何も聞いてこなかったくせに。
私が一人で悩んでいる時は助けてくれなかったくせに。
ずっとそう思っていた。
今冷静になって振り返れば、あの頃の私は両親に
そういう節目節目で自分のことを気にかけてほしかったのだ。
弟のお姉ちゃんとしてではなくて、一人の娘として接してほしかったのだ。
きっと両親や周りの人も手を差し伸べてくれてはいたはずだ。
ただ、その手を取る勇気が自分になかった。
かたくなに自分だけでできるから、と頼ったりアドバイスをもらうことを
避けてしまっていたからだ。
だから「甘えられる」とか「頼られる」とか
そういった場面が比較的多いし、そういう立場を求められていることにも
うすうす気づいていたし、そうふるまってきた。
そうふるまうことに慣れてきている自分がいた。
そういう性格が形成されるにつれて、
「甘える」とか「頼る」とかが難しくなっていった。
人生を通して「甘えられる」「頼られる」ことの方が多かったので
どうやって人に甘えたり頼ったりすればばいいのかよく分からなくなっていったのだ。
そもそも甘えるって何?
そもそも頼るって何?とひねくれたことを考えてしまう。
甘える、頼るといった行動に移す前に私は自分自身で
できるだけ物事を処理しようとしてしまう。
人に頼るほどではない。
人に甘えるのなら自分で限界までやりたい。
人に聞いた方が早いと分かっていても、自分で進めたい気持ちが湧いてくる。
私は、お姉ちゃんだから、
甘えられたいし、甘えたいし、頼られたいし、頼りたい。
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