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「どうでもいいチェックリスト」が人生を豊かにする


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:本木晋平(ライティング・ゼミ平日コース)

 仕事術、人間関係、ダイエット、各種のお作法など、生活に密着した内容についてのチェックリストの記事を、以前は真剣に読んでいた。
 自分には関係ないかもしれないと思うチェックリストでも、当てはまった項目の解説やアドバイスを読み、自分はやっぱりまだまだかと落ち込んだり、まだ自分は変えられるかもと期待したりしていた。
 自己不信とまではいかないけれど、このままの自分で問題ないのかと不安だったのだろうと思う。
 その一方で、「いったい何の権利があって、何も知らないお前が俺の人生をかき乱すんだ」と、その「何も知らない」人にアプローチしたのが他ならぬ自分であることを忘れてしまうくらい、プライドが自分を変えさせなかった。
 今の自分を変えたくない。
 でもそれは、今の自分を変えられないからかもしれない。
 チェックリストは、自分のダメさ加減を確認する人のため、変われない自分を無意識にいじめたい人のためにある。
 本当にできるひとは、変わるべき自分へ素直に変わって素直に成長していくだろう。
 やろうと思えばできる、やらないだけだ、と強がっている自分と違って。
 そう思うときさえあった。

 けれども最近、チェックリストで落ち込む自分は未熟ではないか、変えるべきなのは、チェックリストの使い方ではないかと思うようになった。
 チェックリストは、占いのようなものではないかと気づいたのだ。

 星占いでもタロット占いでも、手相見でも、占い師は実にいろんなことを言う。
 鑑定結果としての情報量はとても多い。
 占いでなければ言われないことまで言われる。
 あなたはロマンが豊か。経済力がない。自分の意見を曲げない頑固なところがある。
 再来年から人生の冬の時期。
 独身の方が気楽なタイプ。
 予備校から出ている分厚い入試予想問題集なみに、あれもこれもと言えば、どれかは当たる。当たるまで言っている節さえある。

 占いの鑑定結果は情報量が多い上、どうとも解釈できる「ふわっとした表現」が多い。
 「あなたには自己中心的なところがありますね」と言われると、そんなに身勝手に振る舞っているつもりはないけれど、全然身勝手ではないと断言するのもちょっと、と迷い始めるものだ。
 たとえば、次の「鑑定結果」を全否定できる人はどれくらいいるだろう?

 神経質なくらい繊細なところがありますね。
 本質的には優しいひとだけれど、その優しさがなかなか伝わりませんよね。
 後先考えずに行動しますよね。
 浮気性で、すぐに目移りしますね。
 集中力があまりないかもしれません。

 量、質ともに、誰がやっても当たるように設計されているのが、占いであり、チェックリストなのだ。
 いつやっても当たるし、わたしでなくても別の項目が当たったりする。
 そのかわり、誰にも当てはまる問題だからこそ、その対策は、他人事な一般論でしかない。
 経済力のないわたしは「家計をしっかり管理して無駄遣いをしないように、怪しい儲け話には安易に乗らないように」と占い師にアドバイスされるけれど、わたしに経済力があったとしても、このアドバイスはそのまま使える。
 ところで、このアドバイスが資産形成に関するチェックリストの記事に書かれていたとしても、ほとんどの人(特に自分には経済力がないと思う人)は違和感なく受け入れるのではないかと思う。

 要するに、チェックリストなんて、どうでもいいものなのだ。
 でも、そのどうでもいいチェックリストに見向きもしない合理的な生き方というのも、うるおいがないと言うか、つまらない。
 どうでもいいチェックリストは、遊びでつきあうものだと思う。
 遊びでつきあいながら、自分が本当にやりたいことを振り返る「きっかけ」として利用する。
 これが、どうでもいいチェックリストの「オトナの使い方」ではないか。
 祭りの露店の射的をやる感覚でいいのだ。
 当たったらいいな、とわくわくしながら遊べばいい。どうせはずれるようにできている。
そして、「当たらなかったな、当たると思ったけれどダメだったか、あっはっは」と楽しめばいいのだ。
 あんな至近距離にある景品を当てられないなんて体の具合でも悪いのではないかと気に病んでもしんどい。まして、「この射的って、いんちきなんじゃないの」と露店のおやじにクレームを言うのはオトナの振る舞いではない。

 今の自分が未熟であること、できないことや不得意なことがたくさんあることも、自分はこれからどうありたくて、そのために何をするべきかも、本当は知っているはずなのだ。
 自分の変わり方を提案してくれるチェックリストは、自分を変えてくれそうな気がするけれど、実際に変えてはくれない。
 他人が示す「平均・標準・普通」や「資質・才能・可能性という偶然」が自分を成長させることなど、絶対にない。
 それに気づいたとき、人生が豊かになるのではないか。
 チェックリストは、わたしたちが自分の意志や決断を信じられるようになるための「どうでもいい負荷」として、目の前にあり続けるものではないかと思う。

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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2018-10-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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