叶えたい夢は忘れるくらいが丁度いい
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:根本 純希(ライティング・ゼミ日曜コース)
「上の子は女の子で、下は男の子がいいな」
ぼんやりと、それでいて当たり前のように想像した。
想像した5年前。当時、僕は子供が欲しいと思っていた。
でもそれはとても叶うはずのない願いだったように思う。
なぜなら僕はトランスジェンダーで、男性と交わることも無ければ、手術済みの身体には妊娠する機能がもう付いていなかった。
人工授精などで子供を授かる方もいるだろうが、当時のパートナーは子供を望んでなかったので、そもそも二人の間に子供を授かる可能性はゼロだった。
血の繋がりだけではなく魂の繋がりもあると思っている僕は、
誰と誰の間に生まれたかは関係なかったので養子縁組という制度も調べてみた。
すると所得や結婚しているかどうかなど審査が厳しい。
当たり前といえば当たり前だ。
人、一人を育てるのだ。
それにふさわしい環境が整っているのか、
関わる人間はどのような人たちなのか、
精神的にもサポートできる自立した人間であるのか、
などなど、たくさんのことを審査する必要があるだろう。
同性婚が認められていない日本で、僕たちみたいなマイノリティーが
養子縁組を認めてもらうための運動はなかなかパワーを使うことになるだろうと
予想できた。そして世の中の制度を変えるためにパワーを使うほどの情熱は
僕の中から湧き上がることは無かった。
「子供が欲しい。上が女の子で、下が男の子」
その願いは日々の中に紛れて忘れてしまっていた。
5年後
僕は相変わらず理容師としてお店を運営していた
大きく変わったといえばパートナーが変わったこと。
同じく理容師のパートナーには子供が2人いた
そう、上が女の子で下が男の子だ。
初めて会った日、人見知りで慎重派の姉は緊張気味な表情でそこにいた。
愛嬌がありひょうきんで、ちゃかちゃかと落ち着きのない弟は僕に興味を示していた。
僕が持っている安心させる雰囲気は子供たちに伝わり警戒心を解くのに時間はかからなかった。
でも、だけど、慎重に。
日めくりカレンダーを一枚一枚丁寧に剥がすように僕たちは距離を縮めていった。
初めて会ってから3か月後、子供たちと一緒に暮らすことになった。
家は物であふれ、掃除してもすぐに散らかり、洗濯は毎日。
泣いたり、笑ったり、喧嘩したり、ギャーギャーと騒がしい。
1人であればご飯は簡単になんでもいいところだが、子供達のことを考えるとそんなわけにいかない。
栄養のバランス、味つけ、好き嫌い、アレルギーのことを考えながらの調理。
ご飯を作るだけでもちょっとした労働だ。
子供と暮らすことは楽しいことばかりじゃない。
でも、だけど、やっぱり、おかえりと抱きついて来るとき、お腹を出して寝ている姿に布団を掛けなおすとき、横に並び歩くときそっと手をつないでくる感触。
日常の中にたくさんの幸せを感じた。
そして僕はふと思い出したのだ
5年前「子供が欲しい。上が女の子、下が男の子」と願ったことを。
叶っている。少し大きく育ってからではあるが僕の目の前に現れている。
5年という年月がかかっているし、願ったこともすっかり忘れていたのだけど……。
夢を叶えるコツは二通りあると思う。
ひとつは、どうにかなることが夢であれば、ゴールを決めてそれを達成するために計画を立て行動していく。
もうひとつは、自分一人ですぐにどうにかなることではないなら手放す。
「人事を尽くして天命を待つ」ということにも通じるかもしれない。
現実を変えることに躍起になりすぎてしまうのであれば、忘れるくらいが丁度いい。
子供たちが成長し夢が出来たとしたら自分の体験談をアドバイス出来そうだ
「どうしても叶えたい夢が出来た時は、ありありとイメージして忘れるのだ。忘れたら日々のことを淡々とやればいい。本当に必要なことであれば必ず叶うから。それまでは目の前のことを大事にするといいよ」
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