メディアグランプリ

私に「かけられた」想いとは


 
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:山口祥平(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
温かい人から譲り受けた「温かさ」
その温かさが今、私の心のエンジンとなって動き続けている。
 
 
最近、自分について昔からのことを振り返ったり、今の状況やこれからの展望に関して考えることがしばしばある。
「自分は今までどんなことをしてきて、何を得られただろう」
「これから何をしていきたいか。 なぜそれをしたいのか」
など、こと細かに自己分析をしていく。
1つずつ内容を掘り下げていくと、今まで忘れていた自分や気づかなかった自分に出会うことができた。
 
20代の頃、洋楽のR&BやHIP HOPのMIX CDを聴きはじめ、クラブに遊びに行くようになった。
ステージ上でターンテーブルを回して曲を流し、曲に合わせて楽しむフロアの人を見ながら、自分もDJやってみたいと思うようになった。
まだまだ少ない給料の中で、お金を貯めてターンテーブルを買った。
独学で選曲や曲のつなぎ方を勉強したり、DJの先輩に教えてもらいながら練習し、クラブでDJができるようになった。
また、クラブでDJをするのも楽しいが、クラブが好きでも怖くて行けないと思う人にも聴いてもらえるようにとオリジナルのMIX CDを作ったりした。
クラブに来た人に楽しんでもらえるように、クラブに来れない人にもCDを聴いて楽しんでもらえるようにと思ってDJを始めた。
 
そして、今はライティングをしている。
書くことが大の苦手であったが、趣味の読書によって得た知識や想いを、書くことで伝えたい。
自分が伝える日常の出来事や体験したことによっての気付きが、誰かに届いてほしい。
そういう想いでライティングを始め、今も続けている。
 
「洋楽が好きな人が、より洋楽を楽しんでほしい」
「自分が書いた文章が、誰かの心に届いてくれたら嬉しい」
 
このように、自分の行動の源になっている「相手に届けたい」という想いは、どこからきているのだろうと考えた。
すると、それは小学1年生の頃にあった出来事からではないだろうかと気づいた。
 
小学生の頃、私の家に祖父母が泊まりに来ていた。冬が終わりかける2月の、ちょっと肌寒い時期だった。
いつも笑顔で話を聴いてくれて、遊んでくれる祖父母が大好きだった。
一緒にご飯を食べてテレビを見ながら、私の家族と祖父母でにぎやかに話をした。
寝る時間になり、祖父母と一緒に寝ることにした。
私が真ん中の布団に入り、自分の最近の出来事を話したり、聞かれたことについて答えた。
祖父母は、仏様のようにニコニコした顔で話を聴いてくれて、「うんうん、そうなんだね」と優しく答えてくれた。
それが子守歌を聴いた時のような気持ち良さになったせいか、いつの間にか寝てしまっていた。
 
夜中にふと目が覚めると、寝相が悪かったようで布団がはだけてしまっていた。
それでも、布団をかけなおすこともなく、また眠りに入ろうとしていた。
眠かったので、寒さなんて全然気にすることはなかった。
その時、体に重みを感じた。体が温かくなった。起きていた祖父母が、はだけていた私の布団をかけてくれたのだ。まだ意識はあったが、寝たふりをしていた。
2枚も3枚も毛布や布団をかけてくれて、ちょっと暑いくらいだったけれど何も言えなかった。
 
嬉しくて嬉しくて、ありがとうの一言すら言えずに、温かさに浸っていた。
起きているのに気づかれないように、ちょっとでも動かないようにしていた。
布団をかけてくれた祖父母の行為は、布団のように温かく感じた。
祖父母の優しさに包まれながら、幸せのあまりいつの間にかまた眠っていた。
この時の温かさは、今になっても冷めることはない。今でも心の中に残っている。
 
あの時なぜ布団をかけてくれたのだろう。
寒そうにしていたから?
布団をかけてくれた時、どういう想いでいてくれたのだろう。
温かくして風邪ひかないように心配してくれたのだろうか?
その答えはもう聞くことができない。
 
大人になっていろいろと出来ることが増えた分、自分の想いを届ける手段も増えてきた。
なぜこれをやりたいのだろう?
なぜ誰かに向けて届けたいのだろう?
答えは、相手の為になることをしたい。少しでも楽しさや嬉しさを感じてもらいたい。
祖父母からもらった温かさを私が引き継ぎ、誰かに届けていくことが祖父母への恩返しになるのではないだろうか。
 
その想いを胸に、温かさが長く続くように私の心でずっと大切にしていきたい。
誰かの心が温まるように、私の心に布団をかけてそっと温めておきたい。
 
 
 
 
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2019-04-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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