fbpx
メディアグランプリ

犬の育て方は知恵の輪


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ジョーツナ ユウコ (ライティング・ゼミ 平日コース)
 
 
「大人になったら犬を飼う」のが小学生の頃の私の夢だった。
世間でいう大人になってから10年も経とうとしていた頃、その夢が突然叶う時がやってきた。
 
たまたま訪ねた不動産屋さんでペット可物件を紹介してもらい、子犬を譲ってくださる方まで紹介してもらった。
 
やってきたのは黒のラブラドール。まだ生まれて間もないから、手のひらに乗るくらいちっちゃい。
顔はまだのっぺりとして、鼻の付け根には何本もしわがあって、目もとろーんとしている。体はむちむちと弾力があって、毛も短いけれど柔らかくてほわほわしている。たまにむぁーっとあくびをすると、口からは子犬特有の匂いがして、もう全てが可愛くて可愛くて仕方なかった。
 
うちにやってきて最初の頃は慣れない環境からか、とてもおとなしくて可愛い天使だったのが数日で黒い悪魔へと変身していった。
 
とにかく元気で家の中を駈けまわり、あらゆるものを破壊した。
トイレもなかなか覚えず、最終的にカーペットを3回買い換えた。
たまに静かにしているなと思ったら、電気コード、机や椅子の脚、敷居、革靴、靴下、ティシュペーパー等々、何かしら噛んでいた。
 
と、まぁこれはほんの一部だけど、毎日こんな具合だった。
子犬を迎えるにあたって、これくらいのことは想定内だったけど、一番困ったのは私の手や腕を噛むことだった。それも甘噛みではなくて、本気でガブッと噛んでくる。まだ小さいから力は弱いけれど、乳歯で先が鋭いから場所によってはサクッと入る。
この時の私の腕は傷とアザだらけで、後から聞いて知ったのだが、当時の職場の上司は密かに私がDVを受けているのではないかと心配していたらしい。
 
ラブラドールは大型犬、成犬になったら力も強くなるし、もし散歩中によその犬や人に噛みついた時には大変なことになる。小さいうちにこの癖をなんとかしなければと思って本を買った。
「欧米流犬のしつけ方」
体罰を与えずにしつけをする方法が載っているのが気に入った。
 
「犬が何か悪いことをしそうになったら天罰を与えます。これを繰り返すことにより、犬はこれをすると嫌なことが起きると学習します。」
 
この場合の天罰とは、缶に釘などを入れて大きな音がなるものを作成し、犬が何かいたずらや問題行動を起こした時にこれが落ちてくるようにセットして犬をびっくりさせるというものだった。
早速、観葉植物をわしわしと噛んでいたので試してみた。
ゴキゲンで葉を噛んでいるところへ缶をガッシャーンと落とす。
最初はものすごくびっくりしたようだったけれど、すぐにその缶は新しいおもちゃと認識したようで、ガリガリ齧り始めた。
 
「いたずらをした時には鼻の頭を指ではじきます」
「水鉄砲で顔に水をかけます」
「犬の背中をつかんで振ります」
 
いろいろ試してみたけれど、どれも効き目なし。
何をしても遊んでもらっていると思うのか、シッポふりふりで喜びながら私の手に噛みついてくる。なんとかこの癖を治したいと思って本を隅々まで読んだけど、どの方法もうちの子にはあってないみたいだった。
 
「やっぱり素人では限界があるからプロの訓練士の方にお願いした方がいいのか?」
この子のしつけは自分でやろうと決めていたけれど、その信念も揺らぎ始めていたある日、テレビを見ているとお母さん犬と子犬たちの様子が映し出された。犬種は違ったけれど子犬たちはうちの子と同じくらいの月齢だった。
そこで本来ならうちの子はまだお母さん犬と一緒にいて、お母さんや兄弟と暮らしていく中で、いろんなことを学んでいく時期なのではと気がついた。
 
テレビを消して犬と遊んでいるとまた噛みついてきた。
あまりやりたくなかったけど、犬の首を少し強めに噛んでみた。「キャン」と小さい声で短く鳴いたのでそこで離して噛んだところを撫でた。
犬のお母さんはどうやって子犬に教えるのか考えた結果、このくらいの強さで噛むと痛いんだよ。と身を持って教えてみようと思ったのだ。
 
この後、本当にびっくりするくらい噛み癖がぱったりと無くなった。
私の何とかしなければという焦りも無くなり、犬もそれを敏感に感じ取っていたのか、日に日に穏やかになっていった。
今でも時々いたずらはするけれど、元気でみんなに愛される良い子に育ってくれたと思う。
 
後でいろいろ調べると、この最後に私がやった方法を勧めている人もいるし、逆にこれは絶対にダメと言っている人もいる。
今回、うちの子にはこの方法が合っていたということで、本に書いてあった方法が合う子もいて、犬の性格もあるし、しつけ方はその家庭によってそれぞれだと思う。
 
犬を育てていると、子供の頃によく遊んだ知恵の輪に似ているなぁと思う。力ずくで引っ張っても、角度が違っても絶対に外れない。いろんなことを試して、もうダメかもと諦めかけた時にちょっと見方を変えたら簡単にすっと外れる。あんなに悩んでいたのが嘘みたいに。
犬の育て方もこんな感じでいつか解決するからあまり深刻にならなくても良いなと思った時から、犬との暮らしがさらに楽しくなった。
 
 
 
 
***
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜《7/14までの早期特典あり!》


 

天狼院書店「東京天狼院」 〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F 東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」 〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN 〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】 天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


2019-07-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事