メディアグランプリ

お手軽に超気持ちよくなれます


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ペンネーム 篁五郎 (ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「超気持ちいい!」
 
スポーツ名場面集でもお馴染み、北島康介が金メダルを獲ったときにいった名台詞だ。
 
そんな感覚を味わったことなんてあったっけ? もしあったとしてもずいぶん前のことだ。自分の中からすっかり抜け落ちている。いつになったらまた味わえるんだろう? 日々生きていると気持ちいいなんて感じることはあまりない。性行為で感じることはあるが、それも随分とご無沙汰。そもそもあれのときに「超気持ちいい!」」なんて叫んでいたら相手から随分と驚かれるだろう。自慰行為で同じことをしたらさぞかし変態扱いされるに違いない。
 
しかし思うのは、北島康介が叫んだ「超気持ちいい!」と性行為や自慰行為の気持ちいいのは感覚が違うように思える。北島康介は爽快感というか、達成感というか。なんか「やり切ったぜ!」みたいな感じ? 「俺はこれに挑戦して見事にやり切った!」みたいな感じ?
 
そっかあ。その感覚か。それって何に挑戦したら味わえるのかな? あっ、そういえばマラソンが趣味の友人が言っていたな。マラソンを走った後はもの凄く爽快感とか達成感を感じるって。マラソン大会に出ると余計に感じるらしい。なんでか? マラソン大会って足切りというのがあるんだって。何時間で走り終わらないといけないそうだ。だから足切りにならないために練習をする。そしてタイムを縮める。練習を繰り返して、少しずつ少しずつタイムを縮めていく。そして大会が近づいたらコンディションを整えていって準備に入る。本番まで凄く緊張するらしい。前日は眠れないこともあるんだって。そんな状態でスタート地点に着くと緊張感は頂点に達するのかと思いきや、割と落ち着いているらしい。
 
スタートの空砲がなると緊張は通り過ぎて無心になるんだって。それからは周りというよりも自分との戦い。自分のペースは早すぎないか? きちんと腕は振れているか? 足の状態はどうか? それらを気にしながら体力と相談して走るそうだ。もちろん途中でもの凄く疲れてくるって。汗はたくさん掻くし、足はしびれたりしてつらくて止まりそうになるけど、でも動かすんだって。何でだろう? 僕にはわからない。友人曰く「自分でもわからない」だって。変なの。でもゴールに着いた瞬間に爽快な気分になって達成感を味わえるんだって。でも、自分には無理だよな。だって42.195kmも走るなんてできないよ。
 
ああ、自分にはもう達成感や爽快感を得ることはないのか。
 
しかし、自分でもその感覚を味わうときがきた。しかも自宅で。そいつはコンビニに売ってやがった。僕は「新発売か」と思いながらカゴの中にそいつをぶち込み。他の食べ物と一緒にレジで会計を済ませた。僕は、新発売に弱いけどそいつをすぐに食べようと思わなかった。そいつはダイエット中の僕には、食べる時間帯が決まっていたからね。夜に食ったら脂肪になる。中年になると脂肪は付きやすく落としにくい。だから食べるとしたら昼間だ。でも、平日の昼間は僕は仕事に出かけていて仕事場には弁当を持っていっている。だからそいつを平らげるのは必然的に土日祝日になるというわけだ。
 
海の日の昼間、僕はついにそいつと対峙した。ビニールを破き、上ふたを開けてお湯を注ぐ。フタを閉めて5分待つ。ここまでくればおわかりだろう? そいつはカップ麺だ。赤いパッケージデザインの中に”激辛味噌””辛さの極地”なんて書いてありやがる。手ごわそうだ。
 
5分経ってフタを開ける。一緒についてたスープの封を開けるとツーンと鼻に刺さる匂いがする。これはヤバそうだ。ヤバいに違いない。入れなくてもいいよな? あれ? 何で入れてるの? それ入れたら確実にヤバい匂いしたじゃん。何で入れてるの? あーあ、全部入れちゃったよ。しかもかき回して満遍なく混ぜちゃった。混ぜているときにまた唐辛子の匂いが鼻を突き刺す。これ絶対にヤバいやつ。
 
「ヤバいよ。ヤバいよ。」
 
出川哲朗のマネをしながらに言った後に、麺をすするとさ。あれ? おかしいな? 味がしない。なーんだ、ハッタリかよ! なーんて思ってたら
 
痛い。舌が痛い。
 
これおかしいだろ? 普通辛いって感覚がきてから痛いじゃない? 辛さを感じずに痛いっておかしいよな。なんか舌がしびれる。感覚がなくなっていった。もう食べるのやめたほうがいい。でも、止まらない。箸が止まらない。ずうっと赤いスープの中に埋もれている麺をすすっている。なんか止まらない。
 
あっ、汗が出てきた。毛穴からドバドバと汗が吹き出してきた。あーあ。着ているTシャツぐしゃぐしゃじゃん。汗で濡れてきたよ。今日は気温22度で涼しいというよりちょっと寒いくらいなのに汗が止まらない。止めればいいのに止まらない。もうすぐ麺を食べきってスープだけになる。もういいよな? 残してもいいよな? あれ? 何でカップ持ってスープまで飲み干そうとしているの? 馬鹿なの? また汗出てくるじゃん。でも、スープ飲んでる手が止まらないの。
 
最後の一滴まで飲み干したら出てきた言葉はあれだった。
 
「超気持ちいい!」
 
汗でTシャツぐしゃぐしゃだったけど爽快感と達成感に包まれたよ。
 
「どうだ! 俺様にかかれば激辛ラーメンなんてこんなもんだ!」
 
なんて一人でスイーツ真壁のモノマネしながら叫んでしまった。そうか! 達成感と爽快感ってこの感覚だったんだ。やっと思い出した。
 
どうです? そこの皆さん。手軽に達成感と爽快感を味わえる激辛ラーメン。この夏は特におすすめですよ。
 
 
 
 
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2019-07-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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