メディアグランプリ

「なにもしていないのに、どうして私がリストラに?」に潜む謎


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記事: 鉾立由紀(書塾)
 
「今日限りで君は来なくていいよ」
 
これは2002年、私がカナダの会社で働いていた際に上司から言われた言葉。 要するに、私は会社からリストラされてしまったのです。
 
リストラとは「企業が不採算部門の整理、成長分野への進出などを通して、業態の再構築をはかること。 俗に、余剰人員の整理、解雇(Webより引用)」を指します。
 
リストラされた時、私は31歳。 人生において最も鼻っ柱が強い時期でした。 特に私は日本人であることもあり、勤めた会社からリストラされるという意識などまったくなく……。 そのため、当時の私には、リストラが自分の身に降りかかるなんてまさに青天の霹靂だったのです。
 
私にリストラの嵐が吹き荒れてから約17年が経ち、この期間に日本企業においてもリストラの波が押し寄せるようになってきました。 ですが一方で、日本人にとって、リストラは、まだまだ受け入れることが難しいのも事実。
 
今回の記事では、そんなリストラの波の犠牲者になる可能性のあるすべての方々にリストラの真実をお伝えしていきます。 リストラ経験後、私はリストラについての考え方を学びました。 31歳当時の私にとってはこの世の終わりとも思えたリストラ。 しかし今は「リストラ如きでいちいち傷つく必要はない」と言うことを、私は知っています。 今回の記事を通して、リストラがあなたの身に降りかかる前に、私がリストラを通して学んだ2つのことを、あなたにしっかりとお伝えしていきます。
 
それでは早速、説明していきます。 私がリストラを通して学んだ2つのことの1つ目。 それは「能力がないからリストラされる」訳ではないということ。
 
私がリストラされた時、私は自分自身を落語者だとして蔑みました。 なぜなら、当時の私は「能力がない人がリストラされる」と思い込んでいたからです。 しかし、その後、私は大手日本企業で働き、大手外資系企業で働き、ヘッドハンティング会社で働き、三者三様の視点からリストラについて観察することができました。 そしてそこで出た結論が、「リストラと個人の能力には、なんの関係もない」ということでした。
 
具体的に説明します。 例えばですが、あなたの爪を見てください。 あなたは爪が伸びてきたら、爪を切りますよね? 「この爪、がんばって、むちゃくちゃ成果を出してくれているのに、伸びてきたからって切るなんて……できない!!」なんて……、言いませんよね?
 
リストラは、この伸びてきた爪を切ること同じなのだと言うことを、頭に叩き込んでほしいのです。
 
前述したように、リストラは「企業が不採算部門の整理、成長分野への進出などを通して、業態の再構築をはかること。俗に、余剰人員の整理、解雇(Webより引用)」を意味します。
 
なので、会社が人員を溜め込みすぎて、太り気味になってきたらダイエットをする。 そのため、いらないお肉は削ぎ落とされる。 それ以上でもそれ以下でもありません。 リストラされた側の「能力が高いかどうか」なんて、ここでは全く検討もされません。 ただ、「余剰がそこにあるから」という理由でリストラは行われる。 ただそれだけのことなのです。
 
そしてもう1つのリストラからの学び。 それは「何もしていないのにリストラされた」という姿勢が、私をリストラの対象にしたということなのです。
 
私がカナダの会社に勤めていた頃、私の仕事に対する姿勢は、「上司に言われたことをやっていればいい」と言う御用聞きの姿勢でした。 当時31歳だった私は「言われたことを一生懸命やっていれば評価される」と思い込んでいたのです。
 
しかし、私はMBA(経営学修士号)を持っている人材として採用されており、また海外の企業において、「御用聞き」のポジションは残念ながら存在しておらず……。 結果、私は余剰人員としてリストラ人員となってしまったのです。
 
もちろん、「言われた仕事をやってたのに、どうして?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。 しかし、ここで学んでほしいことは、会社に雇われている人間が「言われてからやる」のでは遅い、ということなのです。
 
例えば、あなたがお手伝いさんを雇っていると想像してみてください。 それなのに、その雇った家政婦の方が、様々な家事作業を「あなたに言われてから」気がついて、「あなたに言われてから」やり始めたら、どう思われますか? おそらくその方を「役に立たない!」と、すぐにその方を派遣した会社に連絡して、担当を変えるか、その会社に依頼することをやめてしまうでしょう。
 
「リストラされるようなことは何もしていないのにリストラされた」
 
そう嘆く時、それは能力の有無の問題ではなく「会社のために役に立てることはないかと、率先して行動しているかどうか?」という姿勢がないことを指しているのです。
 
日本人の多くは、失敗することを極度に怖れます。 そのため、自分からリーダーシップを取って動くことはせず、上司、先輩、同僚から言われて、はじめて動くという受身の姿勢を取る方がとても多いのです。 そしてその姿勢の結果、役に立たない「余剰」とみなされ、実際にリストラを引き寄せてしまう……。
 
今の時代、リストラは能力の問題に関係なく、起きるときには起きてしまうもの。 それはどうあがこうと、伸びてきたら切ってしまう爪のように、起きるときは起きる時、もうどうしようもありません。
 
では、雇われる人間にできる対策はないのかと言うと、そんなことはありません。 自分から率先して「なにか役に立てることはないか」と考え行動することが、リストラを避ける最も現実的な方法であり、また例えリストラをされても、自分が生き残るための道を切り拓くことができる最善の方法なのです。
 
専業主婦(主夫)であっても、起業家であっても、正社員であっても、フリーターであっても、派遣社員であっても、絶対に安泰という立ち位置は存在しません。
 
いつ来るかわからないリストラの波を怖れて、なにもせずじっとし続けるのではなく、リストラはいつか来るものと覚悟して、その瞬間まで、会社のために、上司のために、そしてお客様のために「もっと自分にできることはないか?」と考え、率先して行動する姿勢を持つ。 それが来るべきリストラの大波を乗りこなす最も的確な方法だということ、ぜひ心に留めておいてください。
 
 
 
 
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2019-07-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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