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口癖は天気のように


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:結珠(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
大学の後輩で「すみません」が口癖な子がいた。
 
先輩後輩の関係でこちらとしては当たり前の気持ちで奢った時や大学のことでアドバイスをした時、何気なくモノを取ってあげたときなど、まず出てくるのは「すみません」である。
 
挙句、「そんなにすみませんって言わなくていいよ」と伝えても「すみません」で返されてしまった。
(誤解の無いように付け加えておくと、私が特別厳しかったり怒っている先輩という訳でなく、その子は違う人にも同じように言っている子だった。)
素直にありがとうと言ってほしいなと、本人は無意識だったと思うがこちら側としては何となくモヤっとした感情が残る。
 
思えば、とても日本人らしい便利な言葉である。
 
私達は、「すみません」を大きく2つの意味で使っている。
1つは、謝罪の「すみません」である。これは伝えたいメッセージとしてはそのままで「申し訳ない」や「ごめんなさい」だ。
自分がかけた、若しくは、かけるであろう迷惑を詫びる表現だ。由来は「申し訳なくて私の心が済まない」という意味になる。
 
もう1つは、感謝の「すみません」だ。
これは、人に何かをもらったり、してもらったりした時に「ありがとうございます」というメッセージを伝えている。
由来としては「してもらった事に対して、相当のお礼もできず私の心が済みません」というところから来ている。
後輩の子の「すみません」は、後者の意味合いで使っているのだろう。
遠慮と申し訳無さの影に隠れた感謝である。
 
この「すみません」という言葉、遠慮もこもっているし、感謝の気持ちも謝罪の気持ちも表現できるため、日本人にとって便利で使いやすい。
 
人に思いがけず何かをもらった時、気を使って席を譲ってもらった時、自分の為を思って忠告をしてくれた人がいた時など、私達は感謝を伝えるとき「ありがとう」より先に「すみません」を使っていることが多いのではないだろうか。
 
しかし、感謝の「すみません」は、相手の行為に報いれない事の申し訳無さや謝罪の気持ちが混ざった言葉である。
そのため、感謝の「すみません」には謝罪の「すみません」の気持ちが前提として含まれている。
 
感謝の気持ちを素直に表現すればいいのに「すみません」と言ってしまうことで、申し訳無さと謝罪がまるで雲のように太陽を覆ってしまって「ありがとう」の気持ちを見えにくくしてしまっている。
そんな曇り空のような「すみません」を、私達は必要のない申し訳無さや後ろめたさを感じてついつい言ってしまってはいないだろうか。
 
私達が発する言葉には、人の感情や考え方、価値観を変える力がある。
ポジティブな言葉を発し続ければ、考え方もシンプルで暖かなポジティブなものになっていく。
ネガティブな言葉を言い続けたら、空に雲がかかるように、徐々に自分の考えや評価や価値観がネガティブになっていく。
 
感謝の「すみません」も、結局は謝罪の気持ちや受け取る側の後ろめたさが含まれているので、伝える相手にもその感謝が伝わりにくい。
そして、謝罪の感情を持ち続けることで人からの優しさを素直に受け取れずに、ポジティブな感謝の気持ちを感じにくくなってしまう。
日本人の自己評価の低さには、実はこの「すみません」を多用する文化の中にもあるのかもしれない。
 
そう考えたとき、私達は
 
「本当にそのすみませんは、必要なのか?」
 
そう、自分に問いかけるべきではないだろうかと思う。
 
与えられたり、何かをしてもらったことに対して、素直に「ありがとう」と伝える方が自分にとっても感謝を受け取る相手にとっても気持ちのいいものだ。
そこにはしてもらったことへの後ろめたさや申し訳無さといった感情は無く、シンプルな感謝の感情が生まれる。
そして、感謝の言葉を受け取った相手は、自分の優しさが受け入れられたことに満足感を得ることができる。
 
自分の考え方をポジティブに変えたかったり、必要のないネガティブな感情になってしまう人は、まずは口癖を変えてみてほしい。
 
例えば、人に褒められた時に「いやいや」と否定から入ってしまう人や「すみません」と口癖のように言ってしまう人は、まずは相手のしてくれたこと、言ってもらったことに対して素直に「ありがとう」の言葉を伝えてみよう。
 
「すみません」が「ありがとう」に変わっていけばいくほど、自分の考え方の曇り空も晴れていき、ポジティブな感情が雲間から顔を出し始めるのだ。
 
そういえば、「すみません」が口癖のあの子は、天気予報士になりたいと言っていた。
彼が「すいません」の中に申し訳無さという曇り空があることに気づいてくれていればと思う。そうなっていれば、彼が人に感謝をするとき、青空のよう素直な気持ちで「ありがとう」と伝えることが出来るようになるだろう
 
 
 
 
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2019-08-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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