「娘の反抗期」と「お笑い」
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:HIDE(ライティング・ゼミ平日コース)
「この女の人が持ってる、あの黒くて、パチンパチンって振るやつがほしいの!」
黒いムチを引っ張りながら「あぁーーー!」と吠える女芸人「にしおか すみこだよ~」をみながら、幼児園児だった娘が無邪気に言った。
幼稚園児が大人のおもちゃチックなムチをねだっている……。
娘は、「面白いから私もやりたい」と純粋に思っただけだろうが、
私は絶句した。
そして、おなかを抱えて大笑いした。
この娘、今は高校3年生になった。
外見のふんわり感からは想像できないのだが、「お笑い」にはかなりうるさい。
そして、彼女から発せられる言葉は、かなりの毒舌だ。
親としては、たしなめた方がいいのかも? と思うことも多々あるのだが、私は、その毒に含まれる何かに、ついつい笑ってしまう。
しかし、この毒舌に、泣いた時期が長くあった。
反抗期にある程度の暴言を吐かれるのは、子どもの自我形成のために必要なことだし、反抗期があるのは健康な精神発達をしているという証でもある。
だが、発達に凸凹さをもつ娘の激しい自己表現は、「反抗期」というには濃厚すぎたし、期間も長く続かった。
この娘は、私には全くない発想をするのでとても面白い。
だが、私の発想の左斜め上あたりから繰り出される彼女の言動に、若かった私は、今以上に「???」となることも多かった。
また、「常識的な行動」を教えようとする度に、私の言葉が「伝わらない」「わからない」といい、内容は理解できた時でも、「それは私にそれは必要ない!」と抵抗されることが多く、お互いに疲弊していた。
そのせいか、小学校高学年のころには、「ママのことが大嫌いだ」というメッセージを、毎日、何度も、娘から示されるようになっていた。
毎日、子どもたちのために一生懸命頑張っているのに。
子育てのためのいろいろな勉強だってたくさんしているし、
いっぱい遊びにも連れて行っってるのに、
「なんで、大事におもっていることがわかってくれないの?」という
悲しさ、みじめさ、恨めしさなどで、気持ちでいっぱいだった。
同時に、「毎日叱責ばかりしていては、私がこの子の心を壊してしまう。この子をダメにしてしまう……」という強烈な危機感も感じていた。
そんな最中に、友人の心理士からアドバイスされた。
「失敗や腹のたったことを、面白く人に伝えられるようにしてみるのはどう?」
「そういうのは、ウケがいいネタになるよ」と言った。
当時の私は、ブログをマメに更新していたせいか、ブログネタにしたら、読み手は面白と思う!と友人は勧めるのだ。
確かに……
書くことで、「嫌なこと」「苦しいこと」という気持ちと距離が取れる。
書くことで、起こった事と、自分の頭を整理できる。
さらに、面白さを求めると、視点を変えて全体を把握しそうだ。
そして。
私は、嫌なことを、文字にするようになった。
残念ながら、上手に「笑い」になるようなネタは書けなかったが、うまくできたときなどは、自分でも「ぷッ」と笑えたりした。
それに、ただただ自分の思いを書きなぐっていくだけでも、気持ちがスッキリすることが分かった。
また、私がいつも「伝わらない」と思っていたときは、彼女の方の「伝えたい」を無視していた、とも気づいた。
書くことを通じて、私は「娘からの視点」を意識できるようになっていたから。
私からみた「娘の視点」なので、見えたことは娘の真実ではない。
でも、「私と娘は、考えることも感じることも別だ」という、ごく当たり前のことに納得がゆき、私が与えたいことと、彼女の求めていることは「同じじゃない」ことが理解できた。
「人格は別」という知識に、「娘の視点を感じる」という体験が伴って、やっと「腑に落ちた」のだ。
人に笑われるようなバカらしい失敗や事件を、「お笑い」という、と辞書にある。
どんな家庭の揉め事も、他人がみたら、きっとバカらしいことばっかりだろう。
だったら、私は、自分の失敗や、家族の問題などから、「おもしろさを発見できる目」を持とうと思った。
深刻な問題ほど、「笑い」に変えられるお母ちゃんに、私はなりたい。
日常の小さいことから「笑える」ネタを探すようになった頃には、娘との関係も穏やかになっていた。
「どうしたかったの?」
「何をしてほしい?」と、
娘のことを娘に聞いて対応できるようになったこともあるが、私が「お笑い」を求めて生活している姿勢が、以前の私とは違ったらしい。
「ママ、かわいいね」
「面白いね」
などの、言葉のプレゼントがもらえるようになった。
それと……
「お笑い芸」が急に大好きになったわけではないのだが、「これがいま面白い」と、娘が好きな芸人さんの動画を教えてくれるよにもなり、共有の楽しい話題が増えていった。
数日前、娘が、「反抗期のときって、なにをみてもイライラするしウザいし、自分だけ損してるみたいな気分だったけど、なんであんな風になってたのか不思議だよ」と、小学校6年生の妹の様子をみていった。
そういえば、この2~3か月、娘の感情台風は到来していない……
そうか、そうか、やっと、やっと終わってくれたのか!!
が。
待て待て。
喜んだものの、家には次がいたじゃないか!
6歳年下の妹ちゃん、最近、なにやら反抗期が徐々にはじまっているようなのだ。
お姉ちゃんほどの大型で遅いものではなさそうだが、
こちらは、短期でドッカーン的なものがやってきそうだ。
今度は、どれだけ「笑い」を書いていけるだろうか。
自分のために、でっかいホームラン狙いのネタ作りを楽しもうと思う。
そして、娘たちの結婚式で、絶対に暴露する! と、母は今から企てている。
***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
http://tenro-in.com/zemi/97290
天狼院書店「東京天狼院」 〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F 東京天狼院への行き方詳細はこちら
天狼院書店「福岡天狼院」 〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN 〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
【天狼院書店へのお問い合わせ】
【天狼院公式Facebookページ】 天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。