何を書いたらいいのかわからない私は、かつて軽蔑した上司と同じだった
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:オノミチコ(ライティング・ゼミ日曜コース)
8月の日曜日、ライティング・ゼミに参加した。書きたいことをうまく書けるようになりたいと参加したゼミだが、私がつまずいたのは、内容やスキルよりも、「文章の目的を考えること」だった。書きたいことがあったはずなのに、いざ「書く目的」をはっきりさせようとすると、急に何も考えられなくなって、文字通り、目の前が真っ白になってしまった。
私はあらゆる場面において、目的を考えることが苦手だ。よく考えずに直感にまかせてとりあえず動いてしまう。行動力があるといえば聞こえはいいが、何がしたかったのかを見失って迷子になってしまうことも多い。それは行動だけに限らない。話をしている途中で自分がなんの話をしていたのかわからなくなってしまうこともある。
まず目的を決めることが大切、とはよく言われることだけれど、私にとって「目的を決めること」は苦手意識のスイッチだ。
3年ほど前、私は職場の別の部署にいた。そのときの上司は、全員が顔を合わせて近況を語ることを好んだ。「現場に行かなければ何もわからない」が口癖で地方出張を繰り返し、たまに会社に戻ってくるのは会議が予定されている日だけだった。
会議といっても準備も議題も何もない雑談のような時間で、いつも延長に延長を重ねて、ときには翌日に持ち越すこともあった。それだけ時間をかけても、何かが決まったことは一度もない。
時間を奪われて業務が進まないことにうんざりした私は、生意気にも上司に聞いた。
「何のための会議ですか」
「決めなければいけないことは何ですか」
上司は当たり前のように言った。
「そんなものは集まってから考えればいい」
相も変わらず何も決まらない会議を眺めながら、目的地を決めずに飛び立った飛行機のようだと思っていた。どこに行くかを決めずにとりあえず飛び立ったものの、ぐるぐると上空を旋回しているだけで、どこにもたどり着けないまま燃料が尽きてしまう。どこかに着陸できればいいが、墜落してしまうかもしれない。時間と燃料を無駄にして、ただリスクだけを背負っている。
いまの私は当時の上司と同じではないか。目的地を決めず、必要な燃料の準備もしないまま飛び立とうとしている。どこも目指さない私の文章は、果たしてどこに着地するのか。そもそも着地できるのか。誰かを巻き込んではいないだろうか。
ライティング・ゼミで文章を書くことを身につけるよりも先に、自分の生き方のクセに気づかされるとは思ってもみなかった。
私はこれまで、飛び立ってから目的地を探していた。それでもなんとかなってきた。けれど、それはいかに危険なことなのか。いかに迷惑なことなのか。
目的地を決めなければ、飛び立つ方向も必要な燃料の量もわからない。
目的地が決まれば、一緒に行きたいと言ってくれる人がいるかもしれない。
私は決めた。書くことを通して、目的地にたどり着く練習をしよう。上手に飛べないかもしれないし、遠回りをしてしまうかもしれないけれど、まずは目的地を決めて、そこに向かって進む練習を繰り返す。自分の人生を目的地に運び届けるために。
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