メディアグランプリ

コーチングとは書店回りのようなものだ


 
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:海保 和美(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
私は副業として、キャリアコーチングを行なっている。
昼間働いている人材サービスのお仕事を定時でさっぱりと終わらせたら、19時から始まるセッションに向けて15分前には約束の場所に到着。準備をしながらクライアントを待つ。
 
キャリアコーチングとは書店回りのようなものだ。
つい2日前にセッションさせていただいたクライアントとお会いしてそう思った。
 
その方は、心の中がモヤっとした時、書店回りをすると言う。
 
お気に入りの池袋のジュンク堂に行っては、雑誌、小説、漫画、学術書まで全てのジャンルを数時間かけて丁寧に見て回る。彼女のレーダーは高性能で、あれだけ沢山の本の中からでもこれだと思える本を見つける事ができる。
その本を開くと自分の体験に近い事が書かれていて、読むと状況がつかめてスッキリする。
 
それを聞いてすぐに
「俯瞰(ふかん)」と言う言葉が頭に浮かんだ。
彼女は自分に起こったことを一旦自分から切り離して見直すことで、正しい状況を把握し、解決の糸口にしている。私たちコーチがクライアントに使うスキルだ。
 
例えば、
苦手な人に言われた一言がもやもやして、夜寝る時に頭の中でリプレイしてしまう。
あの時なんでこう言わなかったのかな。あんな事言わなければよかったのに。頭の中で反省会が始まり、自分を責めてしまう。
そんな時、テーブルにふせんなどを使って登場人物を全て出し、少し離れたところからその関係性を見る。
そうすると、「苦手」と言う固定概念を取り払って、正しい状況が見えてくる。
◯◯さんはこう言う気持ちを持っていたんだ。とか、自分は本当はこうして欲しかったんだ。が見えてくるからもやもやの対策が打てるようになって解決する事がある。
 
おそらく彼女は、自分に起こったことを、本屋にある書籍として読むことで、自分の固定概念から距離を保ち、今起こっている状況を正しく整理しているのではないかと思う。
 
思考の整理方法は人それぞれ。必ず自分が整理しやすい方法を一つは持っている。
それであれば、今日のコーチングも同じ手法を使った方が彼女の腑に落ちるはず。
 
その後のセッションは、彼女の頭の中にある「記憶」の本棚をイメージして、できるだけ多くのジャンルから本を引き出して読んでもらった。
 
一冊目は、親のレールに乗って有名大学に入った話。
それまで、有名大学を出て有名企業に勤めることが良いことだと思っていたが、就職先の内定も決まっていたのに学校側の計算ミスで単位が足りないことが発覚。単位を取り直して卒業できることになったが就職活動への気持ちが折れてしまった。
その後、母の影響で教員免許を取得する為、訪問した小学校で出会った1年生の男の子。
毎日のように「死にたい」と言うその子に心から寄り添い、話を聞いて、勇気付けることで男の子が前向きに生きることを支援した。
 
二冊目は、初めて就職した環境が合わず、精神的に疲弊してしまった話。
嫌がらせの標的にされてしまい、精神的に疲弊して寝て過ごす毎日だったが母親からも家を出されてしまう。
大阪のおばあちゃんのところに身を寄せた際に参加したボランティア。
そこは悲惨な体験をした人たちの集まりだった。
辛いお話を聞くことで、その方たちが癒され、前に進めることがあると感じた。
 
三冊目は、障がい者の方と一緒に社会貢献を目指す話。
再就職支援の会社に勤め、就職活動の方の履歴書や職務経歴書の添削をしていて、誰かの役に立つことがとても楽しかった。
その後新たな転職先として、農業で障がい者の方と社会貢献するお仕事選んだ彼女。
健常者が障がいを持った方と接すると、多少でも自分が上だと言う気持ちになる。その気持ちが言葉や態度に出てしまうそうだ。
だけど、彼女は輝く個性だと捉えて、どうすれば素敵な個性が活かせるのかを考え協働する。
彼女の幼馴染は初めて就職した先で精神障がいを患い未だ辛い状況にいる。
 
四冊目は、未来の話。
これまでの経験を読み直したからこそ出てきたこれから目指す未来がどうありたいのか。
彼女は今、キャリアコンサルタントの国家資格を取得するため勉強中。
今回新しく見つけた未来についての本を読んで、資格を目指す意味がはっきりしたようで、「今の勉強を、覚えるだけでなく実際に使うイメージして覚えるようにします」と笑顔で言ってくれました。
 
帰りの電車の中で一人でその日のセッションを振り返っていたら携帯からメッセージが。
「こんなに自信を持てた時間は初めてです」
彼女が自信を持ってくれてて良かった。
また、このお話を書く際に本人に書いてもいいか聞くと「むしろ光栄ですよ〜。私なんかの事でよければ」と気持ちよく了承してくれた。
 
コーチングは、答えは自分がこれまで経験してきた記憶の本棚の中にある。
忘れていた出来事を久しぶりにコーチと一緒に読み直してみませんか。
記憶の本を読むだけで今つまづいていることやモヤっとしている事がスッキリ解決するかもしれませんよ。
 
 
 
 
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2019-09-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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