週刊READING LIFE vol.178

シェイクスピアから学ぶポジティブシンキング《週刊READING LIFE Vol.178 偉人に学ぶ人生論》


*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

2022/07/25/公開
記事:山本三景(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
悲しみが来るときは、単騎ではやってこない
かならず軍団で押し寄せる
 
イギリスを誇る劇作家のウィリアム・シェイクスピアの『ハムレット』の中のセリフを頭の中でブツブツと唱えながら、面倒な仕事の対応に追われていた。
 
悲しみというか、厄介な問題は単騎でこない……。
あっちからもこっちからも種類の異なる問い合わせが同じタイミングでやってくる。
 
シェイクスピアよ、さすがだ……。
 
シェイクスピアの言葉が、あまりにも自分のテンパっている状況にぴったりとあっているように思えたので、最近ちょっとシェイクスピアにはまっている。
「そういうことではない」とシェイクスピアは言うかもしれないし、「だいたいそんな感じ」と軽く言うかもしれない。
 
さらに、シェイクスピアの『リチャード二世』という作品の中でこんなセリフがある。
 
不幸というものは、耐える力が弱いと見てとると、そこに重くのしかかる
 
これは、リチャード二世の叔父であるランカスター公のゴーントが、息子のボリングブルックがリチャード二世によって追放処分を受け渡されたときに息子に向けて行った言葉だ。
そして、不幸に耐える方法についてもゴーントは息子に言っている。
 
空にさえずる小鳥たちを楽士と、踏みしめる草原を宮廷の大広間と、野に咲く花を美しい貴婦人たちと、そしておまえの足どりを楽しいダンスのステップと見なしてみよ
 
無理だろう。
ゴーントさん、その励ましの言葉はおそらく息子には届かないかと……。
 
だって、最悪の状況にいるなかで、想像力は楽しいほうへ向かないし!
もちろん、ゴーントの言いたいこともわかる。
息子に気持ちを立て直してもらいたいと願う励ましの言葉なのかもしれないが、どっぷりと落ち込んでいるときは、前向きになれないものなのだ。
しかも国外追放だし……。
 
自分で気持ちを立て直すしかないのはわかってる!
簡単に言わないでくれ!
 
なんて私なら思うだろう。
なんとなく、身内の言葉だからこそ、余計に鬱陶しいのかもしれない。
人は突然ポジティブにはなれないものだ。
しかし、そうは思いながらも気持ちを立て直す努力をする。
少しでも心の痛みを和らげる方法をさがしてもがくのだ。
 
落ち込んだときにポジティブになれる方法
 
そんな記事が現代の世の中には溢れている。
ゴーントがボリングブルックに言った言葉のように、不幸や苦しみが降りかかってきたときに、楽しいことを想像して考え方をポジティブにすることは大切だ。
私も、ネガティブに押しつぶされないように楽しい逃げ道を作っておいたほうがよいと思っている。
悩みにもよると思うが、ボリングブルックのような、国外追放なんていう滅多にお目にかかれないことでなければ、有効な方法だ。
シェイクスピアの時代から、ネガティブマインドをポジティブマインドにする方法が考えられていたかと思うと、ちょっと感動してしまう。
まあ、シェイクスピアの時代から、その方法が未だに模索中のままであることになるかもしれないが……。
 
さて、ゴーントに励ましの言葉を言われた息子のボリングブルックはどうしたか?
もちろん、反発する。
そりゃそうだ。
野に咲く花を美しい貴婦人に……って言われても、見えないし。
きっとイラっときたのだろう。
そして次のセリフを吐く。
 
ああ、凍てつくコーカサスの山々を思い浮かべれば、火を手づかみにすることはできるのですか!
 
息子、かなり悲観的になっている。
最悪な状況のときに前向きになれと言われても、難しいのである。
思わず言い返したくなる気持ちがよくわかる。
ただ、この息子、父親の死後に追放先から戻って王を倒してヘンリー四世になるのだから、まあ、すごい。
ネガティブに押しつぶされていないところが私とは違って立派だ。
 
不幸や災難が降りかかってきたときは、誰だって耐える力は強くないだろう。
この不幸に耐えるためには気持ちを強くしておかなくては、幾重にものしかかる不幸や災難に押しつぶされてしまうということだ。
気持ちを強くする方法……思考を楽しい方向へ飛ばす方法と、不安の種をつみとる方法と、二つあるように私は思う。
楽しい方向へ意識を飛ばすのは、絶望に負けないように、気持ちを保ち続けることが大事なのだろう。
もう一つの不安の種をつみ取る方法というのは、不幸に耐える力も必要だけれども、耐える機会を少しでも減らすようにして、危険を事前に防ぐことだ。
 
自分が原因で引き起こされる災いについては、自信なさげな状態でいると、確かに不幸はそこを狙ってくる。
 
自信のないところ
不安が残るところ
少し気になるけれど、まだ大丈夫かな……なんて思うところ
 
別に仕事だけとは限らない。
例えば、
 
少し歯が痛い気がするけれど、まだ歯医者に行かなくても大丈夫だろう
 
そんなふうに思った経験はないだろうか。
結構まわりでそんな話をきくので、私は歯医者へ早く行くことを薦めている。
「放っておいたら手遅れになるよ」
と脅しながら。
以前、少し歯に違和感があったけれども、歯医者に行くのを先延ばしにしていたことがあった。
当たり前なのだが、見事に悪化した。
違和感をおぼえたときに歯医者に行っていれば、悪化することもなく、すぐに治療をして1回歯医者へ行く程度で済んだのかもしれない。
問題を発見したときにどう行動するかが問題なのだ。
それ以来、私は2カ月に一度、歯医者の定期健診へ行っている。
まあ、歯医者へ行くきっかけになったので、結果的には良かったと思っている。
 
そう、違和感という小さな穴はいつか大きな問題となって自分に返ってくると思っていい。
その小さな穴を突いて不幸や災難は一斉攻撃をしてくる。
潜在的な問題は、今は小さくても、将来的には大きくなって顕在化する。
仕事で起きた問題や、感じた違和感は、発見したのであれば早めに対処すればその解決に費やすエネルギーは小さくてすむ。
事前に不安の種をなくすことが大事だと私は思う。
 
心をどうやってポジティブに持っていくか。
現代の悩みにも繋がるようなことを、シェイクスピアの作品から学ぶことができる。
他にも色々な言葉を残している。
実は、「終わりよければすべてよし」という言葉もシェイクスピアの作品の中の言葉だ。
これは今でもよく使う言葉だ。
ちなみに、作品の名前も『終わりよければすべてよし』だ。
この言葉がシェイクスピア発信ということを知らない人も多いのではないだろうか。
時代も国も超えて、今も浸透している言葉を残したシェイクスピアは本当にすごい。
もう一つ、痛いほどわかる言葉がある。
 
楽しんでやらなきゃ、なにごとも身につきはしません
 
うおっ!
痛いところを突いてくる。
これは『じゃじゃ馬ならし』という作品のなかのセリフだ。
確かに、資格のための勉強とか、そういう考えで何かを身につけようとすると身につかない。
上達したいという思いだけでなく、自分が成長するプロセスを少しでも楽しいと思えないと、せっかく勉強しても脳には定着してくれないのだ。
 
頑張らなきゃ
テストでいい点をとらなきゃ
 
そういう苦しい気持ちだけで何かの知識を得ようとすると身につかない。
さすが、シェイクスピア、わかってらっしゃる!
要は楽しまなきゃ損なのだ。
 
シェイクスピアの気分というのもおかしいが、シェイクスピアの作品の中の言葉に共感をおぼえることが多いことに気がつき、私の中でシェイクスピア熱が高まっている。
ただ単に、ちょっとシェイクスピアの作品に出てくる言葉と自分の環境がリンクしただけなのに、勝手にシェイクスピアを身近に感じている。
 
「今、おすすめの偉人は誰ですか?」
ときかれると、
私は「ウィリアム・シェイクスピア」と答えるだろう。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
山本三景(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

2021年12月ライティング・ゼミに参加。2022年4月にREADING LIFE編集部ライターズ倶楽部に参加。
1000冊の漫画を持つ漫画好きな会社員。

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2022-07-20 | Posted in 週刊READING LIFE vol.178

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