週刊READING LIFE vol.10

ノマド歴7年めの私がたどり着いた場所とは《週刊READING LIFE vol.10「クリエイター必見!コンテンツ制作に使えるライフハック」》


記事:射手座右聴き(READING LIFE編集部 公認ライター)

 

 

ノマドを続けて7年目になります。
大変おこがましいですが、元祖ノマドワーカーの某女性よりも
ノマドキャリアで言えば私の方が長くなりました。
その間、事務所をもつことを一度も考えませんでした。
コワーキングスペースも考えませんでした。
必要だとすら、思ったこともありません。
 
私の仕事の大部分は、広告クリエイティブの仕事です。
CMやWEB広告、グラフィック広告、を企画し、制作する仕事です。
一見、PCの上で考えることが多いイメージはあるかもしれませんが、
違います。とにかく人に会わないと仕事になりません。
クライアントに、いま抱えている悩みを聞きに行きます。
広告会社さんや、制作会社さんと、打ち合わせをします。
実施に至れば、撮影スタジオに行ったり、編集スタジオに行ったりという
時間もあります。
仮に、事務所を持ったところで、そこに居られる時間は、1日のうち2時間か3時間くらいではないかと思います。
むしろ、各取引先のオフィスにいる時間の方が長いわけです。
 
フリーランスになって初めに考えたのが、「1時間前作戦」でした。
打ち合わせの1時間前くらいに、相手先に行って、ロビーや併設のカフェで仕事をするのです。しかし、この作戦には限界がありました。
 
仕事先の人に会ってしまうのです。そうすると、会議や打ち合わせの前に
話が始まってしまい、作業ができなくなるという現象が起きました。
 
作戦変更です。
 
電源カフェ、というアプリを使い、仕事先から50メートルくらい離れた場所のカフェをリストアップすることにしました。おしゃれカフェで、林檎マークのノートPCを広げ、考えてる風のポーズをとる。憧れのノマドライフがスタートか! と思ったのですが……。
 
ところが、これにも限界があったのです。
 
クライアントのオフィス近くのカフェ、というのは、広告会社の人などに
会ってしまうのです。人は同じことを考える、ということに気づきました。
「どうですか?フリーは?」 から始まり、
「ぶっちゃけ、サラリーマン時代と比べてどうですか?」
という会話になり、軽い起業相談みたいなことになっていきます。
アイスコーヒーが空になり、残るのは、タスクだけということになってしまいました。
 
そこで、登場したのが、画家の名前のついた喫茶店でした。
少し古めかしい内装、地味な看板、最初は抵抗があったのですが、
入ってみると、なんとまあ。
 
それはそれは過ごしやすい空間でした。
 
向かい合わせの席やソファ席にも、電源があり、長時間の作業にも向いているのです。
 
おしゃれカフェの場合、電源席は、横隣の席との距離も近いのです。
なので、お互いのPC画面が少し見えてしまうこともありますし、
椅子も硬かったり、小さかったりで、長居には向いていません。
 
一方で、画家の名前の喫茶店は、しっかりとした椅子、そして、1席1席のスペースも広くとってあります。プライバシーを気にせず、快適な椅子で作業ができるのです。
 
時間に関しても、急かされる感じがありません。ドリンクを飲んでいる途中で、お茶のサービスもあります。ほかのカフェに比べて、少々高い分、ゆっくりできるのが魅力です。2時間ほどいるお客さんも多いので、プレッシャーを感じることなく作業ができる空間なのです。
 
しかし、この喫茶店にも、唯一の欠点があります。
 
打ち合わせで利用する人が多すぎること、です。
そして、その話がいちいち気になってしまうことです。
 
情報商材の勧誘、バイナリーオプションへの勧誘、まだ表にでていない土地の売却情報、学校の売却情報、転職相談、就活生のOB訪問、健康食品のセールス、税金を安くするための指南、借入金の取り立て、などなど、目の前でVシネマを見ているような気持ちで目、いや耳が離せない状況になりました。
 
これでは本末転倒です。でも、興味はつきません。この喫茶店でのエピソードを、SNSに投稿してから、仕事をする、という方法を思いつきました。
目の前で起きていることを、構成を考えながらまとめて、文章にする。これは企画作業に入るための準備運動になりました。準備運動を書き終わったら、仕事に没入するという習慣をつけようとしたのです。
 
とはいえ、この喫茶店にも営業時間があります。23時以降まで作業しなければならない時、どうするか。悩ましい問題でした。
 
そんなとき、あるネットカフェのチラシをもらったのです。普段なら
見向きもしない私ですが、そのチラシの1行を見て、すぐそこに向かったのです。画期的なことが書いてありました。
 
鍵付きの個室で安心。
 
そうです。ネットカフェで作業をしなかった理由は、盗難が怖かったから
でした。鍵付きなら、荷物やPCを広げたまま、飲み物を取りに行ったり、お手洗いに行くこともでいます。広さも、集中作業にちょうどいい感じです。奥行き2メートル幅1メートル高さ2.5メートルくらいで完全に仕切られて居ます。机とPCモニターが完備されていて、作業にはもってこいの場所と言えます。
最近では、タスクがたまったら、わくわくしてきます。篭る場所を見つけたらからです。喫茶店と違い、雑音に惑わされることなく、飲料やお菓子を持ち込むこともでき、ちょっとした外出も可能。また、アイデアに詰まったら、映画もアニメも見ることができます。手の届く範囲ですべてのタスクをこなせる。オフィスよりも、機能的な空間と言えるのではないかと思いました。天狼院の課題を2本書き、仕事の企画作業を3本ほどこなし、たまったメールの返信を十数本返し、12時間過ごしても1880円という日もありました。実際、ここで作った原稿が掲載になり、企画が実現し、という経験をしてしまうと、場所との相性もどんどんよくなっている気がします。
 
ノマドの末にたどり着いた1畳ほどの集中空間。
オフィスを持つより、その時その時の居場所をオフィスにしてしまう思考を
大事にしたいと思います。
よかったら一度お試しください。

 

 

❏ライタープロフィール
射手座右聴き 東京生まれ静岡育ち。バツイチ独身。
大学卒業後、広告会社でCM制作に携わる。40代半ばで、フリーのクリエイティブディレクターに。退職時のキャリア相談を
きっかけに、中高年男性の人生転換期に大きな関心を持つ。本業の合間に、1時間1000円で自分を貸し出す「おっさんレンタル」に
登録。4年で300人ほどの相談や依頼を受ける。同じ時期に、某有名WEBライターのイベントでのDJをきっかけに
WEBライティングに興味を持ち、天狼院書店ライティングゼミの門を叩く。「人生100年時代の折り返し地点をどう生きるか」
「普通のおっさんが、世間から疎まれずに生きていくにはどうするか」 をメインテーマに楽しく元気の出るライティングを志す。
READING LIFE公認ライター。

メディア出演:スマステーション(2015年),スーパーJチャンネル, BBCラジオ(2016年)におっさんレンタルメンバー
として出演

この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

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2018-12-10 | Posted in 週刊READING LIFE vol.10

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