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チーム天狼院

友達がナンパされた時のもう一人の選ばれなかったほうの女の心理《川代ノート》


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「あの〜すいません、〇〇テレビですけど」

最近、テレビをよく見る。
一時期テレビを見ない生活をしていた反動なのか、最近テレビがすごく面白い。テレビってすごいんだなあ、なんて感心しながら、バラエティからニュースまで、髪を乾かしているときやご飯を食べるときなんかに見ているのだけれど、最近、やけに街頭インタビューが目につく。というか気になる。福岡のローカル番組の街頭インタビューで、新天町のあたりで声をかけているのなんて本当に面白い。

「ちょっとお話いいですか?」

ただ、見かけるたびに何かがひっかかって、ついつい街頭インタビューをテレビでやっていると観察してしまうのだ。
テレビ番組の突撃インタビューというのは、だいたい二人組に声をかける。カップルの時もあれば、親子のときもあるし、友達どうしのときもある。私がつい見入ってしまうのは、女友達二人組に声をかけているときである。

「どうしてこの店に来たんですか?」
「今日のファッションのポイントは?」
「この辺で面白い店知りませんか?」
「お仕事何されてるんですか?」

街頭インタビューというのは実にありとあらゆる質問をするものだけれど、やはり女二人組にはそれらしいことを聞いたりもする。彼氏いるんですか。今日は何しに来たんですか。これからどこに行くんですか?

そういうのを見るたび、私は何か変な違和感を覚えてしまうのだ。なんだろう。何かがひっかかっているような……納得いかないような。自分の過去にも、抱いたことがあるような、何か、変な感じ。
それが何なんだろうと、ずっともやもやしていたのだけれど、それが何なのか気がついたのは、最近のことだ。深夜にやっていた街頭インタビューを見た。ブランドショップに買い物に来ている若い女の子二人組に声をかけていた。たぶん、高校生か、卒業して大学に入ったばかりくらいだろうか。

「え〜どうだろうわかんないきゃははは」

楽しそうに笑う画面の向こうの女の子。それを見て笑うワイプの人たち。
かわいい。かわいらしい。とてもかわいい。かわいい……。

あっ!!! そうだ!!! これだ!!!

そうなのだ。気がついてしまった。とても残酷な現実。気が付きたくはなかったけれど、どうしても目を向けざるをえない現実……。

そう、二人並んでいる女子のうちの、インタビューを受けている方がかわいいという現実である!

「え〜と、今日は買い物にきました」
「彼氏ですかぁ〜? いないです〜」
「え〜もうちょっとどうしようっ」

そう言って照れくさそうに笑いながら、隣にいる友達の方の肩を軽く叩く女の子は、かわいい。とてもかわいい。別の言い方をすれば、華があるのだ。目がキラキラしていて、ちょっと恥ずかしそうにして、「テレビに話しかけられて困っている女の子」として完璧な振る舞いをする。でも少し自信があるそぶり。きっと今までにもそういう経験をしたことがあるのだろう。ああいう子たちというのはだいたい、人に話しかけられることに慣れている。きっと街を歩いていてもナンパをされたりもよくするのだろう。その照れくさそうにしている受け答えの仕方もなんだかとてもこなれている。

でも、隣にいるインタビューされていない友達の方の子はどうだ。私は画面の端っこに半分見切れている女の子のほうを見た。うーん、たしかにインタビューされている子の方が華がある。うん。これは現実だ。彼女はどんな思いで隣に座っているのだろうか。私はさらによく彼女の気持ちを読み取ろうと、インタビューされていない方の子の顔を凝視した。傷ついているのだろうか? 若干笑顔が引きつっている? 悲しそう? 切なそう? どうだ? この顔はどんな気持ちだ?

友達の顔が一瞬、大きく映った。その顔を見て私はハッとした。いや、違う。これは違う。彼女は悲しいわけでも怒っているのでもない。これは……この顔は……。

走馬灯のように、その顔を見たときのことが蘇ってくる。そうだ。あれは大学生の頃だったか。そのとき私の友達は、とても華がある子だった。目立つ。学年の人気者。明るくて、ちょっと破天荒なところがあるけれど、それでも愛される。先生からもよくいじられる存在。見た目もかわいい。男にもモテる。そういう子だった。

私はその子とすごく仲がよくて、いつも一緒にいた。学校帰りにも休みの日にもよく渋谷に遊びに行った。カラオケや買い物や、ゲーセンでプリクラを撮ったりして遊んだ。彼女は本当に魅力的な子だった。小悪魔的、と言ってもいいのかもしれない。ちょっとわがままで、無意識に人を振り回すようなところがある。でもそんなところも、人を惹きつける要素の一つに過ぎなかった。

私も彼女に惹かれていた人間の一人で、話していてとても楽しかったし、気があった。彼女といつも一緒にいた。人気者の彼女と一番仲がいい、ということも、なんだか嬉しかった。

彼女と私のペアは最強なんじゃ無いかと思っていた。街を二人で歩いているとよく声をかけられたし、「どっかみんなで遊ぼうよ」と男二人組に声をかけられるなんてこともあった。私は彼女と仲良くなったことによって自分も華のある人間になれたような気がして、嬉しかった。

でも、あるとき突然気がついた。
話しかけてくる人たちがいつも、私のことを見ていないことに。
私一人だと、誰にも声をかけられないことに。

「ねえねえ、これからどこに行くんですか?」

そうやって声をかけるのはあくまでも私ではなく彼女の方だった。いつも人が来るのは彼女の側だった。私は、それは私がツンとした顔立ちで、声をかけづらいからなのだと思っていたけれど、違うのだ。彼らの視界に、私ははじめから入っていなかったのだ。

彼らが声をかけたかったのは「彼女」であって、その隣にいるのは誰でもよかったのだ。私でも、別に他の友達でもよかった。私は、「女二人組」でいることによって話しかけやすくするという要素の一つにすぎなかった。

話しかけられているのは、「私たち二人」では無く、「彼女一人」なのだ。

もちろん、そのことに気がついてから、私は動揺した。なんで彼女ばかりが声をかけられるのだと思った。理不尽じゃないか。失礼じゃ無いか。女二人いるのなら、両方に話しかけるべきだ。一方を無視するなんておかしい。平等に接するべきだと思って憤慨した。

でも、そんなことが繰り返し、繰り返し、起こると、私は徐々に気がつき始めた。
これは、仕方の無いことなのだと。
世の中には、華がある人間と、華がない人間がいて、もうそのどちらかに一度分類されてしまったら、もう一つのカテゴリーにうつることはできないのだと、気がついた。

でも、理解してからは、はやかった。「そういうもの」だとわかっていれば、「目立たない存在」として、落ち着いていられる。彼女のように、目立つわけでは無いけれど、実はきちんと状況を把握できている人間。そう、叶姉妹で言えば叶美香さん的存在。彼女が破天荒な恭子さんだとすれば、私は落ち着いて姉を支える堅実な美香なのよ。そう自分に言い聞かせていた。それで精神を保っていた。

そして、テレビの画面の向こうの彼女も、そんな顔をしていた。

「大丈夫、いつものことよ」と、彼女は自分自身に、言い聞かせているような気がした。悟った顔をしていたのだ。何かに焦っていたり、イライラしていたり、動揺していたり。そんな顔じゃ無い。「別に大丈夫」、そんな落ち着いた顔。叶美香さん的顔をしていた。

ああ、きっとこの子も、いつもこの目立つ女の子と一緒にいて、こういう現象には慣れきっているのだろうなと私は思った。なんということだ。この子は健気じゃ無いか。私はあの頃の自分を思い出し、彼女と重ね合わせて涙が出そうになった。

ねえ、どう思いますか。
この現象、どう思いますか。
いや、華がある人間は羨ましいし、私はそうなりたいと、今でも思う。目立って、何もしなくてもなぜか人がよってくるような、そういう人間に私はなりたい。

でも、こうやって、自分の立場をきちんとわきまえて、「私は大丈夫」と、本当は目立ちたい気持ちをこらえつつ、それでも大人な対応をしている、おそらく若干18歳程度の女の子のことを、とても愛おしいと思うんです。そうは思いませんか。

たったの17とか、18とかそこらだ。まだまだ目立ちたくて、何か素晴らしい存在になりたいとか思っている年齢だ。それなのに、そうやって自然と、「自分は目立たない」と理解して、それで振る舞い方をきちんと理解している若い女の子。切ない。なんて切ないんだろう。私はその子のその表情に痛く共感してしまったのだ。

私は言いたい。街頭インタビューで声をかけられない女の子にこそ、真の魅力があるのだと。目立たず、立場をわきまえ、じっと息をひそめる賢さを持っているのだと。ぱっとはしないどころか、地味なところがあるし、一見普通の女の子にしか見えないけれど、そういう「選ばれない方の人間」として苦労してきた人間だからこそにじみだすことのできる、その人独特の魅力があるのだと、私は言いたい。

だから、声をかけてほしい。華が無い方の人間にこそ、声をかけてほしい。華がある方の子は、何もしなくても声をかけられるのだから。影でひっそりと咲く選ばれない女の存在を、知ってほしい。知ってほしい。

たのむ。気がついてくれ。気がついてくれ。

じゃないとなんだか、私が報われないんだと、よくわからない不特定多数の誰かに主張したくなった、夜だった。

***

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2016-12-27 | Posted in チーム天狼院, 川代ノート, 記事

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