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チーム天狼院

普通じゃないわたしは、普通だった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:徳竹のどか(チーム天狼院)
 
高校3年生の夏直前。
同級生は受験に向けて進みはじめている中、わたしは一人、不登校になった。
 
「受験生」であるという、独特の緊張感が漂うようになっていた。
3年生になるまではふざけて授業を受けていたような人たちが急に真面目に受けている。休み時間になれば、聞こえてくる会話は模試の結果。友達と話さないで単語帳を開いている人もいた。まわりは受験のため、必死に勉強している。
 
だからわたしもそうなろう、必死に勉強して行きたい大学に入ろうと思っていた。
 
でも、ある日の世界史の授業中、「受験のために頭へたたきこむ勉強をして、一体何の役に立つだろう?」という疑問がわたしの中にできた。
それまでは何の疑問も抱かず学校に通っていたのに、一度考えると次から次へと疑問が浮かんだ。
 
この先何十年も生きていくのに、高校3年生の時点でやりたいと思ったことを選んで、将来後悔したらどうするんだろう?
みんなが大学に行くから、わたしも大学に行かなくちゃいけないんだろうか?
何のために勉強して、何のために学校へ行っているんだろう?
わたしは何がしたくて、生きているんだろう?
 
考えて考えて考えて、でもわからなくて、だんだん生きていること自体が無駄で、すべてがどうでもいいことのように思えた。
どうせいつかは死んでいくのだから、生きていてもしかたない。この先の目標はないし、自分にはなにもないんだから、今すぐ消えてなくなってしまえばいいのに。
 
「なぜ?」という疑問はたくさん浮かんでくるのに、その答えがひとつも見つからなくて苦しかった。
 
この苦しみを共有してくれる人はひとりもいなくて、この世に一人きりになったような気がした。不登校になった自分、こんなどうしようもないことばかり考えて追い詰められている自分が、ばかばかしくて情けなくて、毎日泣いて、気づいたらうつ病になっていた。
 
心配してくれる友達はいた。
担任の先生は心配して電話をかけてきてくれた。出席日数が足りなくて卒業が危ないからと、通信制の高校へ編入することを勧めてくれた。
両親は心療内科へ行ってみたらどうかと提案してくれた。
 
その善意のすべてが、気持ち悪かった。
 
わたしをだれも助けてくれない。わたしだけが異常なの。普通でいられないわたしがいけない。
 
あの時の心のしんどさは、正直あまり思い出したくない。
 
 
結果的にわたしは心療内科へ通い、短いカウンセリングを受けて、薬をもらうことで少しずつ回復した。
学校はそれまでのように毎日通うことはできなかったけれど、保健室に行ったり、別室で授業を受けて、担任の先生が校長先生に頼んでくれたおかげで卒業できた。
 
不登校やうつ病になった明確な理由を答えることができなければ、そこから立ち直った理由も答えることができないけれど、このあいまいな感じが、わたしらしさなのかもしれないと思う。
 
 
この話を人にするのは勇気がいる。
 
うつ病ということに色眼鏡で見てくる人がいるし、わたし自身が「自分は異常なんじゃないか」という気持ちを捨てきれずにいるからだ。
 
でも、この世の人間はそこまで厳しくない。わたしもそうだったと共感してくれる人がいたり、そういう人に寄り添える人になりたいから、話を聞かせてほしいと言ってくれる人もいる。
 
 
うつ病を経てわたしはすこし変わった。それまで考えなかったことを深く考えるようになった。
うつ病になったばかりのときは「普通」に生きてゆくことを強く望んでいたけれど、「普通」なんてあってないようなものだと気づいた。
 
 
実はわたしのうつ病は完治していない。
 
これもわたしの一部であると思うから。ほどよい距離でこんな自分と向き合っていけたらと思っている。
 
***

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