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チーム天狼院

22歳、マザコンで何が悪い!


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:田岡尚子(チーム天狼院)
 
「今日どこ行ってたの〜?」
「どっか」
 
吉野家でひとり牛丼を食べていると、後ろからそんな親子の会話が聞こえて、クスッと笑ってしまった。まるで、5年前のわたしのようで、懐かしくなって。
「今日学校どうだった?」
「ふつー」
「今日友達と何して遊んだん?」
「いろいろー」
「……もう。教えてよ〜」
そんな会話を、お母さんと毎日のようにしていた。正直答えるのがめんどくさくて、「なにしてたの?」「なんか」「どこ行ってたの?」「どっか」と、まさに吉野家の親子のような会話を、中学生ぐらいのときにしていた。話したくないわけじゃなくて、ただ単に、話すのがめんどくさかった。
こんなことを言うと、母親のことが嫌いなのかと思われるかもしれないけど、小さいころからお母さんが隣にいないと寝られないぐらい、お母さんのことが大好きだ。小学生ぐらいのとき、お盆に親戚一同で泊まる際に、お母さんと違う部屋で寝たときは、夜中わざわざ階段まで上ってお母さんに会いに行ったらしい。次の日そんな話を笑いながらされたが、正直寝ぼけていて覚えていない。
そして恥ずかしいことに、大学生になって東京で一人暮らしをするまで、ずっとお母さんと同じ部屋で寝てきたし、ひとりで寝たことが一度もなかった。真っ暗だと寝られなくて、必ず豆電球をつけて、右側にお母さんがいた。こわい夢を見たら、枕をお母さんの方に近づけて、ぴったりくっついて寝た。18歳、高校を卒業して地元の広島を出るまで。
そう、いわゆる“マザコン”だ。どっちにしようかな、って迷ったら、とりあえずお母さんに連絡。お母さんがいうことが、大体当たっている。お母さんに聞いとけば、間違いない。昔はあれだけお母さんの質問に「なんか」「いろいろ」「別に」とか雑に返していたくせに、大学生になって地元を離れると、なんでもかんでもお母さんに話したくなる。「今何してるの?」「今日こんなことがあってね」「見てー! 今日の夜ごはんー!」とか、まるで恋人にいちいち連絡する彼女のように、お母さんにメッセージを送る。そして、離れていると少しさみしいけど、たまに実家から送られてくるダンボールの、ずっしりとした重さを味わうのが幸せだ。「お米、あとちょっとだったんだよね!」「ポケットティッシュ、ちょうど足りてなくってさ」「このお菓子、懐かしい!」わたしが欲しいものばかりで、ほんとにエスパーなんじゃないかと、いや、エスパーだと思うし、監視カメラでもあるの?! なんて疑ってしまいそうなぐらい、東京と広島というこの距離があっても、わたしのことは何でもわかっているのがお母さんだ。
この通り、かなり甘えきっているが、まあそれでも一人暮らしをしているから、洗濯して、部屋を片付けて、ご飯をつくってと、それなりに家事はできるし、(金銭面以外では)別にひとりでも生きていけると思っている。だけど、帰省して実家に帰ると、あら不思議、生まれたての赤ちゃんに、戻ってしまう。「おなかすいたー、ごはんー!」「お風呂まだ―?」「これもってきてー」「あれ買って―!」
そう、もう見事に“親離れ”ができていない。22歳、欲を言えばお母さんの膝の上で耳掃除をしてもらっていたあの頃に戻りたい。お風呂に入ったあと、うとうとしていたらドライヤーで髪を乾かしてくれたあのふわふわした時間が欲しい。寝ながら蹴り散らした布団を、夜中にそっとかけ直してほしい。
あぁ、そういえば。小さいころ、外も暗くなって、お父さんが運転する車の後部座席から、外の景色を眺めていたときのこと。
「あ、お月さまだー!」そう思ってさっき見つけた月が、10分後もまだ同じところにいる。車は家へと帰って行くのに、月は、ずっとわたしの上にいて、「月がついてくるー!」と、それが不思議でたまらなくて、窓にほっぺをひっつけて眺めていた。
あぁ、きっとお母さんって、こんな感じ。
暗くてもお月さまみたいに辺りを照らしながら、どこへいっても見守ってくれている。わたしがどこに帰ろうが、優しい光で、包んでくれる。「ねぇねぇ」と窓を開ければ、「どうしたの?」と雲から顔を出してくれるんだ。
そうじゃないと困る、と、マザコンのわたしは思う。月が一生みえなくなる空なんて想像できないし、わたしがいつか子どもを生んでお母さんになったとしても、見えている月は、ずっと変わらない。だから、これからもずっと、「お母さん、ここから見えてるよ!」と、声をかける迷惑な子どもで、いさせてほしい。

 
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