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チーム天狼院

私を叱ってくれた先生に伝えたいこと


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:岩本七海(チーム天狼院)
 

私は今、天狼院書店でアルバイトスタッフとして働いている。

天狼院書店は今年で創業5周年を迎えた成長期の会社で、日々変化も多く、アルバイトスタッフといえども様々な業務に携わっている。

書籍販売、書籍発注、電話対応、カフェコーナーでのフード・ドリンク作り、イベント運営・補助、コピー、会場設営、メール対応…… などなど。

とにかく変化の多い会社なので、毎日がイレギュラーの連続だ。

それゆえ、シフトに入ると、自分の頭で考えてなんとか自分で解決まで導かなければならない問題に毎回直面すると言っても過言ではない。
 

自分の頭で考えて、行動すること。

これは天狼院書店で働くうえで必要不可欠な態度なのだと思う。
 

というよりも、この社会で生きていく上で、自分の頭で考えて行動することは、自分の人生をきちんと自分のものにしていくために必要なことなのだろう。
 

ところで先日、私は頭をフル回転させて働いていている時にふと、なんで「自分の頭で考える」という言葉が頭の片隅にいつもあるんだろうと疑問に思い、ちょっと考えてみた。
 

すると、私は過去のある事件に思い当たった。ああ、先生。あの時先生が私を怒ったのは、私を思ってのことだったんですね、と、約10年の時を経て、先生の想いに触れた気がして私は泣きそうになった。
 

それは、小学校5年生のこと。私の通っていた小学校では、5年生で臨海学校を実施しており、私はその実行委員を務めていた。実行委員の仕事は、キャンプファイヤーやレクの企画・運営、しおりの作成、集会の司会や挨拶などがあった。実行委員はそのうちのいくつかを兼任するのだが、私は仕事の1つとしてキャンプファイヤー内のレクの司会・運営を担当していた。キャンプファイヤーは外で行うことを前提としてまずはプログラムが作られる。ゆえに雨天用のプログラムが、特別に作られることはなかった。雨天の場合は屋内ではできない企画を省いて、そのほかは野外用のプログラム通りに進行する予定だったと思う。それで私も野外用のレクを企画し、タイムスケジュールもそれに合わせたものを作成していた。
 

事が起きたのは臨海学校数日前、キャンプファイヤーの予行練習の日だった。
その日はあいにくの雨で、予行練習はグラウンドではなく体育館で行うことになった。
雨、ということで、従来のプログラムに変更があった。確か体育館ではできない企画の代わりに、レクの時間が伸びたのである。
そして、それが実行委員に知らされたのはその日の朝だった。またレクの時間が伸びたということはつまり、レクの種類もしくは回数を増やさなければならないということで、私が事前に作成したタイムスケジュールは改定が求められた。というか別に本当はそんなに厳密なタイムスケジュールはなくてもよかったのだけれど、当時の私は原稿やタイムスケジュールがあるほうが安心できるたちだったため、一応その日、間に合わせのタイムスケジュールを予行練習までに作った。
そして午後、予行練習を迎えた。レクでは、ルール説明や移動に思ったよりも手間取ってしまい、私の作ったタイムスケジュールは早々に乱れはじめた。私は焦ってしまい、本来は司会の私が決めるべきことを逐一先生に聞いて確認を取りたくなってしまった。きちんと時間通りに終えられるのか、みんなちゃんと楽しめているのか、不安だった。
 

「しっぽとり鬼の回数、3回に設定してたんですけどやっぱり2回にしたほうがいいですかね」
「作戦会議5分とってたんですけど、3分にしますか?」
「もうそろそろ終わりの声掛けしたほうがいいですか?」
 

私は途中からほとんどすべてのイレギュラーを自分で判断しないで、先生に「〇〇で良いでしょうか」と確認をとった。
 

そしてついに先生は、
 
「いちいち俺に聞かないで、自分の頭で考えろ!」
 

とみんながレクで盛り上がってる真っ最中に、大声で私を怒鳴りつけた。
 

体育館は一瞬で、しぃん、と静まり返った。
 

私は今でもあの時の先生の怒った顔を思い浮かべることができる。それほど、私には怒られたことが衝撃だった。
人に言われたことをきちんとやる子供だった私は、ほとんど怒られることがなく、怒られることに慣れていなかった。
みんなの前で怒られて、本当に恥ずかしかった。マイクを通した私の声はその後ずっと震えていたと思う。悔しさと怒りと困惑と情けなさとが心の中をごちゃごちゃに渦巻いていた。

予行練習のあと私は先生に謝ったと思うが、その時先生に何か言われたかは覚えていない。
いろんな気持ちが渦巻いていて、聞く耳を持てなかったのかもしれない。
 

だけど私はあの時先生に怒られてから、「自分の頭で考えて自分で決める」ことが少しずつ増えていった。最初は「もう怒られたくないから」という動機が大きかったけど、だんだん自然に「自分の頭で考えて決める」ようになっていった。
 

いや、もちろんそんな急激には変わったわけではない。じわじわと、だ。
 

でもあの時先生がみんなの前で怒ってくれなかったら、私はずっと他人に確認をとらずにはいられない人間のままで今もいたかもしれない。
 

先生は、あの時、どんなことを考えていたのだろう。
私に期待をしてくれていたから怒ったのだろうか。
それとも、ただ単にムカついたから怒ったのだろうか。
 

小学生を怒るって、とても難しいことだと21歳になった今思う。
小学生には、誰かに怒られるありがたさなんてわからないかもしれないし、怒ったところでただ憎まれるだけの結果になるかもしれない。
先生も私を怒るまでにいろいろな葛藤があったのだろうか。
 

しかしいずれにせよ、先生は最終的な行為として小学生の私のことを叱った。

私は叱られてから10年経った今、当時の先生の気持ちを想像し、静かに感謝している。

素敵な先生だった。
 

河野先生、あの時は、叱ってくれてありがとうございました。

***

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