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お客様、お一人様でいらっしゃいますか?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:川島智賀(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「カウンターのお席でよろしいでしょうか?」
もちろんである。
二人用のテーブル席に一人で座っていれば、混んできたときすごく気が引ける。それに一人でいることが目立ってしまう。
恐らく10年、15年くらい前までは女性の一人客というのは目立つ存在で、どちらかと言えば負のイメージだった気がする。
飲食店などで席に案内する店員が、一人客に対し「お一人様」という言葉は使わないようにする、といった気遣いをしていると、テレビが報じていた。
 
時は流れた。
 
私がランチでよく行く赤坂の「やよい軒」は、客の半数が女性でしかもほぼ一人だ。定食屋と言えば中年男性サラリーマンの行く店と、相場が決まっていた。だが今では女性が一人、二人掛けテーブルに堂々と座っている。
もはや女性の一人客は負のイメージでは、なくなっている。
 
そう女が男に養ってもらう時代が終わっているかのように、女は一人でどこへでも出かける。仕事においても昔は男仕事とされていたところに、今では女性が進出している。例えば宅配便やタクシー運転手など、まだまだ他にもたくさんある。
多様化した現代の中で、女性が自由に羽を広げ、自分の時間を持ち、自分の人生を生きている。結婚においても女性の方からプロポーズしたという例を、最近よく聞く。
 
そして子育てが終わった女性は特に強く、第二の人生を謳歌する。
子育ては子孫繁栄、日本の未来にも繋がる重要な仕事であり、子供のいろいろな人生儀礼の中で父親という存在が必要になることがある。
しかし結婚生活の紆余曲折の中に、妻が夫に対してどんな思いが膨らむのか、そして最終的にどんな選択をするのか、それを決めるのは女性なのである。
 
今や40代、50代の女性4人に1人は独身だそうで、仕事をバリバリやって、洋服やバッグ、靴、アクセサリーといった身に着けるものや、エステやカルチャースクールなど、内側から外側からと自分磨きに余念がない。まさにこの世代の女性が日本の消費を支えていると言っても、過言ではない気がする。
 
一人で食事をする。
一人で映画を観る。
一人で旅行をする。
それは寂しいことではなく、傍から見て不憫でもなく、生き方なのだ。
 
一人で行動することは、将来に夢の種を蒔くこと。
見聞きしたこと感じたことが、リアルタイムで自分の中に落とし込める。発信できる。今日やるべきことや、一年以内にやり遂げたいこと、三年後にはこうなっていたい、というような道筋が出来ていく。目指すべきゴールがだんだん鮮明になってくる。
血が騒ぎだす。
 
とは言え、決して人とコミュニケーションを取らないという訳ではない。むしろ同じ志を持つ者同士、情報交換や相談、他愛のない話の中にも必ず心に響くものがあり、それはネットで検索して得られるものよりも、はるかに活きた生の情報で価値がある。
リアルを手に入れる。
ただ無駄に人と群れている時間が無いだけだ。
 
高齢化社会がますます深刻化するこの日本だが、40代、50代が夢を持ち積極的に生きる。恋愛に関しても今では女性がイニシアティブを持っている。
私の知り合いのMさんは生保レディで長年、成績優秀だが二人の子供がまだ小さいうちに離婚をしていた。女手一つで子供たちを育てながら、16歳年下の彼氏と付き合って久しい。彼女曰く、最初はどうしようもないダメ男で仕事も続かず、二言目には言い訳を口にしていたそうだ。何度捨ててしまおうかと思ったらしいが、生保レディの普段から人に食い下がる特性で、根気よく接していたら次第に仕事が続くようになり、今は何か勉強もしているらしい。
彼女の夢は、60歳になったら実家のある田舎に帰り小さなカフェを開いて、そこでワークショップやら町のコミュニティーの場を作りたいのだそうだ。あと10年東京で頑張ると。
 
情報に溢れ、便利で豊かな社会で今、若者には夢がない無関心さが取り出たされている。Mさんの彼氏も恐らくこんな若者だったに違いない。いやもっと酷かっただろう。そんな彼を変えたのは間違いなくMさんのパワーでありエネルギーだと思う。
 
夢を持つお一人様の女性は、仕事に消費に恋愛に、すべてがフルパワーだ。自分の持つ美学に決して手を抜かない。時代の波を巧みにかき分け、目指すべきところに狙いを定める女豹なのだ。今日もランチは定食屋で一人食事をし、カフェでパソコンをパチパチやって、夜は彼氏と会っている。
 
 
 
 
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2019-12-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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