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グーグルトリップ


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:しげG(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
ねえねえお父さん、アラスカってなんで青いの?
ああ、寒いからだよ。
 
面倒くさげな答えだったが、間違ってはいなかった。
地球儀を眺めながら交わした、なつかしい父との会話である。
 
みなさんは地球儀を持っているだろうか。
小学生の時代には、どの家庭にも1台は置かれていたように思う。
 
こどものころの筆者は、異国の地を眺めては、
 
どんな人が住んでいるんだろう?
なにを食べているんだろう?
いつか行ってみたいなあ。
 
と、未知への冒険に心を躍らせたものだ。
 
近年はそんな探求心を、地球儀で満たすことはできなくなってしまった。
地図アプリが登場したからだ。
 
中でもグーグルマップは、平面の地図としてはもちろん、地球儀のように球体地図としても表示できる。
俯瞰して全体像をみることもできるし、家の前の通りまでミクロにズームすることもできるのだ。
地図表示だけでなく、実際の写真も表示される。
顔は識別できないようになっているが、通行人やお店の店員まで、しっかりと写っている。
地球儀のように冒険心を満たすだけでなく、より現実に近い目線で、異国と触れ合うことができるようになったのだ。
 
筆者も今では、地球儀の代わりにグーグルマップで冒険へと旅立つ。
 
おっ。ここ行ってみたいな。
 
と思ったら、経路検索機能が便利だ。
徒歩で行くケースから交通機関を利用するケースまで、距離やかかる時間、費用まで知ることができる。
くわしい情報を知りたければ、そのままググればいい。
 
残念ながら2020年10月現在、観光目的で海外に行くことはできない。
渡航制限が解かれるまでは、こいつで旅行を楽しもう。
アルコールとつまみを片手に飛び立つのだ。
 
まずは父が言った青く寒い土地、アラスカを目指してみる。
グーグルマップの地球儀をぐるぐると回す。
 
アラスカ州の北の方、北極海沿いに「バロー」という村を見つけた。
間違いなく涼しげだ。
ググってみよう。
アメリカ合衆国最北端の地であり、エスキモーの定住地とのことだ。
ホッキョクグマを観察したり、クジラ漁や先住民の暮らしについて学ぶこともできる。
 
ストリートビューはなかったが、定点撮影した写真が10枚ほど見られる。
一枚づつ見ていこう。
 
1枚目は雪一色のストリート。
涼しいというより、凍えそうだ。
空は鉛のような雲に覆われている。
道行く人もいない。
 
2枚目にいこう。
家電品の店があった。
目の前にはお客さんのものと思われる4WDの車が2台とめられている。
高床式の2階建て、ウッド調のモダンなつくりだ。
お店の中をイメージしてみよう。
店内は暖房が効いてぽかぽかだ。
入り口付近には、主力製品の暖房器具がところ狭しと並んでいる。
 
3枚目を見てみよう。
湖の近くにホテルのような学校のようなこじゃれた建物がある。
周辺はアイススケートができそうな平地が広がっている。
そばに人が歩いている。
「すみません、この建物は何ですか?」
「ああ、ここは学校ですよ。今は冬休みで学生はいないんです」
ローカルとのこんな会話も楽しめそうだ。
 
中心部には博物館もある。
入口には「本の返却ボックス」が設置されている。
冬休みの自由研究に使った図鑑を、小学生が返しにくるのだろうか。
こんなところに置いて、本が凍り付かないのかと心配になる。
 
この町、面白そうだ。よし、行ってみよう!
 
と勢い込む勇者はまれかと思うが、参考までにアクセス情報も記しておく。
 
成田空港~サンフランシスコ空港~ポートランド空港~シアトル空港~アンカレッジ空港~ウィル・ロジャース・メモリアル空港
 
5回のフライト、片道約38時間、往復21万円の旅だ。
もちろんおすすめはしない。
グーグルトリップで充分だろう。
 
次の国に行こう。
今日は10月中旬、雨上がりの東京はやや肌寒い。
赤道直下の暑い国がいい。
グーグルマップの地球儀を下の方へグイッと回す。
 
「チャンペリコ」というところに着いた。
グアテマラの南西部にある長さ4kmほどの小さな町だ。
有名な観光地ではないが、現地では人気のスポットらしい。
比較的高地に住んでいることが多いグアテマラの人々が、この町のビーチに降りてくるそうだ。
避涼地とでも呼べばいいのだろうか。
 
北端の教会から南端まで歩いてみよう。
小一時間ほどの散歩コースだ。
 
道は舗装はされているが、南国の農道らしい。
人や車もまばらだし、沿道にはうっそうと木が茂っていたり、農園が広がったりしている。
暖かい空気がブランケットのように心地よく体を包んでくれそうだ。
 
飲料を積んだトラックとすれ違った。
荷台にちょこんと腰かけた少年が手を振っている。
思わずこちらも手を振り返したくなった。
 
食堂があった。
平屋で吹き抜け、テーブルは2つだけだ。
オープン前なのだろうか、女性が何やら調理している。
スパイスの香りに思わず吸い込まれそうだ。
 
さらに南へとずんずん歩く。
ところどころに人が座り込んでいる。
「こんにちは。何をしているんですか?」
「やあ。こんなに暑くちゃ何もできないよ」
南国ならではのこんな会話になりそうだ。
 
町の中心部に近づくにつれて、人や自転車が増えてくる。
真っ赤な乗り合いバスが通り過ぎる。
日本ではなかなかお目にかかれない、クラシックカー世代の車だ。
車内は買い物帰りの人や、学生たちで込み合っていそうだ。
これは乗ってみたい。
 
突然、にぎやかな商店街に入った。
その中にひときわ目を引く真っ赤な店がある。
看板に鳥のキャラクターが描かれているから、おそらくチキン料理の店だろう。
自称「ローカルエリア探訪エキスパート」である筆者の判断では、間違いなく美味しい店だ。
ああ、食べたい!
 
後ろ髪を引かれながら、南を目指す。
町の中心部には、赤や黄色、ブルーに彩られた建物が並んでいる。
高さはせいぜい2~3階建てだ。
青い空とカラフルな建物のコントラストが美しい。
 
ちょっと行ってみたくなったので、アクセス情報を調べてみた。
 
成田空港~仁川空港~ロスアンゼルス空港~ラ・アウロラ国際空港
 
フライトは3回、費用も往復16万円ほどだが、行きは30時間、帰りはなんと50時間もかかる!
さらに空港からチャンペリコの町まで約250km。
バスを乗り継いだら丸1日かかるだろう。
 
ここもやはりグーグルトリップで訪れる町だ。
 
ほろ酔い気分になってきたので、ここらで旅はお開きにしたい。
今回は「暑さ寒さから逃れられるところ」をテーマに、マップをぐるぐる動かしながら、ググって情報を集めながら、2時間ほど旅を楽しむことができた。
現実の旅行先候補となる場所は見つからなかったが、見知らぬ土地の探求に胸を躍らせることはできた。
こどものころ、地球儀を眺めながら感じた冒険心を味わうことができたのだ。
 
次回は「ちょっと遠いけど、がんばれば行けそうなところ」をテーマに飛び立ってみよう。
 
 
 
 
***
 
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2020-10-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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