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メディアグランプリ

60分待ちのホットケーキ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:住山 鈴香(ライティング・ゼミ特講コース)
 
 
「ホットケーキは60分ほどお時間いただきます」
メニューの端に茶色の枠で囲まれ、こう書かれている。
 
カフェで注文が出てくるまで60分も待つことなんてほぼありえない。
ホットケーキに60分? 初めての方はきっと驚かれるだろう。
 
神戸の阪急六甲駅からすぐのところにある「喫茶 月森」
ホットケーキで有名なお店。
古いマンションの1階の小さな赤いテントが目印。
店内は2人がけのテーブル席が3つとカウンターに5席。センスの良いアンティーク家具と、たくさんの本が置かれている。女性オーナーが1人で切り盛りする小さな可愛いカフェだ。
 
人気のホットケーキは注文が入ってから粉を混ぜるところから1つずつ丁寧にじっくり時間をかけて焼かれている。そのため、自分より先の客がホットケーキを注文していなかったら約30分。先の客がホットケーキを注文していれば、それが焼けてからなので少なくとも60分。混雑時、長い時には120分待つこともあるようなお店なのだ。
 
ホットケーキを食べるためには2時間以上カフェに滞在するつもりで行かなくてはいけない。何か用事がある時は、いつ出てくるのか分からない時間が気がになってしまうため行ってはいけない。お腹が空きすぎている時は、いい香りはするものの、なかなか自分のところにホットケーキが届かないことは辛すぎる。
このお店の存在は知っていたのだが、今までなかなか行くタイミングがなかった。
そしてついに先日、念願の月森のホットケーキを注文できる日がきた。
 
その日は、次の用事までちょうど3時間ほどあった。今日こそはとお店に足を踏み入れる。2人連れの女性客と、若いカップルがテーブル席に座っていた。
私は1人だったのでカウンターに。店主の女性はふんわり柔らかい感じでとても可愛らしい。ちょうど、先にいた二人連れの女性客のホットケーキを焼いているところのようだった。香ばしい香りが漂っていた。少しすると、注文を取りに来てくれた。ちょうどその時16時すぎ。閉店は18時なので、時間的に間に合うのかなあと不安になり、「ホットケーキはできますか?」と聞いてみた。「60分かそれよりもう少しかかりますができますよ」と。「では、ホットケーキをお願いします」と念願のホットケーキを注文することができた。
 
読書喫茶でもある店内は、たくさんのジャンルの本が置かれていて、自由に読めるようになっている。女性客やカップルも話す時は小声で静かだ。心地よい音楽が流れ、とてもまったりした空間が心地よい。
私は、長時間「月森」にいるつもりだったので、やりかけの仕事をするためにパソコンを持参していた。パソコン作業もはかどったが、仕事をするよりお気に入りの本を読みながら自分の時間をリラックスして過ごす方がこのカフェの過ごし方としてはあっていそうな感じがした。
 
先客のホットケーキが運ばれていった。いよいよ次が私のホットケーキ。すでに注文から30分はたっている。カシャカシャと私のホットケーキの粉を混ぜる音が聞こえてきた。そして、焼き始めると香ばしい香りが広がってくる。
店主が伝えてくれたように、60分と5分ぐらいすぎた頃、コーヒーが運ばれてきた。そして、コーヒーの後にホットケーキが。ホットケーキは1枚か2枚で注文できる。私は1枚を注文した。じっくり時間をかけて焼かれたホットケーキは、きれいなまん丸。表面にしっかりと濃い焼き色が付いている。その上に四角いバター。とてもベーシックな見た目だが、2cm以上のしっかりとした厚さがある。
メープルシロップをたっぷりかけ、バターを溶かしながら、ホットケーキにナイフを入れる。今まで食べたホットケーキより表面が硬くパリッとしている。そして切り目にメープルシロップが染み込んでいく。パリッとした食感、しっとりとしている生地がなんとも香ばしく美味しい。シロップもさっぱりした甘さでたっぷりかけてもしつこくない。なるほど、60分待つことが分かっていても人気がある美味しさだ。
 
60分以上待ったが、美味しいホットケーキは10分ほどで食べ終わってしまった。
たった10分の食べる時間のために、60分待つ。
 
気の合う友人とお話したり、本を読んだりしながら出来上がってくるホットケーキを待つワクワク感。他のカフェでは味わえないのかもしれない。
ずっと、このカフェが人気なのは、ホットケーキを味わいに来るのはもちろんだが、待ち時間の醍醐味があるからなのだろう。待ち時間+味が「月森のホットケーキ」なのだ。
 
月森のホットケーキは、お店と通販で月森のホットケーキミックスが販売されているようだ。ホットケーキミックスを買うとレシピも教えてもらえる。つまり、自宅でも月森のホットケーキを味わうことができるようになっている。
 
家で楽しむのも良いがぜひ、一度、60分待ってお店で月森のホットケーキを食べていただきたい。私もまた、時間を見つけてお店に行こうと思っている。次は仕事用のパソコンではなく、お気に入りの本を持って。
(残念ながら阪急六甲の月森は8月で移転のために閉店となっています。年内に大阪に移転する予定のようです。)
 
 
 
 
***
 
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2020-10-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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