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覚悟してください。バオソルは痛いです。でも体の歪みによく効きます。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:大隈真波(ライティング・ゼミ 秋の集中コース)
 
 
コロナウイルスとの共生をあたりまえのものとして、ようやく受け入れられるようになったのは、夏を過ぎてからだった。それまで、ずっと引きこもっていたが、10月からバオソルの個人レッスンを受け始めた。もう1ヶ月になるが、ほぼ毎日のように通っている。目に見えて身体がかわるのが、おもしろい。体重は変わっていないのに、「痩せた?」と聞かれる機会も増えた。
 
バオソルは、「床の上のバレエ」という意味だ。
 
床の平面と自重を使いながら反復運動を行う、バレエダンサーのための基礎練習である。それ以外にも、骨盤の歪みや、巻き肩、0脚・X脚などの矯正もできるため、決してバレエダンサーのためのものではない。起源はロシアのサーカスの訓練法で、それがフランスに持ち込まれ、「バオソル」という現在のバレエの基礎練習に取り込まれたのだそう。
 
考えてほしい。成人が2時間もの長丁場を、つま先だけで踊り切るのは難しい。ほっそりとした身体のバレエダンサーに、なぜそんなことができるのか。単に、身体が軽いからではない。
 
プロのダンサーの身体は、鶴やフラミンゴが、細い脚で片足で立っていられるのと同じように、身体の骨と関節がまっすぐに積み重なっている。ポジションをとるのに無駄な力を使うことがないため、ダンサーとして必要なだけの筋肉をつければ十分、ということらしい。
 
さて、骨や関節が真っ直ぐでない場合はどうなるか? バランスをとるために、骨と関節を筋肉で固定するようになるのだ。この、わたしの身体のように。
 
スタジオで相対する鏡の中のわたしは、あえて言うなら、土偶のような、カービーなバディだった。縄文時代にタイムスリップしたら、豊穣を願われかねない。こう書けば十中八九、デブだと思うだろう。自分で書くのは悲しいが、実際、確かにぱっと見、ぽっちゃりマシュマロボディ、つまり小デブである。
 
しかし、体組成計に乗ると「痩せ筋肉質」と表示される。意味がわからない。壊れているのか、体組成計め。
 
鏡を見ると、とくに脚がひどい。「太もも、どん! 膝は、きゅっ! ふくらはぎ、どどーん!」という、実にメリハリ過剰な脚なのだ。カモシカの足には遠い、良くてガンダムか、ザクか……まあ、小デブの脚で、脂肪たっぷたぷである。
 
そう思っていたし、そう見えていた。
 
それが、バオソルの先生によると「脚? 筋肉ですよ。ふくらはぎ? あなたの膝下は筋肉だけで、脂肪なんてないですよ」。
 
「えー⁈」である。「えー⁈」としか声が出なかった。
 
左右にブヨっと張り出したふくらはぎが、脂肪ではなく筋肉だったとは……。
 
『筋肉質』と表示した体組成計は間違っていなかったようだ。わたしの土偶バディは、長年の癖で、歪んでしまった関節や骨が「バランスを保てるよう固定するため」に使われていて、筋肉は、本来果たすべき役割を担っていなかった。わたしの歪んだ土偶バディは、脂肪だけのせいではなく、筋肉が本職を離れ、ひたむきに関節と骨を全力で支えていたために形作られた身体だった。筋肉は十分あったが、使われ方が間違っていたのだ。
 
筋肉のボランティア精神のおかげで、トホホな身体になっていたのか、と、衝撃だった。
 
さて。そんなバオソルだが、強烈だ。ものすごく、強烈に痛いのだ。
 
筋肉の癒着を剥がし、ほぐし、その筋肉が本来あるべき場所にぐいんぐいん、と先生の手足を使って動かしていく。立ったまま、調整してもらうときなどは、まっすぐに立っていられないほど痛い。
 
バオソルらしく、スタジオに仰向けになっても、やはり痛い。骨盤を床に押し付けられ、腕を引っ張り捻られ……と、全てが痛い。
 
わたしは、ほかのひとより痛みには耐える自信がある。いや、あった。
 
小学生の頃、歯科矯正のために永久歯を抜いた。麻酔注射がどうしても嫌で、表面麻酔だけで抜いてもらったという武勇伝があるほどだ。「歯を抜かれる程度の拷問なら耐えられる」と思っていた。
 
しかし、このわたしをもってしても、バオソルは痛い。うまく筋肉が動いたあとなど、痛くない時もある。
 
が、一度、あまりの痛みに嘔吐しそうになったことがあった。痛みがすぎると、貧血になったように頭の血が下がり、吐きそうになるということを身を持って知った。「ちょっとした拷問になら耐えられる」という自信は、儚くも散った。
 
正味45分ほどの個人レッスン後には、全身アザだらけである。そして、翌日以降は全身筋肉痛でだるい。でも、確実に身体が変わっているので、やめられない。
 
すぐに変化がわかるのも、面白い。先に調整してもらった脚と、まだ調整してもらっていない反対側の脚では、まったく形が違う。見てわかる。
 
もちろん、それは直後の話で、翌日になると身体はもとに戻ってしまう。一回のレッスンで身体の歪みが完全にとれて、体型が変わるわけではない。
 
印象的だったのは、やはり初日だ。仰向けでスタジオで寝そべったときに、右の骨盤の骨が、ゴリッと床に当たっているのが気になった。翌日は、左右の骨盤の骨が、同じくらいの強さで床に当たっていた。バランスがよくなった、と思った。
 
そして、一週間ほどたつと、骨盤の骨が当たっている感覚がなくなっていた。その代わり、お尻の肉がぺったりと床についていることに気が付いた。足元の方に向かって落ちていた筋肉や脂肪が持ち上がり、骨盤の上にかぶさったため、骨が床に当たらなくなったのだ。
 
ことほどさように、バオソルは痛い。そして筋肉が正しい位置に戻り、正しい動き方を覚えるまで通い続けなければ意味がない。痛みに耐え、定期的に続ける自信がある向きには、全力でおすすめする。
 
バオソルは、身体の歪みによく効きます。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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