メディアグランプリ

怖い物見たさは見ない方がいいに決まっている。


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
 
記事:福井 尊之(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
「やっぱり。決めました。よろしくお願いします」結構悩んだ末の結論を伝えた。いつか決断しなければいけないと思っていたが、先延ばしにしていた。
前から少し痛みはあるなと思ったのだが、何科に行けばいいのかわからず、ようやく見つけたのだ。
その医院では、手術ができないので、先生が紹介状を書いてくださった。紹介された総合病院へ行って受付に出した。少しの間待っていると、名前が呼ばれたので、診察室に入った。症状は、紹介状に書いてあるらしく、私が説明しなくても、すんなり話が通った。
いくつかの質問の後、先生が「いつ手術しますか?」と質問があった。心の中では「今決めるの!?」とすでに少し呆然としていた。恐らく、かなりの上の空で答えた質問が「一番早くできるのは何時ですか?」だった。全然無意識だったと思う。急いでいるもはずもなく、混み具合を確認するでもなかった。恐るべし上の空である。
先生が看護師さんに「スケジュール表持ってきて」と声が聞こえた。ペラペラとめくる音がした。事前検査があるらしく、最終的に1カ月後の明日に決定した。
最後の質問で「やはり全身麻酔ですよね?」と先生に尋ねると「体に負担をかけたくないから下半身麻酔かな」との回答を貰った。
え?下半身麻酔?手術中意識があるやつだよね?話が違う!勝手に調べた私が悪いが、やっぱり、全身麻酔がいい。いや、別の患者さんと間違ったのかもしれない。もう一度聞くか?いやまて、隣に看護師さんもいるし、ここで聞こえていないふりはまさに往生際が悪すぎる。ここはひとつ腹を括ろう。そうだ、先生の提案が一番だ。「そうですか。ありがとうございます。当日はよろしくお願いします」と言って、診察室を後にした。お会計をすまし、車に戻って、お昼ご飯を食べずに、自宅に戻った。
一番最初に始めたこと。「検索」である。まさに食う物食わずに、「下半身麻酔 方法」を検索した。別名 「脊椎麻酔」と言うらしい。違う。そうではない。私が知りたいのは「どんな感じでするの?」である。
ここで、日本語のすばらしさを知った。「怖い物見たさ」である。結論。今回の場合に限り、怖い物見たさは見ない方が良かった。見れば見るほど、痛そうな絵しか載っていない。
見るかに読むから確実に痛そうである。「背骨の間に細い針をさし、麻酔薬を注入する」書いている今も背中がぞくぞくする。一通りの想像の痛みとの戦いに休戦協定まで持ち込んだ。
いくつかの事前検査を無事に突破し、入院当日になった。受付を済ませ、指定された階にエレベーターで到着する。看護師さんにあいさつをする。先生が最後の説明をしてくださり、手術当日を迎えた。
 
朝は普通に起床した。朝食は抜きであり、看護師さんが予定通りの時刻に来てくださり、肩に最初の注射をしてもらった。実は後から考えると、この注射が一番小さかった。そして、仰向けになり、ストレッチャーに乗せられてカラカラと手術室へ運ばれた。ドラマのワンシーンの様に、蛍光灯、天井、蛍光灯、天井の繰り返しだった。
到着してしまった手術室。10分が1時間にも感じているこの雰囲気にのまれそうになる。少しだけ慌ただしくなり、これから始まるのだというのは少し増えた雑談でわかった。
ストレッチャーが動きだし、たくさんの光が集まった手術台に運ばれた。名前と今日の手術内容を確認した。そして、検索しなかった方がよかった例の時間。脊椎麻酔の時間である。
まずは、指示通り横になって丸まる。最初の小さい痛み止め用の注射を腰の当たりに打ってもらう。いつも、腕にする痛みが腰に感じがする。数分経って、とうと人生初のあの背骨に間に打つと言い伝われてれる細くて長い注射。見えない恐怖と、響き渡る器具の金属音が、よけいに恐怖心をあおる。はっきり言うと「すっげー怖い」である。人間ある程度の恐怖は自分で制御できていると思う。しかし、自分の想像以上の恐怖がまさに音をたててやってくる場合、何が起きるかと言うと、筋肉に力が入る。特に使っていない部分どういう訳か力が入っていることが分かる。違う言葉で表すと、緊張である。案外、恐怖心と緊張って似ているのかもしれないな。と思った。
 
脊椎麻酔用の針が入った瞬間の痛みはなく何かいる感じがした。そう、何かいるのである。けれど、ここで動いたら大変になるので、必死で同じ体制を維持した。終わりましたよと言う声がかかり、仰向けの状態に体を起こす。実際針が抜いた瞬間の感覚は全くなかった。むしろ、手術台の冷たさの方を感じた気がした。数分待ち。看護師さんが、足に何かをあてた。「これ冷たく感じる?」「はい。感じますね」この感覚がなくなったら麻酔が聞いてきた証拠の様だ。さらいに数分たり、「これはどう?」問う声。何が起きているかさっぱりわからず。「何か置いてます?」と確認をすると、さっきの冷たい何かを置いているらしい。麻酔が効いたようだ。
そして、金属音の響き渡り手術が始まった。
 
 
 
 
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2021-03-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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