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富士登山で人生観は本当に変わるのか?


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記事:吉田裕子(ライティング・ゼミ)

2016年8月31日から9月1日にかけて、富士山に登ることにしました。

最初に断っておきますが、私は「山ガール」ではありません。

普段、山登りをすることは皆無。今回、富士登山を決めた後に、練習と称し、高尾山(標高599m)を登ってみたくらいです。(それはむしろ、山上のビアガーデン目当てだったかもしれません……。)

そんな私が富士登山に興味を持ったのは、
「富士登山で人生観が変わる」
という評判を聞いていたからでした。

私は別に、自分探しの旅の真っ最中というわけではありません。そんな、モラトリアムな青春期はとうに過ぎました。

ですから、人生観を変えようとか、新しい自分になろうとかいう思いは、特に強くはないのですが、
「人生観が変わる」
というほど強い表現で評される、富士登山という体験を味わってみたくなったのです。

そこで、初心者向け富士登山ツアーに申し込んだのですが、純粋に楽しみな気持ちが半分、斜に構える気持ちが半分という状態でした。

本当に人生観が変わるの?

大げさに言っているだけではないの?

富士登山に対する思いは、ちょうど、泣ける泣けると評判の映画に対する思いに似ていました。

富士登山がどんなもんじゃい。

私は、安易に感動させられないからな!

そんな、挑戦状を叩きつけるような感覚で参加したのです。

参加する前、私は考えていました。

人生観が変わるとしたら、その理由は何だろうか?

出発前に持っていた仮説は、次の3種類でした。

1.自然があまりに壮大で美しく、人間のちっぽけさ、くだらなさ、醜さを痛感させられるのではないか。

2.あまりにも苦行なので、それに耐え、乗り越えることで、人としての器が大きくなるのではないか。

3.街を離れ、黙々と登る過程で、自分自身を見つめ直し、新たな発見を得るのではないか。

そして、いざ、8月31日。新宿を高速バスで出発し、スバルライン五合目に到着した時点から、私はそれらの仮説の検証作業に入りました。

まず「1.自然があまりに壮大で美しく、人間のちっぽけさ、くだらなさ、醜さを痛感させられるのではないか」です。

山というと、高山植物が可憐に咲いていたり、鳥のさえずりが聞こえたりしそうな感じがします。登山道で、朽ちかけた、やわらかな落ち葉を踏みしめながら、自然のサイクルを実感することもあるかもしれません。

そうした私の期待は、六合目に着くまでに、あっけなく打ち砕かれました。

富士山の登山道には、いわゆる「自然」が少ないのです。

何しろ、初心者が登り始めるスバルライン五合目の段階で、標高は2305mあります。山で働く人たちは、ふもとのことを「下界」と呼びますが、その言葉がぴったりだと思うほど、富士山は高過ぎるのです。

登山道のほとんどは、高木が育たない森林限界の上なのです。

その上、富士山は火山。

登山道のほとんどは、溶岩やそれが砕けた砂です。歩きにくく、砂ぼこりが舞い上がるばかりで、ほとんど、草花が生える余地がありません。

途中からはひたすら、赤茶や黒の山肌がむき出しの光景。正直、飽きました。

気を取り直して、次。

「2.あまりにも苦行なので、それに耐え、乗り越えることで、人としての器が大きくなるのではないか」という仮説です。

五合目まではバスで行くといっても、富士山は標高3776mの高い山です。

ツアースケジュールを見ても、まず7時間登り、山小屋で仮眠をとった後、さらに2時間登って頂上でご来光を待つということでした。9時間もかけて、登るわけです。

しかも、2400m以上の山に登る際には、高山病(高度障害)になると聞きます。低酸素のために、頭痛、吐き気、めまいに苦しめられる問題です。

実際、ツアー参加者を見回してみると、8割の参加者が登山用ストックを用意し、酸素缶を備えている女性参加者も多くいました。

ストックも酸素缶も持たない私は、
「大丈夫か? 自分は耐えられるのか? 無事に帰ってこられるのか?」
と不安に襲われました。

いざ登り始めると、下山してきた人たちとすれ違うのですが、何人目かに出会った外国人登山客は、死んだ魚のような目で歩いてきました。

マジか。

そんなに辛いのか。

戦々恐々としながら、登っていたのですが、私の場合、心配は、杞憂に終わりました。

初心者向けツアーに参加していたので、登山ガイドさんが適切にペースを管理してくれ、20~30分に1回(ちょっと多いのではないかと思うほど)、休憩が入りました。

最初の五合目到着段階で高地に慣れるための1時間強の休憩があったこと、また、深呼吸の指示がこまめにあったことで、私を含め、95%の参加者は高山病にならなくて済みました。

人気の富士山なので、山小屋もしょっちゅうあり、水も軽食も気軽に入手できます。下から重い荷物を背負っていく必要もありません。

その結果、駅の階段を上がってハアハア言っている私が、一度も息が上がることのないまま、頂上についてしまったのです。

……あれ、辛くないぞ?

2つ目の仮説も(少なくとも私の場合は)崩れてしまいました。

いよいよ最後の仮説です。

「3.街を離れ、黙々と登る過程で、自分自身を見つめ直し、新たな発見を得るのではないか」というものです。

早々に結論を申しますと、これは、私が初心者向けの団体ツアーで登ったがために、全く味わえないまま、終わりました。

なんせ、五合目を出発するとき、

「ウィラートラベル1号車、頑張って登頂するぞー!」

「おー!!」

と皆でかけ声をかけるんですよ。

後ろの方の人が遅れてくると、

「後ろの皆さん、今、先頭は休憩ポイントの山小屋まであと数分のところです。頑張ってくださいね~!」

「はぁ~い!!」

とやり取りするんですよ。

孤独に自分と向き合っている場合ではなかったです。

……というわけで。

ここまでで、3つの仮説が全て外れてしまいました。

頂上に着き、ご来光を待つ30分ほどの間、私はちょっと焦っていました。

ちょっと待て。

このままだと、私は、富士登山からたいした感動も得ずに帰ってしまうぞ。これでいいのか?

「どうせ富士山に登っても人生観なんて変わらないでしょ」
と言ってはいたけれど、正直なところ、ちょっとぐらい変わって欲しかった。

約2万円の参加費も払った。

山道具もいろいろ買いそろえた。

貴重な休日を費やした。

山小屋での窮屈な仮眠にも耐えた。

……それなのに。

……それなのに。

このまま、特に心の動かないまま、富士登山は終わってしまうのだろうか。

元が取れていないぞ。

どうしよう。

どうしよう。

氷点下の富士山山頂。私は、ご来光を複雑な気持ちで待っていました。

私の前にしゃがんでいるヨーロッパ系の外国人は、小さな三脚をセットし、鼻歌をうたっています。

隣の女子大生2人組は「もうそろそろじゃね?」「ヤバいね」と盛り上がっています。

私は、独り葛藤を抱えていました。

そして、5時10分ごろ。

いよいよです。
ご来光の瞬間が訪れました。

青みがかった空。

赤く燃えるような地平線。

眼下に広がる雲海。

その中に満を持して現れた、太陽。

お日さまの、
熱を、
温かさを、
体現するような、
黄味がかったオレンジ。

その場にいた、数百人がいっせいにカメラやスマホを構えていました。

後で見ると、私のiPhoneには30枚ものご来光写真がおさめられていました。

我ながら、ベタです。

単純です。

ミーハーです。

でも、つい撮らずにはいられませんでした。

ご来光の写真を見たことがなかったわけではありませんし、自分のiPhoneで撮ったところで上手く撮れるわけではないことは分かっています。

それでも、つい撮らずにはいられませんでした。

元々写真で見たことがあっても。
ご来光を薦める体験談を聞いていても。
大したことないんだろうと高をくくっていても。

それでも。

自分自身が目の当たりにすると、圧倒されました。

富士登山の王道、頂上でのご来光はやはりすごいものでした。

そんな、山頂での体験を経て、下山しながら、私は改めて考えていました。

そう言えば、私、泣けるという評判の映画、だいたい泣いてきたな、と。

『サウンド・オブ・ミュージック』にも、
『グリーンマイル』にも、
『タイタニック』にも、
『おくりびと』にも、
息が苦しくなるほど泣いてきたのでした。

ベタなこと、王道なことは、やっぱりすごいのだと思い知ると同時に、そのことに感動する自分というものを自覚した点では、富士登山で、人生観が変わったかもしれません。

王道は、すごい。

富士登山を経た私には、そんな気付きと、階段の上り下りもままならない筋肉痛が残ったのでした。

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2016-09-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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