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ライティングのコツは恋愛に学べ


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記事:サンディ(ライティング・ゼミ 日曜コース)

 
 
「ねぇ、どうせ彼女いないし、休日も暇なんでしょ? 女の子紹介してあげるよ?」
3月のある日、近くの席に座っていた会社の庶務さんが突然言ってきた。
「どうせ」という言葉がどうも引っかかるが、その通りだった。
 
まぁいい。女の子を紹介してくれるなんて滅多にないチャンスだ。
感謝しなくてはいけない。
 
話を聞いてみるとその庶務さんは、趣味で外国人留学生の受け入れのホストファミリーをしているらしいのだ。
 
紹介してくれる女の子というのはその留学生の一人で中国語表記の名前は難しいらしく、名前に使われている雪という字から「ユキちゃん」と呼ばれていた。
彼女は僕より4つ年下の大学院生(当時)で4月からは大阪に本社を構える大企業に就職が決まっていた。
 
実際に会ってみると色が白く、長い黒髪と大きな瞳が印象的な美人だった。
日本の大学院に留学するほどなので勉強熱心で日本語も想像以上にペラペラだった。
 
まぁ、一言で言うと好みのタイプだったわけで、庶務さんのアシストもあり、すぐに休日のデートにこぎつけることが出来た。
 
彼女は、日本に興味があるものの、遠出をするのが不安らしく、ほとんど大学がある北九州市から出たことはないらしい。
 
これはチャンスと車を出し、隣の山口県までドライブしつつ、主な観光名所を案内した。
地元の人からすればあきれる程、ベタなデートコースだったが、ボロを出さぬようこっちも必死でプランを練り、案内した。
 
北九州から関門橋をわたって下関の唐戸市場でお寿司を食べ、角島で海を見ながら散歩し、九州に戻っては門司港に沈む夕日を見ながら名物の焼きカレーを食べた。
 
夕食を食べ終えた頃にはすっかり日が沈み暗くなってきたので夜の海を見ながら海岸沿いを二人で歩いた。
 
楽しい!
僕の人生で数少ない幸せな瞬間だった。
海岸のベンチに座り、海の向こうにある下関の夜景を眺めながら二人でアイスクリームを食べる。
 
「告白するならここしかない!」
「これは神がくれたチャンスなのだ!」
「頑張れ。勇気を出すんだ。きっとうまくいく!」
 
心の中でブツブツと自分をけしかけ、意を決して彼女に話しかけた。
 
「ねぇ、これから大阪に就職するって言っていたけど、僕はまた、ユキちゃんに会いたいと思う。もしよかったら付き合ってほしい!」
 
2~3秒の沈黙後、彼女はまっすぐな瞳をこちらに向けてはっきりした口調で言った。
 
「3月ハ、月曜日と水曜日以外ナラ大丈夫!」
 
いや、バイトの面接じゃねぇし!
喉の先まで出かかった突っ込みをかろうじて僕は飲み込んだ。
一瞬頭が真っ白になった。
どういう意味だ?
そして次の瞬間、全身の力が抜けていくのが分かった。
 
僕は大きな勘違いをしていた。
彼女は中国人留学生なのだ。
いくら日本語がペラペラだからと言って婉曲的な恋愛表現が分かるとは限らない。
いや、むしろわからない方が普通だろう。せいぜい留学先で学ぶ言葉なんて日常生活に使うものかビジネス用語くらいだ。
 
彼女は別にはぐらかした訳でもなく、ましてやふざけている訳でもない。
純粋に「また、会いたい」という意味をそのまま受け取ったのだ。
 
そもそも、今日一日のデートを「デート」として受け取ったのかどうかも怪しい。
もしかしたら僕の事は「日本の名所を案内してくれた優しい人」位にしか思ってないのではないか?
いや、今までの言動を見ても、その可能性はかなり高いぞ!
 
盛り上がっていた気持ちが一気に萎んでいくのがわかった。
ここから「I love you」や「我爱你」が言える程、当時の僕のメンタルは強くなかった。
 
結局、その後、彼女と付き合うことはなかった。
(当たり前といえば、当たり前だが……)
 
恋が終わったというより、始まらなかったのだ。
 
よく、国際恋愛の表現で
「愛は国境を超える」
などというが、何のことはない。
僕の「愛」とやらは、たかだか3kmちょっとの関門海峡すら超えられなかったのだ。あぁ、情けない。
 
数年後、僕の仕事の幅は広がり「講師」として人に教えるという仕事が増えた。
更に数年後、天狼院書店という本屋で文章を書くコツを習うようにもなった。
 
「研修」や「ライティング」でつくづく感じるのは「伝える」事の難しさだ。
「伝わる言葉」「わかりやすい言葉」
これを考えるといつも当時の自分の「アンポンタン」ぶりを思い出して恥ずかしくなる。
 
相手の立場、価値観、バックグラウンド……。
 
「伝えたい思い」が強ければ強い程、本来最優先で考えるべきことが見えなくなって空回りしてしまうものだ。
 
読んでもらって分かる通り、当時の僕は大馬鹿ではあったが、バカ高い授業料を払って教わったこの経験がライティングに活かせるならまだ救いがある。
 
さぁ、今回は「伝わる文章」として皆に読んでもらえるだろうか?
もし、読んでもらえるならあの日の立場は逆転する。
 
彼女は長い年月をかけて僕をガイドしてくれていたのだ。
「大事なこと程、相手の立場に立って考えないと伝わらない」
という事を。
 
 
***

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2017-06-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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