メディアグランプリ

私のセグメンテーション(切り口)は何だろう?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:小沼展子(ライティング・ゼミGW特講)
 
 
マーケティング(顧客満足を軸に『売れる仕組み』を考える活動)を学んだ方なら、一度は耳にしたことがある単語「セグメンテーション」=「切り口」を用いて、私自身の事を考えてみた。「セグメンテーション」とは、STP(Segmentation/Targeting/Positioning)と呼ばれるマーケティング手法である。私には、「女性」「母親」「40代」「主婦」「「経営者の妻」「娘」などなど、いろいろな切り口が出てくる。その時の状況によって、STPが変わってくる。今回は「娘」の立場の自分について考えてみた。
 
昨年の4月私の父が他界した。先日、無事に一周忌法要も終えることができた。長年心臓病を患っており、何度も担当の医師から「覚悟」という言葉を聞かされてきた。そう言われるたびに、父は病気と闘い、医師も驚くような復活をしてきので、「父が亡くなる」ということが、現実に起こるまで考えることができなかった。実際、父が亡くなると、悲しむ事もつかの間で、次から次へと、やらなければならないことがたくさんあり、忙しい時間を過ごしていった。これは、父が、私たち家族を悲しませないよう、敢えてさせていることなのかもしれないと思った。
まずは、親族への通知、これは普段から交流があるので母が行った。そこから、連絡してもらいたい人伝えてもらった。田舎なので、新聞のお悔み欄の掲載もお願いした。葬儀社への連絡、電話連絡だけでOKなのだが、これが結構大変なのである。業者にもよるが、故人が生前中に契約をしていないと、費用がかなり掛かるシステムになっていた。我が家の場合、母が手続きしていたので、それは回避できた。葬儀の手配はすべて、葬儀社の方でしていただけるのだが、お寺への連絡は自分たちの仕事だった。私は主人と、父と親交があり父の両親つまり祖父母もお世話になったお寺のご住職に会いに行った。
 
ご住職に会って、葬儀のお願いと、我が家には、墓地がないので、墓地を建立したい旨の相談をした。すると、ご住職からの回答、葬儀は「OK」だったが、墓地は「NO」だった。驚きだった。墓地の敷地が無いわけではない、なぜなのか? 答えは簡単だった「後継者がいない」
私の実家は、母と姉の二人で、姉は独身、しかも地元に住んでいない。「実際墓地を建立しても、いずれ無縁仏になってしまう可能性が高い人に、私たちの住んでいる行政は埋葬許可をださない、つまり墓地の新規の建立を認めない」ということだった。また、「お寺でも遺骨を預かることはできない、合祀という形で合同墓地で祀ることは可能だが、場所がないので、骨壺から遺骨を出す」ということだった。実際、お寺では引き受け手がいない遺骨をお預かりしているそうで、親族に連絡をとっても知らんぷりされてしまうらしい。ご住職家族の荷物を、物置などに移動して、遺骨を保管しているとのことだった。本当にびっくりする話だった。
「墓地問題」が浮上した。どうすれば良いのか?とりあえず、葬儀社の担当者に相談してみた。すると納骨堂を紹介してくれた。母が、テレビのCMを見るたび、生前父との会話で、「うちの近くにもあったらいいのにね」と話していたそうだ。親としては、やはり重要な事だったのだろう。しかし、私たち娘にもなかなか相談できない案件でもあったかもしれない。幸い、紹介された「納骨堂」が由緒あるお寺のもので、また、姉の家の近くで、安心してお願いする事が出来た。
 
最近よく「終活」という言葉を耳にする。「シュウカツ」と言うと「就活」つまり就職活動を連想するが、そうではない。人生を終えるに向けての活動の事だ。主な事柄としては生前のうちに自身のための葬儀や墓などの準備や、残された者に迷惑がかからぬよう生前整理、残された者が自身の財産の相続を円滑に進められるための計画を立てておくことなどが挙げられる。しかし、父は全くそんなことをしなかった。一緒にテレビを見ていて、「終活」のテーマだった時に、「死んでしまったら、結局、自分では何にもできない、生きている方々にお任せするしかないんだよ。だからしない」と言っていた。もともと、父は几帳面な性格なので、書類をまとめたりするのが日常的で、実際にはそれが「終活」だったのかもしれない。私は父の生前、「父が亡くなったらどうなってしまうのだろう? 」と、父の具合が悪くなるたびに、不安な気持ちがあり、実家からの電話を受ける事が嫌で嫌でたまらないほどだった。しかし、実際に父が亡くなり、物事が淡々と進んでゆく中で、不安にもならず私たち家族が前向きに過ごせた事に感謝したい。誰に感謝するのか? 私たちをサポートしてくださった方々全員で、その方々達に引き合わせてくれた父にである。父が亡くなるという、ネガティブ的な出来事に実際に直面して、私は、病気と闘うシニア世代夫婦の姿、パートナーが亡くなり一人で過ごすことなど、たくさんの事を学ぶことができた。私自身もこれから迎える現実である。父や母の様な日常を過ごしたいと思う。
 
 
 
 
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2019-05-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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