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メディアグランプリ

コスパ最強の料理


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:根岸哲史(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
世のひとり暮らしの男性に言っておきたいことがある。
 
料理をするなら煮物にかぎる。
男のひとり暮らしの料理なら煮物で間違いない。
これは絶対の真理だ。
 
たしかに、男のひとり暮らし料理の定番といえば、ラーメン、チャーハン、野菜炒め、多少見栄をはってのスパゲティと相場は決まっている。
 
だが、そこで煮物だ。「煮物をつくれ」と私は男友達に勧めてきた。
 
煮物料理は難しい。そんなイメージがどうやら世間にはあるらしい。だが、そんなものは頭のなかにこびりついた思いこみでしかない。それこそ煮ても焼いて食えはしない。
 
煮物をつくるのに大げさな道具は必要ない。鍋ひとつでできる。フライパンひとつでできる。頭を使う必要もない。しょう油とみりんと調理酒を同じ量だけ、1対1対1で混ぜたものを鍋にいれて火にかけるだけ。好みで砂糖を少々。しょう油をめんつゆに代えれば出汁の旨味もついてくる。
 
しょう油とみりんと日本酒をかきまぜた、こいつは魔法の液体だ。こいつで煮さえすればどんな食材も料理になる。ごぼうとにんじんで、きんぴらごぼう。にんじんとジャガイモとこま切れ肉で肉じゃが。ひじきを煮ればひじきの煮つけ。煮物はこれしか使わない。野菜だけじゃない。ゆで卵を煮れば煮卵ができるし、魚を煮れば煮魚ができる。
 
しかも、火を適当な弱さに鍋をかけておけば、放置したって問題ない。そう簡単に焦げはしない。ひとり暮らしの生活にはやることが多い。掃除に洗濯。ゴミ出しや干した洗濯物をしまうことだって時間がかかる。そんなときは、火にかけた鍋を横目に細々とした仕事を済ませてしまうのだ。ひと仕事終えたときには食事が一品増えている。これはなんという魔法だろうか。
 
炒めものはそうはいかない。鍋やフライパンをずっとにぎっていなくちゃいけない。弱火で炒めるなんてありえない。強火で手際よくが鉄則だ。ぼやぼやしていればすぐ焦げる。ずっと鍋を振ってかきまわしていないといけない。だから、腕がつかれる。油がはねて汚れるし、火傷をすればとても痛い。そんな苦労をしているのに、味つけは失敗しがちだ。こっちだけしょっぱくて、あっちだけ味が薄いなんてことが、三回に一回は最低起きる。
 
そこのところ、煮物はいいぞ。油跳ねで汚れることもやけどをすることもない。魔法の液体は最初から味が混ぜあわされているから均等に味つけができる。まったく手をかけないというのに、このクオリティ。これは奇跡と言っていいのではないか。
 
まず煮物で失敗することはない。だから、恐れるな。勇気を出せ。煮物を煮るのだ。
 
煮物は煮た後だってファンタスティックだ。たくさん煮たって問題がない。たくさん煮ても味つけが均等なのはもちろんのこと。毎日少しずつ煮たてて火を通していれば日もちもする。それでも食べきれなければタッパーに分けて冷蔵庫にしまっておける。冷凍庫で凍らせておいてもいい。
 
考えても見てほしい。冷蔵庫で三日間しまっておいた炒め物をレンジであっためて食べようという気になるだろうか。油はべちょべちょで食感は残念なことこの上ない。だが、三日たったくらいの煮物ならばレンジで温めればほとんど変わりがない。
 
しかも、煮物は料理のなかでも最高にコスパが高いのだ。……評価のコスパが。
 
繰り返すが煮物は簡単だ。食材を適当に切る。鍋に放り込む。しょう油とみりんと酒を同じ量を混ぜてかきまわした魔法の液体をいれる。火にかける。放置する。すると、できている。それが煮物だ。たった、それだけでできるのに、世間では超高難度の料理だと思われている。それも煮物だ。
 
「料理するの?」
「するよ」
「どんな料理できるの?」
「ラーメン」
 
これで評価されることはない。決してない。失笑されるのがせいぜいだ。ラーメンやチャーハンは料理ができないやつがする料理と思われている。それにひきかえ
 
「料理するの?」
「するよ」
「どんな料理できるの?」
「煮物とか」
「すごーい!」
 
これは、ある。煮物ができるのはホンモノと思われる可能性が高い。あんなに簡単なのに、だ。そのうえ、「きんぴらごぼうができるよ」「肉じゃがが得意だよ」と口にすれば、家庭的で安心できる人という雰囲気さえも演出できる。「煮魚もつくれた」とまでくれば、もはや神と崇め奉られるレベルである。
 
「わたしだって、そんなのつくれないよ」って。
 
お分かりだろうか。男なのに煮物ができる、これに勝るギャップなど、そうそうないのだ。一言でいえば、これはモテる。きわめてモテる。
 
しょう油とみりんと酒を適当に混ぜて火にかけているだけなのに、鍋の重さに火の熱さと格闘する炒め物の方がずっとしんどいのに、なのに煮物はモテる。こんなにコスパの高いモテ要素がほかにかつてあっただろうか。
 
収入が高くなくてもいい。
ジムで体を鍛えなくてもいい。
ファッションにこだわらなくてもいい・
 
煮物が煮れればそれでいい。
 
だから、ひとり暮らしの男性諸君。
モテたいなら、いますぐ煮物を煮るのだ。
 
 
 
 
***
 
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2019-07-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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