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恋するフォーチュンクッキーの悲劇


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記事:男泣きのゆうこ(ライティング・ゼミ夏休み集中コース)
 
 
「みっきーってほんま可愛いなぁ!」
ひろきが隣の席のみっきーに言った。
 
 
今日は久しぶりに、会社の同期で飲み会だ。
私はちょっと楽しみにしていた、だからちょっと可愛い服も着てきた。
前から気になっていた、ひろきが飲み会に来るからだ。
ひろきは違う事業所で働いていたから、こうやってわざわざ集まる機会がないと会うことができない。
 
 
ひろきは、目鼻立ちがハッキリしていて、背が高くて、TOKIOの長瀬君タイプのイケメンだ。
更に、頭の回転が速くて、関西人らしい面白さもあった。
モテないハズがなかった。
本人曰く、モテる対象は女性だけではないらしいが……(笑)
 
 
そんなひろきの前の席を運良く陣取った私。
「今日はいっぱい喋れるな」と期待した。
 
 
ひろきの隣には、みっきーという女の子が座った。
みっきーは、スラっとした美人系で、それだけならまだ良いのだが、誰からも悪口を言われないような性格の良い子で、田舎出身の訛りがちょっと混じっているのである。
 
 
ズルい。
男が10人いたら8人は、可愛いと思ってしまうような子なのだ。
女の私だって可愛いと思うし、彼女のことが大好きである。
 
 

最初のうちはみんなで盛り上がっていたものの、ひろきとみっきーが2人の世界に入り始めた。
私の目の前で、ひろきがみっきーのことを口説き始め、みっきーも満更でもなさそうな顔をしている。
 
 
私はただただ、「あの2人、良い雰囲気だね」という周りとの会話に相づちを打つことしかできなかった。
 
 
悲しかったけど、認めるしかなかった。
私は完全に蚊帳の外である。
 
 
そもそも、前から分かっていた。
友達としてはそれなりに仲が良かったものの、正直脈ナシだということは。
 
 
二次会でカラオケに行くことになった。
帰れば良かったのに、なぜか私も参加してしまった。
 
 
そして、大人数でカラオケに行った時あるあるだが、選曲に迷う。
よりによって、今日は1人1曲ずつ歌う流れらしい。
 
 
「定番で無難なやつにしておこう」
私はAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」を歌った。
 
 
Aメロを歌い始めた瞬間、しまったと思った。
歌詞が今の自分の状況にリンクしすぎていた。
 
 
あなたのことが好きなのに、あなたは私にまるで興味がなくて、
周りにはたくさんの可愛い子がいて、地味な私には気づいてくれなくて、
男は性格が良い子がいいと言うけど、いつだって可愛い子が人気があるのだ。
 
 
歌詞をざっとまとめるとこんな感じである。
 
 
無理やり最後まで笑顔で歌いきった。
 
 
帰りの電車の中で、今日のことを振り返り、悲しさと恥ずかしさを感じて泣きそうだった。
 
 
ふと時計を見ると、午前0時を過ぎていた。
私のアラウンドサーティーが幕を開けていた。
 
 
私は最悪の気分で26歳の誕生日を迎えてしまっていた。
指原よ、未来はそんな悪くないんじゃなかったのか。
もう一生、「恋するフォーチュンクッキー」なんか歌わない!
 
 
そんな私も、とあるきっかけで少しずつモテるようになった。
無事、彼氏もできた。
 
 
私がモテなかった理由、好きな人に好きになってもらえなかった理由は簡単だった。
人から良く思われようと、男性から可愛いと思われようと、人の目ばかり気にしていたのだ。
 
 
よく雑誌に載っているような、モテる女子は何を着ているとか、モテる仕草を参考にしていた。
 
 
女子とは、男性の一歩後ろをついていかなければならないとか、男性をたてなければならないとか、そんな狭い価値観にとらわれていた。
 
 
自分のダメなところを人に見せないようにと、見栄を張っていた。
 
 
そして、いつの間にか自分らしさを見失っていた。
 
 
私には、私らしい魅力がちゃんとあった。
人の目を気にしてばかりいるから、自分らしさを出せなくて、人から良く思われようとしていた行動が、逆効果になっていた。
 
 
そして、自分自身が他人を狭い価値観で判断していたことにも気が付いた。
そもそも、勝手に人を判断したり評価したりするなんて、おこがましい話だった。
 
 
今自分の目の前にいる人は、たしかにちょっと変わったところもあるかもしれないが、それがその人の魅力なのだ。
 
 
人は自分のことを、相手のことを、認めながら生きていかなければならないのだ。
 
 
言葉で言うのは簡単だけど、実践するのはとても難しい。
まずは自分のことを認められるようにならなければ、自分とは「違う」他人のことなど認められないからだ。
 
 
ダメなところも、弱いところも全部含めて、自分という人間なのだ。
 
 
「私は私らしく」
地味かもしれないが、私らしい花を咲かせていきたい。

 
 
 
 
 

***

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2019-08-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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