READING LIFE

『商売心得帖』松下幸之助著《天狼院の棚》


天狼院を作るために必要となる本、天狼院の教科書になる本として、「天狼院の棚」というカテゴリーは作ったものの、今までそれに該当した作品は、なかなか見つけられませんでした。

最近では、先日投稿した『アップル 驚異のエクスペリエンス』のみ。

前の時も思ったんですけれども、ここで記事にすることを、今回も大いにためらいました。

あまりに良過ぎるからです。これを、天狼院を作るためのコアとして使っていると知られるとまずいな、というちょっと狭小な考えが、頭をよぎってしまい、できるなら、本当にいい本は隠して独占してしまいたいと思ってしまいます。

 

けれども、それでは本屋はやっていけません。

 

そもそも、この本は、結構昔の本ですが、なぜ知ったかと言えば、テレビ東京のWBSの中のコーナー、スミスの本棚でやっていたからです。そこで紹介されていたフレーズに、心を鷲掴みにされました。

 

世間は正しい。

 

本を作ったり、本の販売戦略を手伝ったりと、日々、過ごさせて頂いているのですが、世間とは、つまり、マーケットとは時に非常な結果を突きつけてきます。これは、と乾坤一擲とばかりに繰り出した作品が、数値的に跳ねないときがあります。そんなとき、とかく、こう思ってしまうものです。

 

「この本の良さをわからない世間がおかしいのだ」と。

 

しかし、松下幸之助はこう言うのです。

 

日々の商売を力強く進めていくために大事なことの一つは、いわゆる世間というものを信頼することだと思います。世間とはいったいどういうものであるかということについては、人によっていろいろの見方がありましょうが、私は、それは基本的にいって、いつも正しいものであり、世間の見るところは常に健全だと考えています。

 

おそらく、これは数十年、商売を続けてきた上で、松下幸之助が到達した境地と言っていいでしょう。世間は常に正しい。少なくとも、そう思わなければ、やっていられない。

また、「販売を成功するためには」という項目では、サービスの極意について書いてあります。

「魂を入れた値段であれば」という項目では、プライス戦略についての真髄を説いており、「商売冥利」の項目では、ホームレスの人に買われるまんじゅう屋の幸せについて、説きます。

「お得意を広げる」では、バズ戦略について説き、「名君と忠臣」では、サービスとサレンダーの違いについて、説いています。

お気づきでしょうか。この薄い一冊に、商売に必要なすべてが込められていると言っても言い過ぎではないかも知れません。

たしかに、すべては、どこかで聞いたことがある理論がほとんであり、もっとくわしく書いてある本もあります。

けれども、網羅的に一冊に商売の心得について書いてある本は、これをおいて他ないのではないでしょうか。

商売に関するコア・エッセンスが込められた本書は、何度も読み返すことによって、網羅的に商売に必要なことを思い起こすことができます。

人とは忘れる生き物です。

折にふれて、この薄い本を読み返すことによって、「そういえば、これも重要だった」と思い起こすことができれば、理想ではないかとおみます。

何度も読み返すことによって、意義が何倍にもなる本だと思います。

 

そういった意味においても、買わない理由が見当たりません。

 

*ぜひ、お近くの書店でお買い求めください。

 

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2013-03-27 | Posted in READING LIFE, 天狼院の棚

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