【映画】『アルゴ』《READING LIFE EXTRA》
映画『グッド・ウィル・ハンティング』が上映された時、僕は衝撃を受けたことを覚えています。
それ以後、ハリウッドの大スターとなる、マット・デイモンとベン・アフレックが、この映画によってまさに彗星のように本格世界デビューします。
あれから何年経ったのでしょうか。1997年の公開だったので、もう16年前になりますか。
ハリウッドで、確固たる地位を築いたベン・アフレックが、成熟期を迎え、監督として世に放ったのが、この作品『アルゴ』でした。
これが、本気でいい作品でした。
なぜ、こんないい作品を作れるのだろうと、不思議に思えるくらいの傑作でした。
史実を元にしていること。長らく機密扱いになっていたこと。
単なるアクションではなく、本当の意味での生命が、真実の重さをもって描かれている。
ひりひりとするような緊迫感も、リアルにより近づけたから生まれたものなのだろうと思います。
おそらく、リアル一直線に向かわせようと思えば、それはできるはずです。ドキュメンタリータッチで描いて、リアルであることに比重をおけば、それらしい作品になる。
けれども、この作品は、そればかりではなく、しっかりと質の高い疾走感があって、緊迫感があって、言ってしまえば、堂々たるエンターテイメントに仕上がっている。
これが凄まじいと思うのです。
リアル、に甘えていない。素材としての質に、甘えることなく、しっかりとクリエーターとして腕を振るっている。
ゆえの傑作なのだろうと思いました。
6人の命を救う英雄は、政治的な事情によって、長く、その功績を家族にも言えませんでした。
他の人が英雄としてまつられるのですが、主人公としては、自分の仕事を成し遂げたまでと割り切ろうとします。
その葛藤も、実にいい。伝わってきます。
これは、本をつくるときも一緒なのだろうと思います。
クオリティーにとことん拘るとき、ようやく、何かしらの、実体を持ったリアルが生じるのではないでしょうか。
そんなことを考えさせられる作品でした。
ぜひ、御覧ください。すでにDVDになっております。
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