2021-08-01
『趣味としての小説』という記憶装置
記事:永井聖司(チーム天狼院)
調べてみると1996年(平成8年)のことらしいので、今から25年も前のことになる。
思わず、嘘でしょ? とつぶやいてしまった。
7歳の頃のことなんてほとんど覚えていないはずなのに、この出来事は覚えているのだから、僕にとって、いかに衝撃的だったかがわかる。
『高校生で大賞受賞!』
25年前のことなので詳細までは覚えていないけれど、確かそんな内容だったと思う。
父親が毎週買ってきていた週刊少年ジャンプを読んでいたら、そんなことを書いてあるページがあったのだ。
『ジャンプ小説大賞結果発表!』と言った内容のことが、そのページには書かれていたと思う。
多分、僕が小説家という職業をはじめて知った機会だ。
7歳離れた兄がいる身としては、高校生なんてとても身近な存在で、『高校生でも小説家になれるんだ!』という勘違いを起こさせてくれるには十分過ぎる出来事だった。
その後、小説らしきモノを小学生の内に書いたのは覚えている。
どうして書いてみようと思ったのか、今では全く覚えていないし、こうして文章を書きはじめてみて、はじめて、思い浮かべていたものと書いたモノの内容がまるで違ったことに気付くぐらい、記憶は曖昧だ。
内容は言うも恥ずかしいぐらいの現代ファンタジー設定で、確か、悪魔か天使か(それすら覚えていない)と現代の少年が出会ってなんやかんやと事件が起きる、そんな感じの話だったと思う。
記憶は曖昧だけれど、多分、何らかの形で書き上げたんだと思う。当時仲が良かった女の子のお姉ちゃんに褒められたことだけは、よく覚えている。
そして、父親が持っていただけでほとんど使っていなかったパソコンを拝借し、また別の小説らしきモノを、書いていった。
それなりの時間を掛けて書いていった小説らしきものは、どこの賞にも投稿されることなく、終わった。
どうやって投稿するかわからなかったのか、両親に聞いてまで応募しようとする情熱がなかったのか。
今ではわからないけれど、結局その小説らしきものは、今ではどこにあるかもわからない有様だ。
それ以降、ぼんやりと、
『小説を応募してみたいな』という気持ちを頭の隅に抱えたまま、中学生の時は三谷幸喜さんの影響で、脚本らしきモノを書いた。高校生、大学生の時も演劇を続け、脚本らしきものや、小説らしきものを書いた。
『小説を応募してみたいな』という気持ちをハッキリと行動に移すことはないくせに、それなりの時間を費やして小説らしきものを書き、たまにごく限られた人だけに見せ、そんな時間を楽しんでいた。
天狼院書店のライティング・ゼミに通うようになってからも、ちょくちょく小説らしきものを書いた。
時折、過去に書いた文章を見返すときに、こんなに書いていたのかと、驚くぐらいだ。
特に天狼院に通うようになってから書いたモノは、2,000字、もしくは5,000字程度という文字数の規定の中で書かれたものなので、どこかの賞に応募しようと思っても出来るものではない。
それでも、僕は時折、小説らしきものを書いた。
自分が考えたキャラクターを動かし、世界観を考え、時に自分が伝えたいことを、小説らしきものの中に込めた。
お金になるわけでもなければ、多くの人に褒め称えられるわけでもない、小説家になれるわけでもない。
それでも、思いついたように、小説らしきものを書く時間を取る僕がいた。
どうしてこんなことをしているんだろう、と思うことも、よくあった。
それでも、中毒症状かのように、時間を取ってしまうことがある。
『趣味としての小説』という言葉に出会ったのは、ここ最近のことだ。
天狼院書店で開催している、ベストセラー作家になることを目指す、小説家養成ゼミ。そのプログラムの中でお越しいただくゲストの方々や、それ以外でも、天狼院にお越しいただく小説家の先生が、ポロポロとそんなことを言うのを、聞くようになったのだ。
小説家になる・ならないは置いておいて、『小説を書くことは楽しい』と、先生たちは仰るのだ。
自分がしてきたことは、まさしくこれだったんだと、そう思った。
大した理由はない。それでも、『ただただ楽しい』から、小説らしきものを、僕は書いているのだ。
プロとして、職業として小説を書かれている方、また目指している方からすれば、甘い考えと言われるかもしれない。
それでも、『趣味としての小説』を時折書いている身からすると、わかることがある。
『小説』でしか、書けない世界があるのだ。
壮大なファンタジーや、SFを書こうという話じゃない。
エッセイやブログなど、リアルに通じる形では表すことの出来ない、感情や、想いがある。「キャラクター」という別人に託すことで、はじめて表せるコトがる。
そして、出来上がった小説らしきものを見返すことで、小説の中に込められた、自分の隠された気持ちに気づくなんてこともある。
そんなモノが、広大なデジタル世界のどこかに残っていて、時折見返すことがあったらそれはきっと、アナタにとっての宝物になるだろうと思う。
エッセイともブログとも違う。ツイッターともフェイスブックの投稿とも違う。アルバムを見返すのともまた違う。
フィクションの中に見え隠れするアナタを見つけることで、はじめて何かを思い出したり、気付いたりする。そんなキッカケに、『趣味としての小説』は、機能するんじゃないかと思う。
香りや音など、身体的感覚が、過去を思い出すための引き金になるのと同じような、そんな役目を果たすものに、『趣味としての小説』は、なってくれるのではないかと思う。
そんな想いを込めて今回、新たな小説系1DAY講座を、開催することといたしました。
今まで小説を書いたことがない、という方はもちろん、長文を書くのが苦手、140字つぶやくのでも困ってしまう。
そんな方でもご参加いただけるような、『超・初心者コース』となるよう、講師であり、プロの小説家の千澤のり子先生にお願いし、カリキュラムを考えていただきました。
『小説を書いてみたい』
そんな想いを少しでもお持ちの方の後押しになる、そんな3時間となれば、幸いです。
更に、より詳しく、『小説を書きはじめ”前に”すべきこと』を学びたい方は、下記の講座も募集中です。
永井聖司(Nagai Satoshi)
おそらく日本で唯一のビジネス書専門店、天狼院書店「Esola池袋店」STYLE for Biz店長。
大学卒業後、出版と採用コンサルを主な柱とする企業に就職し、コールセンター業務などを経験。30歳以降の人生について思い悩んだ20代後半、『人生を変えるライティング・ゼミ』を知り、2017年8月開講コースを受講。その後、ライティング・ゼミの上級コースにあたるプロゼミ(現ライターズ倶楽部)を3期受講し、2018年11月より天狼院書店に合流。
2019年4月より、ライティング・ゼミのフィードバックを担当。2019年9月より、シアターカフェ天狼院店長、2020年1月より現職。天狼院書店全体のビジネス書の担当を務める一方、ライティング・ゼミで学んだノウハウを活かし、ビジネス書著者を招いたイベントを多数開催している。
メディア出演 雑誌「ダ・ヴィンチ」「リクナビNEXT」
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この記事は、「ライティング・ゼミ」を受講したスタッフが書いてます。 ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
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