「晴れ女」は自分で作る
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:三好香菜美(ライティング・ゼミ夏期集中コース)
「なんで今なんだよー」
身支度を終え、家を出ようと玄関の扉を開けたとき、こう思ったことがある人はどれほどいるでしょうか? そうです、これは雨の話です。家を出る瞬間に限って雨が降り始める、なんてことがたまにありませんか? 頻繁にある人もいれば、そうでない人もいますよね。それをこの世では、雨女・雨男、晴れ女・晴れ男と言って表現しますよね。でも、この人たちの差って一体何なのでしょうか。
私は、高校・大学と、自転車で学校へ通っていました。片道30分かけて、晴れの日も雨の日も風の日も、暑い日も寒い日も、毎日自転車を漕ぎました。大学に入って免許を取ってからは、原付という手段で通学しようと思えばできました。しかし、クロスバイクを購入するほど、「自転車に乗る」という行為自体は大好きだったので、自転車で通うことにしていました。
ただ私がどうしても嫌だったのが「雨の日」です。というよりかは、「自分は雨女である」ということがものすごく嫌でした。
「今すぐ家を出ないと間に合わない! 遅刻寸前! やばい!」という時に限って、玄関を開けると、カッパを着るべきか悩ましい量の雨が降ってきます。今からやむかもしれないし、逆に大雨になるかもしれない。本当に絶妙な量の雨がぽつぽつ降り始めます。加えて、そういう日は大体、お気に入りの靴を履く予定でコーディネートを組んでいるのです。そして、信号にも「全部引っかかったんじゃない?」というレベルで引っかかります。学校に着くころには、たとえカッパを着ていても、急いで自転車を漕ぐから汗でびしょびしょですし、着ていなくても大抵大雨に見舞われてびしょびしょです。この一連の出来事が何回も何回も起こるのです。それはもう、私はかなり運が悪い、そう思っていました。
しかし実際、「自分は雨女だなあ」と感じる日の、一日の生活を思い出してみると、雨の日の不運というのは、大抵が自分の行いによって引き起こされた不運なのです。
「遅刻寸前な日に限って」
これは紛れもなく、自分のせい。荷物や着替えは前日に準備すればいいし、朝は早く起きて、余裕をもって準備していれば、外出間際になって焦ることもなかったはずですよね。しかも、遅刻寸前なのは、時間にルーズな私にとっては日常茶飯事なのに、こういう時に限って余計に時間が気になります。
「お気に入りの靴を履くコーデを組んでいる日に限って」
いやいや! 前日に天気予報見ろや! とツッコミたくなりますよね。本当にその通りです。当時の私には、天気予報なんていう概念は存在していなかったのです。まず、そもそもの話、私はお気に入りの靴しか持っていません。持っているどの靴を履いても、コーデは「お気に入りの靴を履くコーデ」と言えてしまいます。
「信号全部引っかかったんじゃない?」
信号って大体そういうものじゃないですか? 大通りなんかを同じ速度で走っていると、一度信号に引っかかれば、大体全部の信号に引っかかりますよね。その事実を知っているし、何度も経験したことがあるくせに、なぜか雨の日にだけ、「自分は不運だ」と思う材料に変わってしまいます。
そう、このように雨の日に限って、普段も経験していることが急に意味を変えて、「自分は不運だ」「自分は雨女だ」と思う原因になっているのではないでしょうか。むしろ、自分の至らなさや準備の悪さみたいなものを、「雨」のせいにすらしている気がします。
友達の中で、「自分は晴れ女だ」という人を思い浮かべてみます。彼女は絶対に集合時間より早く待ち合わせ場所に着くタイプの子で、普段はかなりポジティブです。自分の不注意でかばんをひったくられても「一回経験したからもう次はないでしょ」というぐらいのポジティブ具合。私だったら確実に「私って本当に運が悪い」と、犯人のせいにしてただ病みます。
雨女である私と、晴れ女である友達との違いは、「準備の良さ」と「素直さ・ポジティブさ」でした。
また、自分を雨女・雨男だと思っている人は、一度、「自分は雨女・雨男だ」と思い込むと、たとえ晴れの日があったとしても都合よく雨の日だけを記憶するのだと、前に何かで読みました。
友達と、前に読んだ何か、は教えてくれました。遅刻しそうだとか、そんなことは自分でどうにだって改善することができます。自分の悪かった部分を素直に認めるということも大事です。「自分は雨女だ」のせいではありません。また、雨女という概念は取っ払って、晴れの日の楽しい記憶にもフォーカスしてみるのです。
天気予報すら気にしていなかった私は、今では雨雲レーダーを頻繁に見るようになったし、外出前20分ぐらいは余裕ができる時間に起きるようになりました。レインシューズやお気に入りの傘も買ったので、雨の日も楽しみになりました。
すると不思議と、雨の日も晴れの日も、嫌な日の記憶が蓄積されないのです。心が「晴れ女」になってきたようです。
私自身は、「運がいい、悪い」という概念はあると思っています。運が悪くて、旅行の時に雨が降ってしまうなんてこともあると思います。が、しかし、少し考え方を変えたり、工夫を加えるだけで、世界は変わって見えるもの。自分を雨女・雨男だと思っている人。「今日ついてないなあ」そんな日がたまにはあってもいい。けれど、ちょっとだけ、世界を見る角度を変えてみませんか? きっとどこかに、雨が降らない素敵な場所が待っているはずです。
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