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ワクチンは愛のごとく


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:永田浩子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
新型コロナウィルスのワクチンが話題になっている。
このワクチンが安全で確かなものなら、騒動は一気に解決するだろう。もとのように自由に世界中、どこへでも行ける。仕事も、物流も、安心して動き出す。早くその状態になってほしい。そうは言っても、「ワクチンはほんとに必要なもので、安全なのだろうか」と不安を感じる自分もいる。
 
私は、おそらく普通ではない子育てをしてきた。ある方向から見ると、ご迷惑な人かもしれない。母からも、さんざん忠告されながら、無視をしてきた。
それは、娘に“予防接種”をせずに育てたのである。私のまわりには、妊娠期間から、自然育児に傾倒している人がたくさんいた。私もその輪の中に入り、出産は病院ではなく、助産院での自然分娩を選んだ。産まれる前の母親学級なども、その系統のものに参加した。
その中で、「予防接種は危険。自然に病気にかかったほうが、身体から毒素は抜けるし、完全な免疫ができる」と教わった。
私はそれを信じた。
お役所から届く無料接種案内は、すべて廃棄した。
そのかわり、“予防接種”反対派の小児科の先生の書かれた記事や本を読んだり、講座に出たりした。
ただ、私は専門家ではなく、その主張が真実かどうかはわからない。その言葉を信じただけだ。もしかしたら、間違っていて、命とりになるかもしれないので、とても勇気もいることだった。熱を出して病院に行っても、学校やまわりからも、変わり者であるということを感じながらだった。保健所で行う検診の際は、母子手帳の予防接種の蘭に『しない主義』と、力をこめて書かれた。事実だが、これには少々のショックがあった。
 
「どの病気も自然にかかって、乗り越え、免疫をつくるんだ。それで娘は本物の健康体になるのだ」と信じていた。しかし、ほとんどの人が予防接種をしている。ウィルスが身近にはなく、幼児期には免疫をつくるのに必要な病にかかることはできなかった。
 
小学生となり、娘は、ようやく免疫を作るチャンスにめぐりあった。
おたふくかぜも、はしかも、バリ島でいただいてきた。
はしかにかかったときは、かなりきつい思いをさせてしまったが、完全に免疫をつくることに成功した。
 
毎年、よく耳にするのは、インフルエンザの予防接種である。受験シーズンなど、よく学校で話題に出る。しかし、予防接種をした人が、結局、インフルエンザになっている姿をみる。「やはり、これはしないほうがいい」と思い、うちではまだ”予防接種しない主義“を通していた。
 
この“しない主義”のまま、娘は高校生へと健康に、成長した。娘は自分自身の夢を叶えるために、留学がカリキュラムに組み込まれている高校に進学した。入学前の健康チェックでは、予防接種をしていないことを指摘された。おそらく行く国によっては、予防接種をしていないといけないという情報をつきつけられた。
高校の方針で、先生方が話し合い、それぞれの子どもの夢や性格等を見て、もっとも適した留学先や学校が決まる。結局、娘に決まったのは、予防接種が必要な地域であった。必要でない地域も数多くあるのに、なぜかそこになってしまった。
「これがベスト。予防接種も必要」と、神様が用意したのだ、と思うことにした。
 
長年、非難をあびながらも、それでも娘の身体を信じて、信念を通してきたものがくずれる。クリーンで健康な肉体をつくるのだと思い、ある意味覚悟をもって“予防接種”はせずにきた。しかし、身体にとって異物だと信じてきたワクチンを打たなければならいときがやってきてしまったのだ。
 
しかも、幼いときに打てば、無料であったのに、すべて自費で打たなければならない。何万円も、私のお財布は相当な痛手であった。
ただ、私の心は同時に軽くなった面もあった。「破傷風も、ポリオも、かかったらどうなるんだろう」という心配の重荷がおりたのだった。
実家である千葉県の土は「馬が生息していたところだから、破傷風の菌があるよ」と、昔、聞かされていたので、心のどこかで気にしている自分がいた。
ポリオに関しては、15年くらい前の講座で、「あと2年くらいで絶滅宣言が出るはずだ」と聞いていたのに、いまだに絶滅していないという現状がある。
結局、私の“しない主義”は、絶大の信頼をしていたわけではなく、心配と隣り合わせだったのである。
 
「予防接種は害である。製薬業界の利権のためだ」という主張と、「予防接種はうったほうがいい。まわりに迷惑もかけない」という主張と、どちらが正しいのかは、判断が難しい。
ただ言えることは、歴史ドラマでよく若様が亡くなってしまう麻しん(はしか)は、予防接種がある現在、幼い子どもが命を落とすということはまれなことになった。ましてや、はしかでパンデミックが起こることはない。
同じように、新型ウィルスのワクチンが開発され、普及すれば、もとの世界中、自由な行き来のできる状態になるだろう。
このワクチンの大前提は、「完璧に安全である」ということだ。
開発した国の外交のための下心ある贈り物でなく、必要な国や人に渡ってほしい。
利権や、陰謀論など、いろいろと闇の情報もあるが、昔流行った歌に「最後に愛は勝つ~」のごとく、愛からの”予防接種“となってほしい。

≪おわり≫
 
 
 
 
***
 
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2020-08-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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