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大人になってピアノを弾いて分かったこと

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記事:gokita(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
昔、ピアノを習っていた。
 
昔は先生に言われたとおりに弾いていたら何となくできていた。
 
でも、何となくできていた人間に成長も無く、大人になっていたら辞めていた。
 
未練はあった。
 
大人になっても昔あったようなアップライトのピアノでは無いが電子ピアノは購入していた。
 
でも、弾くことも無く、月日は流れ流れてふと、自分を見つめる時間ができた。
 
その時に残されていたのは古いピアノの楽譜だった。
 
楽譜を開く。
 
昔のように流れるようには弾くことはできないが、何とか弾くことはできる。
 
楽譜にして2ページぐらい。
 
四分音符、八分音符、十六分音符。
 
ト音記号、ヘ音記号。
 
スラー、スタッカート。
 
楽譜は、音が出るまでは単なる記号である。
 
鍵盤を叩くことにより、音に変換していくだけの作業である。
 
書かれたとおりに弾けば、音はなる。
 
昔々は、もっともっと長い楽譜を弾いていた。技術は何もしなければ年数がたてばかなり落ちていく。
 
何度も練習をする。
 
記号を何度も何度も鍵盤になぞらえ、練習をしていく。
 
昔々は何も考えずにただ、記号どおりに練習していただけだった。
 
書かれたとおりに、先生に言われたとおりに。
 
昔々はそこには何もなかった。
 
が、大人になり、昔のように記号どおりに鍵盤を叩いて音に変換していくだけの作業だけだと思っていたが、記号がその時の悲しい気持ち、楽しい気持ち、焦る気持ち。すべてが鍵盤を叩くことにより、昔と違い感情が流れていっている。
 
きっと、大人になるまでに少ないながらいろいろな経験を積んできた結果、作曲家の意図、
 
感情が少ないながら分かるようになってきたからなのかもしれない。
 
さすがにその時代の人間にはなれないのでそこまでは分からないかもしれないが、少なくとも、人生経験を積んでいない子供よりはわかっているのかもしれない。
 
子供のころに恋愛の曲をいくら弾いていてもその経験が無ければ単なる音の羅列に他ならない。
 
例えばベートーヴェンの「エリーゼにために」はベートーヴェンがエリーゼのことが好きで、作曲したと子供のころに先生から聞いた。
 
想像にはなるが、女の子が好きで作曲するって、正直気持ち悪いところもあるが。
 
が、子供に男性が女性を好きになる感情もわかるはずもなく、今思えば本当に楽譜のまま、
 
先生に言われたままピアノを弾いていたのかと感じている。
 
同じ、フォルテ(強い音)、ピアノ(弱い音)を出すのも、感情を感じて弾くのとそうではないのとは音の出し方も変わってくる。
 
大人になって弾いたからこそ、2ページの記号が並んでいるだけの楽譜が、音に変換していき、奏でる音が感情に、作曲家の心に、いやそれよりももっと、自分のための一つの曲に変わってきているのではないだろうか。
 
今日は悲しい気分だと思ったら、軽やかに響くはずの曲が悲しい曲に変わっている。
 
今日は楽しい気分だと思ったら、重厚に響くはずの曲が軽やかな曲に変わっている。
 
もし、今からピアノを始めてみたい。と思っている人がいたら是非お伝えしたい。
 
楽譜は、単に記号が羅列しているだけである。
 
であるので、記号のとおり、鍵盤を叩けば音が出るし、弾けば何となくできてしまう。
 
金管楽器等の音が出るまでに時間がかかるものではない。
 
鍵盤さえ叩けばすぐに音はでる。
 
記号を覚えることができれば、すぐに音を奏でることができる。
 
記号も、規則性があるのですぐに覚えることも可能である。
 
がゆえに、本当に何も感じなければ単に音の集合だけだ。
 
しかし、それでも鍵盤を叩き続けてほしい。
 
最初は何も感じなくても弾き続けてほしい。
 
きっと、音がだんだんと曲に変わる瞬間がやってくる。
 
ドレミは何も感じずにただ叩くと単なるドレミである。
 
でも、音が感情と共鳴をしていき、軽やかに、悲しみに、記号が曲に変わってくるのだ。
 
2ページの記号から、感情を表われて、曲となっていくのだ。
 
作曲をした先人たちの言葉が、音をつうじて聞こえてくるかもしれない。
 
それを超えて、自分の曲になっていくかもしれない。
 
記号が曲となり、音楽に変わる瞬間なのだと私は思っている。
 
ちまたで音楽を、芸術を、語る人は多いなぁと思う。
 
私は、聞いていても何を言っているのかチンプンカンプンである。
 
ピアノを弾くだけならそんな小難しいうんちくはいらない。
 
ピアノで曲を奏でることはそんなに難しいことでは無い。
 
もともとは単なる記号なのだ。
 
それも、ルールにのっとった記号なのだ。
 
まずは、それにのっとって鍵盤を叩いていけば、間違いなく音を奏でることになる。
 
ピアノは弾き手を選ばない。なぜなら、楽譜どおりに鍵盤さえ叩けば音が出るからだ。
 
皆が平等に音楽を奏でることができるものなのだ。
 
弾き手が音を奏で、先人の声を聞いて、感じて、自分のものにしていくことで音楽となる。
 
万人に門戸が開いているものであるのだ。
 
始めてみたいけど、難しそうだな。なんて思っているとしたらそれは誤解である。
 
ピアノをきっかけに音楽に触れてみるのはいかがであろうか。
 
 
 
 
***
 
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2021-02-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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