旅行好きの私がコロナ禍でとった方法とは
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:大附 祐貴(ライティング・ゼミ日曜コース)
「不要不急の外出は避けてください」
2020年、このワードを聞くたびに悩まされた。
「もう嫌だ、早く終わってくれ……」
楽しみが一瞬にして奪われた。つらい毎日だった。
私は旅行が好きだ。
ゴールデンウィークや夏季休暇のたびに、遠出をしようと決めている。
過去には、青森で弘前城を見学したり、お伊勢さんで参拝したりと、
とにかくいろいろ出かけ、普段では得られない体験を楽しむことにしている。
さぁ、今年のゴールデンウィークはどこに行こうか?
北陸にも行きたいなぁ、関東も長らく行けてないなぁ、そんなことを考えていた春先、
新型コロナウイルスの感染者は急増しているという報道が相次いだ。
「今回は帰省をあきらめます」
「仕方ないですね……」
ニュースに映し出された女性は、がっかりしたように肩を落としていた。
そんな画面をじっと見つめていた私も、同じ気持ちだった。
とにかく、2020年という1年間は、「不要不急の外出はお控えください」の言葉に
振り回された1年だったと思う。
政府のキャンペーン等もあったが、国民全員が羽を広げて自由気ままに旅行する……といった雰囲気はなかなか感じられなかった。
私も、夏休みも秋の行楽シーズンも、なかなか遠出しようという気分になれなかった。
「つまらんなぁ……」
普段ならアクティブに過ごす土日ですら、ボーッと近所で過ごすことが多くなっていた。
カレンダーの枚数は、気が付けば残りがわずかとなっていた。
「何か楽しい話題はないかな……」
そんななか、大阪の心斎橋で新しくパルコがオープンするという。
コロナ禍で飲食店の閉店が相次いていることが続いていただけに、久しぶりの明るいニュースだった。
「なんか面白そうだなぁ、行ってみるか」
他所ではあまり見かけない、一風変わったテナントが軒を連ねているようだった。
9階には、天狼院書店という書店がある。
ここでは、単に本を売るだけではなく、その先の体験を通じてそこに書かれていることを体得してもらおうと、写真やビジネスなど多様なイベントを開催しているようだった。
さっそく、置いてあったチラシを持って帰ることにした。
「人生を変えるライティング・ゼミ」
と、書かれている1枚のチラシだった。
ライティングなんて、そんなに興味がなかった。
せいぜいFacebookに旅の思い出をメモ書き程度に書くぐらいで、親しい人は読んでくれるけれども、書き方を学ぶなんてことは今までしてこなかった。
それに「人生を変える」なんて、ぶっちゃけ、大げさじゃん、とも思った。
でも、なんとなくやってみようと思った。
コロナ禍で、何にもすることがなくなった私にとって、
「なにか得るものがあれば……」
と思ったからだ。
いつもなら、受講料が4万円もする講座なんて払ったことはなかったが、
ちょっとやってみようかな、と決済ボタンを押した。
「でも、本当に人生が変わるんかなぁ」
半信半疑に思いながら、初回の講義日に店舗に向かった。
講義には、老若男女問わず多数の人が参加していた。
講師の三浦さんは、
「誰でも書けるようになりますから、ほんと」
「ライティングは自転車に乗るようなぐらい、簡単なものですから」
と説いてくれたが、その言葉をすぐに信じることはできなかった。
ライティング・ゼミに参加すると、毎週2,000字の文章を提出しなければならない。
正直嫌だった。自分の書いた文章を見せるなんて恥ずかしかったからだ。
……それからもうすぐ3か月。
ライティングの課題は、投げ出すことなく毎週提出できている。
全8回のうち、5回の講義を楽しく受講できた。
スキルが上がったかどうかはまだ分からないが、一つだけ言えることがある。
それは
「書くのが苦じゃなくなった」
ということだ。
チラシを眺めながら、どうしようかな、と悩んでいたころの私とは、きっと違う。
受講料は良い値段ではあったが、その金額は決して無駄じゃなかっただろう。
かつて、チョロQという小さなおもちゃがあった。
全速力で進んで、壁に当たっては方向を変え、また全速力で進んで壁に当たって、また方向を変え……というおもちゃだったが、今の私はその姿に似ていると思う。
コロナ禍で旅行をするという楽しみは残念ながら奪われてしまったが、方向転換して天狼院書店にふと訪れたことで「ライティング」という楽しみを得た。
いや、ライティングだけじゃない、表現することの楽しさを得たのかもしれない。
せっかく旅行先でいろんな写真を撮って、それをFacebookにあげるのならば、
多くの人の心に触れるような文章を書きたいという気持ちも徐々に芽生えていった。
コロナ禍のうちは表現方法を学ぶ時期だと割り切る。
それが終息に向かえば、旅行先で感じたことを文章にまとめて、多くの人に共有できればいいんじゃないかな……と思うようになった。
「なんとなく」受講したライティング・ゼミから、私は旅行の面白さをまた一つ手に入れたのかもしれない。
***
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
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≪終わり≫