就活で大失敗した私が、遠回りして見つけた天職
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記事:あんず飴(ライティング・ゼミ平日コース)
「慎重に選考を重ねました結果、誠に残念ではございますが、今回は採用を見送らせていただきます」
大学三年生の就職活動。
第一志望のコンサルティングファームの最終面接で、私は“お祈りメール”を貰った。
「まさか落ちるなんて」
というのが正直な感想だった。誰もが知っている有名大学に在籍し、サークル活動やインターン活動にも精を出していた大学生の頃の私は、自信満々で最終面接に臨んでいたのである。
しかし、結果は不採用。
落とされたのだ。
四回に渡る長い選考を経て、最終面接までたどり着いたのに。
ESだってグループディスカッションだって受かったのに。
その当時、大卒の就職活動は氷河期を迎えていた。
第一志望の企業に落ちた私は、なんとか一社の内定をゲットし、とある人材紹介会社に入社することになった。
配属されたのは、体育会のゴリマッチョが7割の求人広告の新規開拓営業部門。
しかも、東京のど真ん中の丸の内や銀座で働く予定だったのに、なぜか神奈川の藤沢勤務。
「なんで、私が……」
全てにやる気がでないまま、社会人一年目のキャリアがスタートした。
「じゃあ、今日は新規の営業電話、百件かけといて」
同じ部署の先輩に言われ、ひたすらオフィスで会ったこともないお客さんに電話。
つまらなすぎて、心を無にする術を覚えた。
運良くアポイントを取り付けたお客さんに会いに行って、広告を売ることで、営業数字を作っていく仕事。
そして、達成しなければ、上司や先輩から死ぬほど怒られる。ていうか、怒鳴られる。
つまらなかった。本当につまらなかった。
「どうして自分は有名大学を卒業したのに、こんな泥臭い仕事をしなければならないんだろう?」
「こんな仕事、誰にもできるのではないか?」
そんな疑問を毎日抱きながら、仕事をしていた。
やる気のない日々が2年続き、ついに私は仕事を辞めることにした。
「第二新卒で採用してくれる会社を探そう」
そう思って、運良く採用してくれたのが、PR会社だった。
PR会社とは、様々な企業の「広報」や「ブランディング」をコンサルティングし支援する企業のことだ。
良く勘違いされるが、広告代理店とは似ているようで少し違う。
広告代理店はCMや新聞広告などの広告を扱うが、PR会社では広告は扱わない。
その代わり、TV・新聞・雑誌などのメディアに企業の情報(プレスリリース)を渡すことで、世の中に企業の情報をPRしていくのが役目だ。
そんなPR会社に新卒三年目で入社した私。
毎日終電まで働く日々だったが、大好きなTVや雑誌に関われて、好きな芸能人にも会えることもあり、忙しい中でも仕事は楽しかった。
「新卒で入った会社で得られたことなんて何もない」と正直思っていたが、新規開拓営業のアプローチのやり方が、PR会社でメディアに連絡をする時に、とても役に立った。
「役に立たないことなんてないんだ」とその時思った。
PR会社に入って、初めて仕事にやりがいを知った。
自分が携わったイベントやプレスリリースの情報がTVに取り上げられて、世の中のたくさんの人に届く。
新卒で入った会社の仕事は、「誰でもできるし、小さい仕事だなあ」としか感じなかったが、PR会社の仕事は、1つ1つのインパクトが大きく、ミーハーで、目立ちたがり屋な私にとっては天職だった。
楽しく仕事をしながら、社内で表彰されるくらいの結果を残せるようにもなった。
やりたいことをやったら、結果は自動的についてきた。
そして、今、PR会社の経歴を活かして、私は企業の“広報”を担当している。
PR会社の時と仕事内容は変わらないが、より責任があって面白い仕事に関われていると思っている。
自分の経験を踏まえて伝えたかったことは、新卒採用で第一志望の企業に受からなくて、全然興味のない企業に入社し、そこでの仕事がつまらなくても、なんとかなるということだ。
よくよく考えると、新卒採用試験を受けたとき、自分の“やりたいこと”も“仕事で実現したいこと”も分からなかった。だから、上手くいかなかったのかもしれない。就活で良く面接官から質問される“志望動機”も、無理やり受ける企業に合わせて作っていた気がする。その企業を、心の底から受けたい理由なんて、一つもなかったのだ。
第二新卒でPR会社を受けたとき、「何をやっている時が一番楽しいか」を考えて就活した。
「そうだ。SNSとか雑誌とか、エンタメも好きだし、PR会社に行ってみよう」
そんな安易な理由だったが、これが正解だった。
「新卒で入った会社は、すぐに辞めないほうが良い」
と、親世代の人はみんな言うけど、そんなことはないと思う。
仕事がつまらなくて、会社に行くのも苦痛だったら、すぐに辞めて自分が楽しい仕事を探せば良い。
新しいチャレンジで、自分の天職を見つけられるかもしれない。
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