カメラとカレーと、感動の種。
*この記事は、「ライティング・ゼミ」を受講したスタッフが書いたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:松下広美(チーム天狼院)
「これ、どこにありました?」
「移動中に、ポツンとあったから、つい撮っちゃいました」
私は、心の中でガッツポーズしながら答えていた。
フォト散歩でのことだった。
写真を撮りながら街歩きをして楽しむというフォト散歩では、会の最後にやっていることがある。
「今日イチの写真を見せてください!」
2時間の間に撮った写真の中で、今日のいちばんはこれだ! という写真を選んでもらう。
そこでは、参加者の方々と一緒になって、私も今日イチの写真を選ぶ。
競っているわけではないけれど、誰も見つけられなかった瞬間を切り取ることができたときは、とてもうれしくなる。
逆に、自分が見つけられなかった場面を切り取っている写真を見せてもらうと、ちょっとだけ悔しいけれど、それよりも「すごい!」と尊敬する。
どうしたらその場面に出会うことができるのか、私もそんな瞬間を切り取りたいと願う。
カメラを持つようになったきっかけは、天狼院だった。
まだ、お客さまだったとき。
最初は、カメラを持っている集団を見て、異様な光景だと思っていた。
「光がヤバい」
とか、わけのわかんないことを言っているし、めちゃくちゃたくさんの荷物を持っていて、その荷物の中からいろいろなものを取り出しては撮影をしているし、荷物から出てくるレンズの値段は想像のはるか上をいくものだったし。
そんな人たちに撮影された写真を見てせてもらったりはしたけれど、
「すごいな」
って思う程度だった。
自分が「やろう」とまではなかなか思わなかった。
でも、出合ってしまった。
京都の嵐山へ、旅部の観光のひとつとして出かけたときだった。
私たち以外は誰もいない駅に降り立った。
私はカメラを持っていたわけではなかったので、撮影する人たちを眺めていた。
誰もいない駅で、撮る人と撮られる人と、入れ替わりながら撮影をしていた。
そのカメラマンは、何気なくシャッターを押しているだけだと思っていた。
「めっちゃいい!」
って声を発しながら撮影をしていて、興奮は伝わってくるけれど、そんなにすごいのか? とイマイチ理解はできなかった。
京都天狼院に戻って、こたつ席にあるテレビで、そのときの写真を見せてもらった。
「すごい」
と声を出すだけで、精一杯だった。
1枚の写真に、心を動かされた。
カメラマンが、カメラとレンズを通して見ていた景色は、私は見ることのできない景色だった。
カメラには、人の心を動かすだけの力がある。
その写真を見てから、私もそんな写真を撮ってみたいと思ってしまったのだ。
そんな、1枚の写真からカメラを持って、4年が経つ。
まだまだ上級者だなんてとても言えるわけはなく、初心者に毛が生えたくらいだ。
どんな写真が正解だなんて、全くわからないし、正解なんてものはそもそもないんだと……。
ふと、写真を撮ることって、カレーをつくることに似ているなって思った。
カレーは箱のうしろに書いてある手順に従えば、料理が得意じゃない人だって、子供だってつくることができる。つくったことがない、なんて人はいないんじゃないかと。
同じ手順でカレーをつくっても、同じ味にはならない。ちょっとした材料の違いだったり、火加減だったり、少しずつ違っている。
写真も、カメラがあれば、シャッターを押すだけで写真が撮れる。
カメラじゃなくても、スマホにカメラがついていて、誰だってすぐに写真を撮ることができる。でも、撮る人によって、違う写真になる。
そして、カレーもカメラも、手にする人によって個性が出る。
カレーであれば、市販のカレールーに、コーヒーを入れてみたり、調味料を加えてみたり、ひと手間加える人がいる。
カレールーを使うカレーばかりではなくて、スパイスカレーもある。スパイスの種類や量で無限につくることができる。
カメラだって、同じ場所、同じ時間でシャッターを押しても、シャッターを押す人の数だけ違う写真になる。
カメラ本体もたくさんの種類があるし、レンズだって、改良された新しいレンズはどんどん出てくるし、昔のレンズもずっと使うことができて「オールドレンズ」としての地位を確立している。
それでも、カレーはカレーだし、写真は写真なのだ。
初心者だって楽しむことができるし、上級者になっても飽きることはなく楽しめる。
正解を追い求めるあまりに沼にハマることもあるけれど、それも楽しい。
これが正しい、というものはない。
間違っているものはなくて、全てが正解なのだ。
思い返せば、昔から……まだ一眼レフを買うことなんか全く考えていないときから、
「はいチーズ!」
という記念撮影や集合写真より、隠し撮りのような写真を撮るのが好きだった。
キメ顔よりも、ふとしたときに見せる表情の方が素敵だと思っていた。
そんな瞬間を切り取りたいと、心を動かされてきた。
カメラを手にしてからは、心が動く瞬間を探すようになった。
どこかに、感動の種が落ちていないか、探している。
そうすると、どんな景色もキラキラしてきて、感動の種はどこにでも落ちているんだと思うことができるようになった。
写真はなんにも、むずかしくない。
ちょっと「いいな」って思った瞬間に、シャッターを切ればいい。
心を動かされた、って瞬間を切り取ればいい。
ときどき、なんで撮ったのかわからない写真もあったりするけれど、それはそれでいい。
***
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