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もしSKY-HI氏が上司だったなら 〜私が『THE FIRST』にハマった理由〜


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記事:きしかなこ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「なんでこの人オーディション主催者なのに泣いているんだろう」
 
不思議に思いながら、そういう私も画面越しに一緒に涙をほろほろ流して、鼻水をすすっていました。数年ぶりにTV番組にハマりまして、それが『THE FIRST』でした。
 
『THE FIRST』はいわゆるオーディション番組で、アーティストAAAのSKY-HI氏が主催し、日本発のボーイズグループをつくろうとその過程に密着したものです。朝の報道番組『スッキリ』で放送されていたらしく、私が知ったのは、たまたまtwitterで知人の絶賛コメントを見たからでした。
 
もともとオーディション番組にはすごく苦手意識がありました。
ハロプロ世代の私にとって、オーディション番組は、同い年くらいの女の子たちが、プロデューサーや講師に「もう帰っていいよ」とか「やる気あるの?」とか怒鳴られ、メチャクチャに泣きながらも挑戦を強いられている、そんなイメージがあったからです。
怖そうな大人たちがずらっと椅子に並び、無表情で1人の女の子を品定めしている……小学生ながらに見ていて気持ちの良いものではなかったし、本来見どころであるはずのオーディションの過程はすっ飛ばして、結果発表だけ見ていた記憶があります。
 
そんなイメージがあるからか、NiziUが騒がれていた時もいっさいの興味がなく、「え、ニジユー? ニジュー?」なんて読むのか今でさえあやしいです。
 
じゃあ、なんで今回は興味が湧いたのか?
それは、会社経営をしている知人のつぶやきに「SKY-HIさんの毎回のコメント力が的確で勉強になる」と書いてあったからです。勉強になるってどういうことだろう? という疑問から、産休中でまあ時間もあるし見てみるかと、早速Huluで見ることにしたのでした。
 
正直、SKY-HIさん、誰それ? から始まり、アーティストグループのAAAの人であることが判明し、といっても別にAAAに詳しいわけでもなく、「ほえ〜、事務所つくって1億円の私財を投資してすごいなあ〜」くらいの気持ちでした。
 
番組は全国のオーディションシーンから始まり、段々とメンバーが絞られていくというまあまあ想像通りなストーリー。でもこれはなんか違うなと感じたのは、イメージにあったような怖い審査員がそもそも出てこないし、怒られたり泣いたりするようなヒリヒリする雰囲気が全くないことでした。
 
逆に審査する側であるSKY-HI氏が、選考者の歌やダンスに合わせて、笑顔で一緒に踊り出すレベル。そして、パフォーマンス後には「素晴らしいね」「すごい才能ですね」とか、めちゃめちゃ褒めるんです。
 
え、なんかこれ見ていてすごく気持ちが良いし、選考者も緊張しながらも表情が柔らかくなっていって、みんなキラっキラして見える!
 
そう思ってからハマるまでは一瞬でした。
メンバーたちの成長やクリエイティブな才能に感動することはもちろん、それ以上にすごいなと思うのが、SKY-HI氏の選考者ひとりひとりへフィードバックする言葉の的確化さと、愛情が半端ないんです。メンバーの成長ぶりをみて男泣きしたり、感動したり。みんなの貴重な時間を使っているからこそ自分も真剣に選考しなくちゃいけないとかをさらっと言ってしまうところとか、偉そうな素振りが1mmもない。
 
『THE FIRST』のことを、”育成プログラム”と言っていた理由がよくわかりました。もちろんオーディションなので落選してしまうメンバーは毎回いるのですが、そのひとりひとりに対して、何が足りなかったのか、もっとこうできたら良かった、と言葉にして必ずgiveしていました。
そして、繰り返し繰り返し使っていたのが、「ありがとう」と「あなたを尊敬します」という言葉でした。
 
選考者にこんな温かい言葉を投げかけるオーディション見たことあります?!
気がついたら、映像を巻き戻してはSKY-HI氏のgiveする言葉を何回も聞き直して、どうしてこんな綺麗な言葉遣いができるんだろうと感動する自分がいました。
 
そこにはオーディションで選ぶ側が強いぞ! という構図もなく、SKY-HI氏自身も選ばれる側と言っている、そのフラットな関係性が本当に尊いのです。
言葉の節々に感じる、愛と感謝とリスペクト。嘘でもなく本気で言っていると伝わる熱量。 SKY-HI氏のような上司が切実に欲しい! と思いました。この番組、リーダーや管理職の人にぜひ見てほしい!
 
私が唯一経験しているオーディションは、就職活動。何年も前のことではありますが、あれこそまさに権力構図ができあがっていて、圧迫面接とか意味がわからなかったなあ、と今でも思います。
なんで初対面の人にいきなりそんなタメ口で圧かけられなきゃいけないんだ? とイライラしながらも、毎回敗北し、そしてなぜ落ちたのかも分からずもがき苦しんだ自分を思い出します。
 
きっとSKY-HI氏が面接官なら、
「ここまでの選考に残った時点で、あなたは素晴らしい才能を持っていること、まずはそれを誇りに思ってください。ただ、今回クリエィティブファーストという点において、◯◯が足りなかったと思います。いずれにしても、こうして弊社を受けてくれて、チャレンジしてくれたこと、ESを書いて素晴らしいパフォーマンス(自己PR)を見せてくれたあなたを心から尊敬します。本当にありがとうございました」
 
とか、お祈りしてくれるんだろうなあ。そんな前向きなパワーをくれる世の中にならないかなあと心から思います。
 
番組としては、もうメンバーも決定し、ボーイズグループのメジャーデビューも決まっています。今後のメンバーたちの成長や変化はもちろん楽しみつつ、それ以上に、 SKY-HI氏のようなリーダーがどう組織をつくっていくのか、どう日本の音楽カルチャーを変えていくのか、とてもわくわくです。
 
最後にSKY-HI氏が立ち上げた事務所の社訓をご紹介。
今まさに求められている時代を象徴している気がしています。
 
上り詰める、だけど蹴落とさない
媚びない、だけど誰も否定しない
自分であり、だから人を愛する
 
選ばれる側、選ぶ側、偉い人、偉くない人、そんな括りがどうでも良くなって、ひとりの人として、”愛と感謝とリスペクト”で繋がれる良い意味での個の時代になるといいなと思います。
 
 
 
 
***
 
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2021-09-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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