メディアグランプリ

カップラーメンと着物


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記事:さない ちえ(ライティング・ゼミ10月コース)
 
 
お湯を入れて3分待つカップラーメン。出来上がるまでの間、みなさんはどのような時間を過ごしていらっしゃるでしょうか?
食べる前にテーブルの上のものを片付ける? スマホをいじる? それともテレビを見る? 色々な過ごし方がありますが、せっかくなら待ち時間で着付けをして、普段着としての着物を楽しんでみませんか?
「3分で着物の着付けができるの?」と思うかもしれませんが、和洋ミックスのカジュアルコーディネートであれば着慣れていない方でも簡単に着ることができるんです。
着物といえば今では成人式や結婚式など、フォーマルな場で着るイメージを持った方が多いかもしれませんが、実はカジュアル向けのものもあり、小紋や紬と呼ばれる着物などがその代表格にあたります。 私個人としては、自由度が高く“ファッション”としてのオシャレを楽しめるカジュアル向けのものを好んでおり、また多くの人にも興味を持ってほしいと考えています。
しかし、着慣れていない人にとっては着物を“普段着”で着るのは少々ハードルが高いと感じるはず。理由はさまざまですが、最もネックになっているもののひとつが着付けの煩雑さでしょう。
特に女性の場合は必要な道具が多く、かなり手間もかかります。着付けに慣れている方でも5~10分程度、着慣れていない方の場合30分以上かかることも。そうなると、普段着として着るにはかなり面倒に思う人が多いのも無理はありません。
けれども、洋服と組み合わせることで着付けの道具や手間を最小限に抑えることができ、慣れていない方でもカップラーメンの待ち時間を有効活用できるほどの時短で着ることができるのです。
 
着方のパターンはいくつかありますが、最も手軽にできるものの一つがワンピースの上に着物を着る方法。肌襦袢や長襦袢といった着物用の下着は不要で、着物と腰紐、帯さえあれば着ることができます。
ワンピースは、厚手のものだと着膨れして見えるため、なるべく薄手のものがおすすめです。また、着物は襟の部分が大きく開いているので、スタンドカラーのワンピースやシャツワンピースなど、首元が詰まったタイプを選ぶとバランスよく見えます。
そして、帯は結ばず巻くだけの“帯結ばない帯結び”で仕上げます。この結び方は、大阪で着付け教室を営んでいるayaayaさんという方が考案したもので、2019年頃にその手軽さとアレンジ性の高さがSNSなどで話題になり、書籍も出版されました。もっともベーシックな巻き方であれば、ものの30秒で出来上がります。留めるものは、帯締めでもいいですし、洋服用のベルトでもOKです。
このように、洋服と組み合わせれば着付けの難易度がグッと下がり、かかる時間はわずか3分程度。本当に早業です。 中にワンピースを着ることで衿元や袖周りをカバーでき、防寒にもなります。また、ワンピースではなく中にブラウスやシャツなどトップスを着て、着物を着付けた後、帯は使わずにボトムスにスカートをはく袴のようなスタイルもおすすめです。
この着付け方法は簡単ではあるものの、私たちが日ごろ目にしている着物の王道スタイルではありません。好みも分かれると思いますし、正統派好きからすると邪道だと感じるかもしれません。けれども、実は和服と洋服が普段着として共存していた大正~昭和初期にも、着物にスカートをあわせたり、ヒールのパンプスを履いたりする和洋ミックスコーディネートが存在しており、実際に当時の挿絵画家・高畠華宵の作品にその様子が多く描かれています。普段着として生きていた着物だからこそ、このような自由なスタイルが生まれていたのです。
また、着物は何万円、何十万円もするイメージを持っている方も多いのではないでしょうか? 確かに高額なものもありますが、冒頭の写真で私が着ている着物は、リサイクルのカジュアル着物で2,500円程度。しかも絹ではなくウールなので、自宅で洗濯可能。シワが気になったときはアイロンがけもでき、洋服と同じような感覚で扱えるのでお手入れも楽ちんです。
着物には色々なルールがありますが、普段着は気負わず着れて、ファッションとして楽しめることが何よりも大切。TPOさえ気を付ければ、自由に楽しんでいいものだと思っています。もし自宅のタンスに着物が眠っているという方は、今日のお昼ごはん、早速カップラーメンにお湯を入れて、待ち時間にぜひ着付けをしてみてください。
きっといつもとは一味違った気分でカップラーメンを堪能できるはずです。
 
 
 
 
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2021-10-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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