メディアグランプリ

最強の武器は攻撃力半減のもと


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:大橋まやこ(ライティング・ゼミ10月コース)
 
 
何年か前までの私の話を聞いてほしい。
 
まだまだ「女性らしさ」や「女子力」という、最近ではあえて避けられることもあるキーワードが横行していたその頃、私も間違いなくそこに乗っかりたいと思っていた。
同僚のある人が言った「女子はキレイ系よりカワイイ系の方が支持率高いでしょ」なんて言葉も真に受けていた。
そこで「カワイイ系」且つ「女子力高め」を目指し、ネールサロンに月1で通い、マツエク装備だって怠らなかった日々。お料理教室も行き、その様をSNSでアップしたりもした。
そんな中、最も力を注いだのが愛されボブヘアのキープだ。
 
割と幼い頃から面長を気にしていて、10代は実年齢よりも年上に見られることが多かった。
中学生の時、丸顔の友人がアンパンマンと呼ばれていたのに対し、私のあだ名がフランスパンだったことも面長を気にする要因になっていたと思う。
カワイイ系のベビーフェイスに憧れるも、そもそも造りが違うのだ。
学年で一番カワイイと言われていた子も、当然のようにその類いだった。
何とかできないかと悩んでいた時、雑誌か何かで解決策に出会うことができた。
それもとても簡単な方法で。
 
前髪作って見える面積を減らせばいいんだ!
 
それからというもの、ただ前髪を作るというだけで私のコンプレックスはいくらか解消された。
ちょっと前髪キープにこだわりすぎた結果、自分でカットして失敗する……なんてこともよくあったが、それでも構わなかった。
だって、前髪があればきっと自分はカワイイ系でいられているのだから。
実際、友人たちからだって似合っていると好評だった。
 
こうして私の中で「前髪最強説」があっさりと成立した。
 
それから数年後、定期的にやってくるボブヘアののブームに乗っかりさらに評価を得ると、もうその先しばらくは前髪ありのボブヘアしかしていなかった気がする。
当時よく雑誌で言われていた「愛されボブヘア」というやつだ。
 
大人っぽく見られがちな面長は前髪で隠し、さらにボブヘアで甘さをプラスし、自分のコンプレックスは完全に払拭されていた。
 
けれども全然うまくいかない。
何がって、彼氏が全然できない。
初めはカワイイねって近づいてきてくれた人も、気づけばすぐに別の方向を見ている。
合コンでも盛り上がる、デートもできる、けどその先には進まない。
 
そりゃあそうだ。
私がしていたのは自分にちゃんと似合うことでもなく、自分がしたいことでもなく、コンプレックスをただ隠すための大衆ウケを狙った見た目だったから。
そしてそれは中身にも通ずることだ。
 
30代に入ってから、やっと方向性を見直すことができた。
年齢的にいつまでもカワイイ系狙うのもなとか、流行した前髪かきあげヘアに憧れたのも理由だが、そもそも面長隠しのカワイイ系での成功実績が少なすぎることにやっと目を向けられたのだ。
 
とりあえず脱前髪!
中途半端な長さの時期は、前髪が目に入って不快になったり、見慣れない自分の姿に不安になったりもした。
じっと我慢の時期を乗り越え、前髪を左右に分けても不自然ではない長さになってきた頃、意外と周囲の評判は悪くなかったし、好意的な声すら聞こえた。
改めて自己分析してみると、そもそも気にするほどの面長ではなかったし、美容師さんもプロなので似合うようにカットの工夫をしてくれる。
そう、前髪にこだわることなんてなかったのだ。
 
今までの人生一体なんだったんだ!?
 
人生だなんて大袈裟な。と言われるかもしれない。
けれども私は確かにそう思った。
これまでずっと信じ続け、実行してきたことが、大して意味がないことだったのだから。
 
些細なきっかけを積み重ねて、自分で勝手に自分を決めつけて、可能性をせばめていた。
自分を安心させる最強の武器は武器ではなく、ただ単に身動きがしづらくなる程重い、鎧のような防具であるだけだった。
 
コンプレックスとは、本当におそろしい。
そこからくる思い込みはもっとおそろしい。
 
そもそも私は思い込みが激しいところがある……と渋々ながら実感している。
振り返れば、他にも思い込みで道をせまくしていたことがいくつも出てくるはずだ。
 
あわよくば、文章を書くことが苦手だということも、ただの思い込みであってほしい。
このライティングゼミを4ヶ月完走した後、思い込み脱却なのか、苦手克服なのか、どちらでもいいのでライティングが得意だと言えるようになることを祈るばかりだ。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325



2021-10-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事