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若者よ、ハングリーであれ! 〜人生100年時代を生き抜くチカラ〜 ≪インタビュアー養成特別講座「公認会計士・カルビー監査役の石田正さんの記事を書こう!」≫


*この記事は、「インタビュアー養成講座」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

「『取材』って一体何をしたら良いんですか!?」そんな悩みを一発で解決!取材の作法を学び、その日のうちにインタビューも実施!講師から、書き上げた記事のフィードバックもありの超実践編『インタビュアー養成特別講座』

記事:長島綾子(インタビュアー養成特別講座)
 
 
明治大学商学部を卒業後、公認会計士を目指し猛勉強の末3年で試験に合格。25年にわたりアーサー・ヤング東京事務所(現アーンスト・アンド・ヤング)、朝日監査法人( 現あずさ監査法人)にて日本および米国基準の会計監査、財務アドバイザリーに従事する。その間シンガポール、ロンドンに駐在。士業を全うする人が多い中、1995 年ロンドンより帰任後、事業会社に転籍する。日本マクドナルド代表取締役副社長(CFO)、セガサミーホールディングス専務取締役(CFO)を経て、現在はカルビー株式会社監査役を務める。学生時代1年間ヨーロッパに貧乏旅行をしたことが、人生の原点だという。
77歳の大先輩である石田さんが、日本の若手ビジネスパーソンに向けて異形社会を生き抜くチカラを教えてくれた。
 
◆海外で戦え。自分に投資せよ。
 
私は日本人会計士として初めて海外で仕事するチャンスを得ました。まず、1977年から3年間、シンガポールに、また1989年から1995年までロンドンに駐在しましたが、この間日本ではバブルが崩壊し、ドイツのベルリンの壁が崩壊し、湾岸戦争が勃発するという、世界が大きく揺れた時代でした。
 
学生時代に1年留年し友人3人と、ヨーロッパをストックホルムからマルセイユまで自転車で縦断するという貧乏旅行をしたのですが、それが私という人間の原点になります。そのおかげか世界には色々な人が生活していて、日本企業でサラリーマンになる意識が希薄になり、海外で仕事したいという願望が生まれたのです。
 
どうしようか。就職にあたり弁護士をしている従兄弟に相談したところ、「弁護士か会計士がよいのではないか、出身が商学部だから会計士がいいんじゃないか」とアドバイスをもらいました。それから3年目に運よく会計士試験に合格、海外で働く切符を手にしたのです。
 
日本はモノカルチャーな世界ですから、髪も目も黒い人が大多数で、コミュニケーションのほとんどが日本語です。ロンドンのパブでは様々な言語が飛び交うのが当たり前ですが、新橋のガード下では日本語しか聞こえてこない。これではどうしても日本国内で安住してしまうのです。日本は1億2000万の人口を抱えているため、海外に出なくとも国内である程度はマーケットが成立します。たとえ不景気になっても国内で経済を回すことができるから、新しいことをやろう、リスクを取ろうという発想がなかなか生まれません。バブル後の失われた30年間、初任給はほとんど上がっていません。このままでは本当にダメになってしまうと危惧しています。一方、お隣の韓国の人口は5000万、日本の2分の1以下の人口ゆえ、彼らは海外に出なければやっていけないという危機感を持っています。
 
私は毎年4月、カルビーの新入社員研修を担当する際、次のようなことを伝えるようにしています。
「単に上司から指示されたことをこなし、給与をもらうだけでなく、会社という大きな組織が持つノウハウをしっかり吸収し、それを自分のものにしてください」
そして、会社が準備した研修だけに満足してはいけません。自分でお金を出して自分に投資する必要があります。何へ投資すればよいか? それは自分で見つける以外ありません。「面白い」と思うものを見つけて、そこに自分のお金と時間を投入するのです。10年ほど試行錯誤していれば「面白いこと」が見つかります。そのころは35歳くらいにはなっているで、そのあたりから今後のキャリアに向け準備していくのです。気力と体力が充実しているのは40歳から50歳、新入社員から10年間はキャリア形成の準備期間なのです。
 
◆闘争心・ハングリー精神を持て。
 
バブル崩壊後、日本にはリスクを取って投資しようと考える人が少なくなりました。そういう人たちが若い人たちから出てこなければいけません。たとえば、ZOZOTOWNを立ち上げた実業家の前澤友作さん、彼はアントレプレナー的素質を持っていると思いますが、最近の若い人たちは新しいことをやろうというハングリー精神を失ってしまったようにも感じます。日本と日本人は中途半端に豊かになってしまったのかもしれません。
 
日本にもともとあったハングリーさ、それが今の日本には無いのです。一方、スポーツで考えてみると、近年日本のボクシングは世界でもトップを走るほど強くなりました。ボクシングはハングリー精神がなければ勝てないスポーツですが、なぜ、今のボクシング界でトップを走る日本の連中が世界で通用するか。私が考えるには、周囲の人間が彼らの闘争心をかき立てているのではないかと思うのです。昔はチャンピオンになれば大金を手に入れられると若者のハングリー精神が掻き立てられたものですが、今はお金に困らずボクシングをやる人も増え、周囲が闘争心を掻き立てる段取りをしなければハングリー精神が育たないと思うのです。
 
◆先が見えないのは当然のこと、恐れるな。
 
コロナ禍で100年に一度の大災害が起きたと言われていますが、この災害もいつか必ず収まります。目の前が見えないというのはいつの時代も当然のことで、今は自分の人生をどう組み立てるか考えるよいチャンスなのではないでしょうか。
 
先ほど私はこのままでは日本がダメになると言いましたが、日本人と日本企業にはまだまだ希望があります。戦後、ひたすら努力して作り上げた「ジャパンブランド」がまだまだ健在です。今からでも遅くありません、自分に投資をし、自分の得意分野は何かを見極めるのです。人には何度かターニングポイントが訪れますが、残念なことにそれに気づく人と気づかない人がいます。それに気づき、よりよい選択をするためにも、常にアンテナを張っておく必要があるのです。
 
この歳になるまで、私には3つのターニングポイントがありました。まず学生時代にヨーロッパで貧乏旅行したこと、次に運よく公認会計士の試験に受かったこと、そして52歳でロンドン駐在から帰国する直前、当時日本マクドナルドの社長だった藤田田さんから「そろそろ会計士をやめて俺のところに来ないか」と声をかけてもらったことです。出向元の朝日監査法人に戻れば、当面のポジションは約束されていました。なぜ転職したか。会計士の世界に戻った場合、勝手知ったる世界ということもあり、10年後の姿がある程度見えていました。川を渡って事業会社で働いてみたいという意識と、52歳の今、次のチャンスを待っていたら、年齢的にも転職できる体力と気力が維持できているか自信がなかったのです。
 
 
日本の中だけで勝負してはいけない、世界でビジネスを展開しなければ日本は衰退してしまう。石田さんは切実に訴える。ではどうすればいいのだろう。どうしても具体的な答えをもらいたかった。ハングリー精神を養うため、自分への投資先を見つけるため、ターニングポイントを見逃さないために何をすべきかと、最後に直接、ご本人に伺った。
 
「積極的にいろんな人に会い、アンテナを四方に拡げておくことですね。食わず嫌いはだめです」
 
彼は真っ直ぐに私を見据え、そう答えてくれた。そうか、毎日お腹いっぱいに食べていては、貪欲にチャンスを掴むことはできない。
 
若者よ、ハングリーであれ!
 
 
 
 
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2022-01-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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