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魚屋の馴染みの店員Sさんの接客から学ぶセールスの極意


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:citron(ライティング・ライブ東京会場)
 
 
「こんにちは。今日は何かオススメありますか?」私はいつも魚屋に行くと、馴染みの店員Sさんを見つけて話しかける。「今日はねぇ、そうだなぁ、八角という珍しいお魚が入ってますよ。脂がのっていてとても美味しいですよ」相変わらずSさんは私の期待を全く裏切らない。「今日もいい魚を勧めてくれるなぁ」と思いながら、私は答える。「え? 八角ですか? 初めて聞く魚だなぁ。食べてみたいなぁ。じゃあ、八角ください」「はい、いつもありがとうございます」魚屋では必ずこのようなやり取りをする。
 
我が家は夫婦ともに食に貪欲だ。そして私は料理が大好きで得意。美味しい料理を作るには、美味しい食材を調達することが最大のテーマであり、私は常に美味しい食材をどこから調達するかを考えている、といっても過言ではない。中でも魚料理は特に好きで、少なくとも週に2回は魚屋に足を運ぶ。世の中対面販売が少なくなってきている中、魚だけは絶対に店員さんから買うようにしている。なぜなら、魚は特に目利きがモノを言い、魚のことをよく知っている店員さんに聞いてから買うのが、確実に美味しい魚を手に入れられる方法だからなのだ。この魚屋の馴染みの店員Sさんに勧められた魚で、美味しくなかったということは、一度もない。これはすごいことだと思う。Sさんは、私が全幅の信頼を寄せる素晴らしい店員さんなのである。
 
この魚屋の馴染みの店員Sさん、いつも「私が欲しいな」と思う魚を必ず勧めてくれる。私がよく魚の調理法を聞くことから、恐らく料理好きで魚料理をよくすることをわかっていて、私の好みも知っていて、その上でその日一番イキのいい魚を私に勧めてくれるのだ。もう何年来の付き合いだろう? 日によっては市場に流通することが少ない珍しい魚も勧めてもらえる。冒頭の会話の八角という魚。私も夫も、今まで生きていて一度も食べたことがなかった。食に貪欲な私たち夫婦。40代半ばになって、東京の副都心という場所に住んでいながら、新しい魚に出会えるなんて、なんとも幸せなことだ。新しい味覚が広がる幸せを夫とともにかみしめながら、未知なる魚、八角をいただいた。
 
ある日いつものように魚屋に出かけた。「今日はオススメ何かありますか?」と馴染みの店員Sさんに聞くと、こんな答えが返ってきた。「今日はねぇ、残念ながらオススメできるものは何もないですね」滅多にないのだが、こう言われたのだ。私は一瞬驚いた。「オススメできるものは何もない」と言い切れる素晴らしさ。「本当にいいものだけをいつも勧めてもらっているんだ」と私は気付き、ますます私は魚屋の店員Sさんのファンになってしまった。「こんなに真摯に仕事をしている人に勧めてもらえるなんて、なんて幸せなんだろう」私はそう思った。
 
人はモノを買う時、実は勧めてほしいと思っているのではないだろうか? ただその勧められるものが、自分の好みにしっくりこなかったり、勧められるタイミングが少し違ったりすると、売り込まれている感じがして、嫌な気がしてしまう。この魚屋の馴染みの店員Sさんに、私は売り込まれていると感じたことは一度もない。それは相手、つまり私の好みをきちんと把握し、私が求めているであろうモノを勧め、そして選択権、つまり買う、買わないを私に持たせているからだと思う。お客様が求めているものを無理に売り込むわけではなく、さらりと自然に勧める、これはセールスの基本ではないだろうか? 私はこの魚屋の店員Sさんから、いつも気持ちよくその日オススメの魚を買う、ということをしている。勧められ、提案されたものの中から、必ず一つは買い、多い時は2つ以上買うこともある。勧められて買わなかったことはない。なぜなら、Sさんのオススメは外すことがない、とわかっておりSさんを信頼しているからだ。
 
私は今ビジネスを立ち上げようとしている。私独自のサービスを提供する予定だが、結局のところビジネスは「誰から買うか、なのではないか」と思う。「その人が信頼できる人で、その人の勧めるものは間違いない、だから買おう」となるのではないだろうか? そのためには、お客様になっていただく人の好みや求めているものをしっかり把握し、タイミングよくお客様の求めるものを勧める、これが大事なのではないか?
 
いつもの魚屋さんの馴染みの店員Sさんとのやり取りから、私の仕事に通ずるセールスの極意を学ばせてもらった。これぞ活きた学習なのかもしれない。私は魚屋の馴染みの店員Sさんとの出会いに感謝するとともに、「私も出会ってよかった、と思われるような人になろう」と心に誓った。
 
 
 
 
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