メディアグランプリ

困難と戯れる人生の境地~易経で教える逆境の過ごし方~


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記事:尹玉(ライティング・ライブ福岡会場)
 
 
「彼女の心臓はまるで小動物のようで、もう一緒に仕事やってられないです」
と、とても困った表情で配置換えを要求してきた同僚。
 
その小動物の心臓をもっている彼女は過去に職場のいじめを経験し、プライベートでも
離婚を経験するなど、人生で数々の不遇に見舞われたそう。
 
だから自己防衛になりすぎるのか、人の一言一句に敏感に反応しては被害者意識に陥り、感情的になることが多いことから、正常なコミュニケーションを取るのはもはや困難になっているようだ。
 
実質の仕事よりも、仕事以前のこだこだにコミュニケーションにコストがかかりすぎるのはやっかいものだ。履歴書を見直したら、確か職場はどこも長続きしていない。
問題児を排除するのは、簡単かも知れないが、このままでは彼女の先の人生が心配だ。
 
「蛇に噛れて朽ち縄に怖じる」ということわざがあるように、人間には一度蛇に噛まれると、蛇に見える縄まで怖くなり、10年間怯えることになる心理があるよう。それをトラウマとも言うが、このトラウマの対処次第では、人生そのものが大きく変わるものである。
 
トラウマの考え方について、易経の「坎為水」卦で大きいヒントを得たことがある。
易経は中国の最古の経典で、自然現象の摂理を人間世界に当てはめて、どうしたら道から外れない良い人生を送れるのかを示してくれている最高の人生ガイドブックなのだ。
易経64卦は64通りの人生場面を表しているが、「坎為水」では逆境の過ごし方を教えてくれている。
 
「坎為水」ではこのような言葉がある。
「繋(つな)ぐに徽纆(きぼく)を用う。叢棘(そうぎょく)に寘(お)く。三歳得ず。凶」現代語に変えると「頑丈な縄で縛った罪人を牢獄におく。三年経っても改心できず凶」になる。
 
ここから得たヒントですが、失敗や困難を経験した人がそのトラウマから、過剰に自己防衛に走り、自分の殻に閉じこもっていると、まるで頑丈な縄を自分の首にかけて、自らを罪人のように牢屋に閉じ込め、不自由させていることだ。
そうすると三年(長い間)「凶」になること。ここでの「凶」は一つのトラウマから人生そのものを失う可能性があることを示唆するのではなかろうか。
 
自分を縛るものは何もないのに、誰かが自分を縛り付けていると錯覚するのが、トラウマかも知れない。
 
就職や、人間関係に一度失敗した若者が再度チャレンジすることが怖くなり、長い間引きこもりになっているケースを最近では多いようだ。年老いた親が頭を抱えてしまいそうな問題だ。一つのトラウマから自分のみならず家族の人生まで巻き込んでしまう「凶」の状況なのだ。
 
私たちの人生には時には困難に見舞われ、苦しむ時がある。
一難去ってまた一難が押し寄せてくる時もある。2020年突如やって来たコロナウィルスは全世界の多くの人を同時に困難な境遇に陥れている。
 
易経の「坎為水」では、困難な時にどのような考え方を持ったら、そこから抜け出せることができるかを示しているのだ。
 
坎為水の全体の意味を表す卦辞では「習坎(しゅうかん)。孚有(まことあ)り。
維(こ)れ心亨(とお)る。」と書かれている。
これの意味を簡単に言えば、「困難に慣れて、困難から学び続け、強い信念をもっていれば、将来は心配しなくて良い」ということ。
 
坎は水を象徴する。土が欠けているところは落とし穴になって、水が流れ込み危険だということだ。「習坎」の習は習う、慣れることで、水に習い、困難に学ぶことだ。
「坎為水」は水が上下に重なっている卦なので、度重なる苦しみを意味する。困難が何度来てもそこから学び続けなさいと教えてくれている。
 
「孚有り」とは、信念や志のことである。困難に直面した時こそ、強い信念の力が必要なのだ。必ず逆境を乗り越えて、自分の志を実現する信念が「一難また一難」の苦しい状況を変えてくれるのだ。
 
信念とは、過去から現在まで自分の心で受け入れたものの集合体だそうだ。人は見たものを信じるのか、信じるものを見るのか、運命はこの信念の投影になるのかも知れない。
 
困難なことや、悪い状況になった時は、まずは困難を受け入れ、学びつづけ、流れに身を任せて「時を待つ」ことも大きい力になる。長いスパンで見た時「災い転じて福となる場合」も往々にしてあるので、どんな時でも希望を捨てず、信じる力が必要のようだ。
 
困難は辛いことでもあるが、経験に学ぶことで、逆境への対応力が身につき、ものすごい能力を磨く絶好のチャンスを与えてくれる一面も確実にあるのだ。人間は大概のところ、良い時には学びを怠る性質があるのだから、困難は「学びのチャンスの時」とも言えるだろう。
 
水は危険になることもあるが、別の一面を見ると、自分の方を相手に合わせて自由自在に変化させる柔軟性を持ってことだ。四角の器には四角に、丸い器には丸く自在に変形する。そしてやがて岩も砕く大きい力にもなるのだ。
 
ようするに、逆境の時は水の坎(困難)に慣れて、水の柔軟性に学んで、水の下の方にしか流れないような強い信念をもっていれば、やがて人生亨っていくということなのだ。
 
困難を軽やかに乗り越えていくには、困難と戯れる心を持つことが一番かも知れない。大きくみれば人生はゲームのようなものだ。真剣に遊ぶけど、深刻にはならない。
ゲームがあまりも簡単だったら、面白くないのだ。少し難しい課題があるくらいがよりゲームを楽しめるのではなかろうか。
 
自分の殻に閉じこもっていては、ゲームの面白さがわからないままゲームオーバーになりそうだ。大事なのは参加することだ。参加して気に入らなかったら、好みのものに変えられるのだ。 人は心で受け入れて信じるものを見るようになるものだから。
 
 
 
 
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2022-04-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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