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それでもビールが好き


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記事:河野 眞寂(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「いのちの水、買っていかないの?」
夫からそう言われて、指さされた方向を見るとビールのケースがあった。
「失礼な」と言いたかったが、ビールは、私にとっての“いのちの水”と言えるほど好きなことは、事実だ。
 
好き! いや、とても好き。というより、大好きだ!
ああ、これぐらい夫のことが好きならいいのに。
 
いつから、こんなにビールが好きになったのだろう。
 
子供の頃、父がおいしそうに飲んでいるビールを見ていた。
黄色い液体は、まるでビタミンがたっぷり入ったオロナミンCのようで、その液体の上にのっているふわふわとした泡は、甘い綿飴に見えた。結局、子供にとってのおいしそうな飲み物といえば、甘いのだ。
 
まあ、それもそのはず。子供の私にとって、ジュースは、子育てに厳しい母の考えで、誕生日やクリスマスなど、何かイベントがないと飲めない代物で、豪華な飲み物だった。
 
そうして見ていると、甘く、豪華なその飲み物を無性に飲んでみたくなった。
自分の飲んでいるビールを、娘に穴があくのではないかと言うほど、じっと見られて、何かを悟ったのか、父が私に言った。
「飲んでみるか?」
父は、私には優しかった。
だめだと制止する母を尻目に、私の手にビールの入ったグラスは渡された。
甘いに違いない。
そう信じ込んでいた。
だから、泡を、いや、綿飴をなめた。
 
「にがっ! おいしくなあい」
 
そうだよね。そうなるよね。
そのときに、私のビールに対する甘いイメージは崩れ去った。
父は、それをわかって私にビールのグラスを渡したのだ。
その予想は当たり、私は、こんなまずいもの二度と飲むものかと思った。
「どうして、大人は、こんなにおいしくない物飲んでいるんだろう」
そうつぶやいた私を、父は笑っていた。
 
時がたち、就職して、最初の給料が出たとき、なぜか、無性にあのおいしくないビールが飲みたくなった。
 
父が、疲れて帰ってきたとき、おいしそうにビールを飲んでいたのが、記憶にあったのかもしれない。あんなに、二度と飲むものかと心に決めていたのに、仕事帰り、コンビニで、お弁当と一緒に買ったのはビールだった。
 
その時の、ビールのおいしかったこと。
私の疲れを吹き飛ばしてくれた。
 
グラスについだビールを、ごくごくと喉を鳴らし胃袋へ流し込む。
ふわりと、アルコールとホップの香りが鼻を刺激して、まろやかな風味が舌を刺激している。
 
「うまああい」
 
予想もしない言葉が出て、少し驚いた。
 
仕事で疲れていたこともあったけれど、初めてのお給料が出てつらい仕事に対する、はじめてのご褒美(給料)が出て気分が良かったのも、おいしく感じた理由だったと思う。
 
それとも、ビール好きな父の遺伝子のなせる技なのか・・・・・・
 
それから、友達と楽しい時を共にするときも、悲しい時を過ごすときも、疲れているときもビールが共にあった。
 
ビールは、ある時は、喜び倍にしてくれて、また、ある時は、頑張ろうって元気を与えてくれる飲み物になった。そして、大好きになった。
 
私の個人的な意見として、缶ビールと比べると、瓶ビール。瓶ビールと比べるとお店のサーバーの生ビール。だんだんと、味がまろやかになって、おいしくなっていく感じがある。金額もそれなりになってはいくが。
私が一番好きなのは、お店で飲む生ビールだ。でも、疲れたときの缶ビールもいい。夏祭りの野外の屋台で飲むプラスチックのコップに入ったビールも、いい!
 
最近では、自宅向けに生ビールのサーバーのレンタルを行っているビール会社もあって魅力を感じるが、まだまだ、手の届かない高値の花だ。いつか、自宅で生ビールが飲める日が来ることを夢見ている。
 
ただ、女性は、アルコールに対して気をつけないといけないことも事実。
女性は、アルコールに対する代謝能力が低く、アルコール中毒になりやすいのだ。なので、適量を知っておくことも重要。時に、命に関わることにもなりかねない。
 
今までの仕事は医療職で、お酒に失敗している人を多く見てきた。だから、アルコールは、適量が必要なのである。酒は『百薬の長』ではあるが、過ぎるは毒なのである。
 
とはいえ、私もお酒で失敗することもあった。
 
こんな、恥ずかしい過去もある。
飲みに行ったお店で、大量飲酒をしてしまい、一つしかないトイレで、酔いつぶれてトイレを数十分使用不能にした挙げ句、記憶がなくなったことがあった。
 
ほかにも、楽しくなって飲み過ぎて、翌日、二日酔いで、頭痛と吐き気と体のだるさが襲ってきて、よくわからない脂汗をかいた経験を何度かしたこともある。
 
これは、あくまで、私の経験だからこんなこと起こす前に、飲み過ぎには注意したい。
 
適量をわきまえていつまでも、楽しくビールを楽しみたい。
 
 
 
 
***
 
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2022-05-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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